第47話埼玉奪還Ⅲ
さいたま市にたどり着いた僕たち一行は思っていた以上の酷さに驚いていた。
覚悟ができていなかったのか、何人も吐いている人がいた。
僕も覚悟はできていたが、予想よりもひどかったので、皆と一緒に吐いてしまった。
さいたま市のどちらかと言うと北の方にダンジョンがあり、ここは本当にまだマシな方なのかが気になる。
少し大きめのゴブリンの周辺にゴブリンがパーティーを組むかのように陣形をなして街を闊歩している。
鑑定してみたところ、少し大きめのゴブリンは【ゴブリンリーダー】というらしく。
ゴブリンに指示を伝え安くする能力を持っているだとか…
まだ、ゴブリンリーダーたちは僕たちに気がついていない。
クレナさんに目配せをして、奇襲の準備を整える。
僕がゴブリンリーダーを攻撃して、クレナさんが統率者を失ったゴブリンを倒す。
という簡単な作戦だが、僕が失敗するだけでゴブリンが仲間を呼んでしまうかもしれない。
そうすると乱戦になってしまい、長期戦をしようとしている僕たちには不利な状況になってしまうだとか…
補給部隊が来るのは一日に一回。
明日から12時頃に東京を出発して、そこから近いパーティーに補給節を配るのだという。
なので、それまでに物資が尽きてしまったら、どうしようもなくなってしまうので、節約戦法を取らないといけない。
僕はしっかりゴブリンリーダーに狙いを定めて、【パワーショット】を放つ。
魔石10個を対価にしてはなったので、ゴブリンリーダーの頭を撃ち抜くことができた。
突然リーダーを失ったゴブリンたちが慌てふためく。
そこを逃すまいと、クレナさんが5体のゴブリンの首を跳ねる。
他の人達はリーダーのもとから離れていた単騎のゴブリンを1対2の構図で倒していく。
1人で倒していくよりも二人で倒すほうが負荷が少ないので、常に2対1になるように昨日の打ち合わせのときに共有しておいた。
ここ周辺にはゴブリンリーダーが幸いにも1体しかいないようなので、それぞれ5人でパーティーを組んで倒していく。
ゴブリンは数が多く、鉄パイプなどの武器を持っている場合は、5人で囲うようにして石などをぶつけながら牽制して、癇癪を起こしたところを攻撃して倒す。
という方向性で行っている。
『ありがとう海くん。ナイスフォローよ。』
トランシーバー腰にお礼を言ってくる。
この人は女子大生の小羽(こはね)さんで、浦和南高校のグラウンドにゴブリンをおびき寄せて、集団で戦うという戦い方をしている。
5人ずつに分けたときの僕の入っているグループの1人だ。
近くに会社などがあったのでそこからトランシーバーなどの使いそうな物資を拝借した。
この浦和南高校を一時的な拠点とし、明日の物資が来るまでここにこもる。
避難に失敗したご老人や子供沢山の人を見つけてはここに護送している。
浦和南校の教室はだいぶ埋まっていて、10代から40代の人たちも協力してくれて、軽トラックなどを使い、近くのスーパーにある食べ物や日用用品を高校まで持ってきてくれている。
攻撃系のスキルを持つ人達はそのトラックを護送したり、まだ高校まで連れてこれていないかの捜索などをしてくれている。
この行動にクレナさんは凄い驚いていた。
異世界では自分第一で安全なところに逃げようとするらしい。
もしここで見捨てたら…と、考えて行動している事に驚いているようだ。
夜の8時ころには日もすっかり落ち、高校に避難している人は合計で500人を超えていた。
グラウンドの真ん中では崩れた家屋などを燃やしてキャンプファイヤーのようなものをしている。
僕たちが街を見に行っているときにご飯を作ってくれていたようだ。
いろいろなところから、使えそうなものを集めてくれていたみたいなので、ベットなどの道具なども見つけてくれていた。
次に拠点にできそうな場所を見つけるまでここを拠点としておこう。
明日の物資のときに、ガソリンなども持ってきてくれるように頼んでおいたので、車の燃料の心配はいらないだろう。
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