第37話二人の時間Ⅱ
この場所に立っただけでわかる。
怖い。
怖い、ただただ怖い。
周囲に何もいないのに、周りからゾンビのうめき声がする。
僕がビクビク怯えていると、
「おにーちゃん手、握ってあげるから。」
「面目ない」
妹に怖いから手を握ってもらう兄ってものすごく恥ずかしい。
だが、この状況でそんなこと言ってられないので、玲奈に従っていいく。
「お兄ちゃん、私について走ってよ!」
「この状況で!?」
「しょうがないじゃん止まったらモンスター湧いちゃうんだし。」
それならしょうがない。
本当はこの場所から動きたく無いけど、ゾンビとかを見た暁には失神してしまいそうだ。
こっちこっちと急かす玲奈について走った。
◆
「じゃ~んと、う、ちゃ、く!」
僕たちがたどり着いたのは廃教会だ。
やばい、ちびりそう…ホラー映画の撮影に使えるくらい。
むしろホラー映画よりもホラー映画な教会が目の前に建っていた。
「お兄ちゃん早く、入るよ!」
「え、この中に!?」
「墓にでも入るの?」
「入りますー」
諦めた…
廃教会は思っていたより中が綺麗で、薄暗いが、前が見えるぐらいに明るかった。
「光れ!」
玲奈がそう叫ぶと、教会のかべにかけられたランタンが、青白い光をともした。
僕が何が始まるのかキョロキョロしていたら。
僕たちを中心に紫色の魔法陣が展開して発動された。
ものすごいひかりによって僕はとっさに目を塞いだ。
「お兄ちゃんいつまでかがんでるのもう終わったよ」
何が終わったのか知らないが終わったらしい。
僕の尊厳かもしれない…
まあこの階層にきたときから兄の威厳なんて無いけど…
「は!?ここ、どこ?」
そこはさっきまでいた壊れかけていた教会ではなく、白くきれいな教会になっていた。
窓ガラスやランタンのあった場所も同じ、ドア、椅子、あらゆるものの配置がさっきまでいた教会と一致していた。
「凄いでしょ!」
「凄いな…」
「よし、まずはこっちにきなさい。」
僕は玲奈の後を追って教会を出ていった。
外には街があった。
中世ヨーロッパ風の町並みで、人もたくさんいる。
「異世界?」
「違うけど」
ココは11階層から15階層までをそのまま横に並べたような場所で、市が開かれていて、ココで取引されたものには税金がかからないらしい。
もともとココにはこの町の住民がいて、その人達と会話ができるらしい。
税金がかからないというのは取引するお金が違うらしいからだ。
教会などへの寄付、ギルドの依頼達成による手数料が税金として抜かれているので、全く税金がかからないわけではないわけだ。
だが、確定申告などの税がないだけマシと言えるだろう。
「こんにちは」
「hfkvはsじゃdぐい」
「え、なんて?」
会話ができても言葉は通じないらしい。
【ヒースランド語】のスキルを持っている人のみ会話ができるらしい
この場所の名前かな?
スキルポイント1で教会で取得できるらしい。
「私のお気に入りの場所に案内してあげる。」
僕は玲奈の後についていった。
玲奈のお気に入りの場所に関しては凄いとしか言いようがなかった。
洞窟のような場所で、天井にはいろいろな色の鉱石が散りばめられており、とても幻想的な感じだ。
玲奈が僕のとなりに座った。
「綺麗でしょ」
「そうだな、つい見入ってしまう。」
僕は緑色の石をじっとも詰める。
「この石には一つ一つ効果があってね、赤色の石は力を、青色の石は魔力を、緑色の石は安らぎを与えてくれるんだって。お兄ちゃん」
返事がない
「お兄ちゃん?」
「すぅ………」
僕は深い眠りへと落ちていた。
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次も明日の十二時
新作書きましたよければ読んでください
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