第35話山岳での遭四
芽依side
『レベルが上昇しました』
私にとって嬉しいことが起きた。
レベルの上昇だ。
私にかかっていた状態異常が回復し、ある程度体力も回復した。
私は視覚にマップを表示させ【ナビ】を発動させた。
このスキルを使えばできるだけ早く海くんに会うことができる。
『20秒後、右からフォレストウルフ』
私はすぐ左に曲がり、フォレストウルフに合わないように少し遠回りをする。
海くんはスキルを発動させたところから動いていない。
すると、海くんがいるであろう場所から煙がモクモクとたち昇ってきた。
いざとなった時にそれぞれのアイテムボックスに煙玉を入れておいたのだ。
まあ、今回は効果が封じられてアイテムを出すことができなかったのだが…
私のレベルが上がってないときの考慮だろうか…だが、ぶっちゃけ私は地図が読めないので凄くありがたい。
私はナビの指示を聞きながら海くんのところへ今一度全力疾走で向かった。
私は体力がないが、ポーションのお陰で体力の延命はできているのでこの動き辛い足場でも、なんとか走り続けれている。
あと、50メートル。
その時、森が揺れた。
『グヲォォオ!!』
もうガムシャラだ。私は海くんの所に向かってガムシャラに走った。
木々を通り抜け海くんの所にたどり着いた。
海くんが私に向かって銃を構えている。
もしかして闇烏の時に裏切ったと思われたのかな…そう疑心暗鬼になってしまった。
「しゃがめー!!!」
海くんが初めて聞くほど大きな声で私に向かって叫んだ。
声に体が反応したのか、私は前にスライディングをする様に滑り込んだ。
『ダン!!!』
低く大きい音がなった。いつも聞く音でいつも海くんと一緒に聴く音が鳴った。
その魔力の弾丸は私の背後にいるものを貫いた。
ドスン
と、音が鳴り私の背後にはこの階層での圧倒的王者であるウッドベアーが倒れていた。
これを見ているときに体力の限界が来たのか海くんが倒れた。
「海くん!?」
よく見ると肩から血が流れている。すごい血だ。病院に行ったら輸血が必要なくらい血がドバドバと垂れていた。
私は焦った。
「待ってて。ヒー…」
だめだヒールなんかじゃ治せない。
ヒールを何度かけたってこの傷は治すことができない。
肉が抉れて肩の骨が少し見えている状況でヒールをして傷を塞いでしまったらもう海くんの右腕は使い物にならなくなってしまうかもしれない。
私は恥ずかしくて使わなかったスキルを発動させた。
「【______】」
◆
海side
(駄目だ寝るな!寝ると死んでしまう。)
これほどまで死を意識したことがあっただろうか?いや、人生で一度もない。
眠い…このまま寝たらどうなるのだろうか…いや、寝るわけにはいかない…だが…も…う……
(え!?)
僕は突然のことに驚いた。
僕の唇が塞がれているからだ。芽依が?なんで?ボヤけた視界の中で芽依を見る。
芽依は無心で僕に唇を押し当ててくる。
途端に体の中に暖かいモノが流れ込んできた。
肩の痛みもだんだん取れ、疲れも一気に取れている気がした。
もう、寝てもいいかな?
寝ても大丈夫だよね?
僕はこの暖かいモノに身を任せて意識を手放した。
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