第3話 城壁は高い
「先輩のそういうところ、すごく安心します。。。」
あれから数分。相変わらずお互い静かに手元の飲み物を飲んでいるとポツリと西原が言葉を溢した。こりゃまいったな。本格的に今日は凹んでいるらしい。時間もそろそろ夜の11時。フェミレスは時間を気にする必要は無いが俺は明日も仕事がある。そろそろ片付けたい。
「そうか。少しは落ち着いたか?」
「はい、ありがとうございます。少し落ち着けました。」
「そりゃ良かった。で?今日はどうした?」
「それは、えーっと、、、」
相変わらず話す踏ん切りはつかないらしい。ここで急かしたところでどうせ碌なことにならないことはわかっているのでひとまず待つ。そしてそういえば飲み物なくなったな。。。雰囲気が重いときほど飲み物の消費が早くなる現象、名前とかあるのかな、なんて下らないことを考えていると。
「えっと。実は家出しまして。」
やっと整理がついたのか西原が話はじめる。
「そうか。住んでいるのは実家だったか?」
「いえ、実家は鹿児島です。親戚のお家にお世話になっているんですよ。」
ふむ?親と喧嘩したわけではないのか。親戚と喧嘩したのか??
「そうか。その親戚と喧嘩でもしたのか?」
「いや、叔母さんとは特になにも。全然大丈夫です。」
うん?あかん、これは一筋縄ではいかないトラブルか。時間も時間だし話したくもないのを聞くのもな。。。というか俺が聞きたくない。。。
「そうか、まぁ詳しい話はいいわ。今日は話したくなさそうだしな。」
「うん、せんぱい、本当にごめんなさい。ありがと。」
俺が話を切り上げるとあからさまにホッとした様子を見せた西原。やはり何か言い難いトラブルがあったんだろう。まぁここは大人の男の余裕ということで。決して面倒くさくなって適当に切り上げた訳ではない。
気まずくなった空気を振り払うように俺はコーヒーのおかわりをとりにいく。まぁ普通に寝れるやろ。そして西原もだまってオレンジジュースをおかわりしていた。
そしてそのまま数分後。いよいよ時計の針も夜の11時をまわり、そろそろ深夜も近い。というか早く帰ってシャワー浴びて寝たい。明日も普通に仕事あるしな。
「そろそろ出るか。」
「、、、はい!」
俺の言葉に西原が期待するような目を向けてくる。ふむ。さすが自称美少女JD。なかなかあざといな。
「OK。じゃあ店を出よう。ところで今日はもう遅いから、「え!お家に泊まって良いんですか!!」
俺が言葉を言い終わる前に食いついてくる西原。アホか。
「駅前のビジネスホテルまで車で送る。」
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