第33話山岳での遭難弐

黒い煙が晴れて、あたりを見渡すと芽依がどこにもいなかった。


「さっきの煙か…」


おそらくさっきの煙から逃れようとするときに、離れ離れになってしまってようだ。


芽依に基本的な戦闘能力はない


なのでもし僕と離れ離れになったら、ここのモンスターに対抗するすべがないであろう。


僕は芽依を探しに駆け出した。



時刻は4時頃。


このフィールドには時間によって朝と夜が分けられる。


僕たちは暗闇対策のアイテムを持ってないので暗くなる前に合流しないと危険が伴うため、一日ダンジョンに泊まらないといけなくなる。


僕たちには【ルーム】があるので、寝る場所はどうにかなる。


だが、寝る場所があっても夜のダンジョンは危険だ。


ルーム内は酸素が無限にあるというわけではないので、定期的に外とつないで酸素を補給しないといけない。


そのときにモンスターが入ってきたら、もしそのときにイレギュラーに出くわしたら…


ダンジョンまだ分からないことが多いので、どんな事が起こってもおかしくない。


僕たちがいま離れ離れになったときにお互い何が起こるかわからない。


僕は最悪の場面を想像しながら芽依を探した。







『ぐおおおお!』


右から緑色の狼が突進してくる。


僕は回避して


「【鑑定】」


何故かできない。


「【鑑定】【鑑定】【鑑定】」


やはり鑑定ができない。


「糞!視れなくても!【ショット】」


銃からショットが発動してこない。


「【ショット】【ショット】【ショット】」


発動しない…


しびれを切らしたのか狼が攻撃をしてくる。


「グハッ!」


一撃をモロに受けてしまい、僕は大きくのけぞる。


「なんでスキルが使えないんだ!」


心当たりは無い。


いや、一つだけ‥あのヤミカラスの煙を最後に浴びたときからスキルを使えなくなっている。


あの煙にそのような効果が付与されていたのかもしてない。


状態異常として『キュアポーション』で回復できるかもしれない。


僕はそう思いベルトにつけている『キュアポーション』を飲んだ。


だが、ただまずいだけで、未だスキルは使えない。


状態異常では無いのか、このレベルのキュアポーションで治せないのかどちらにしろ何分間の効果があるのか


僕はこのスキルを使えない、攻撃手段の一切がない状態でどうやってこの場を凌ぐのか‥


まずはこの狼をどうにかしないといけない。


僕は銃の先端に取り付けてあるナイフに目を向ける。


今手持ちにある武器はこれだけだ。


銃はショットが使えないので、攻撃手段としては弱い。


できたとしても投げつけて時間を稼ぐことぐらいだろう。


僕はイチかバチかにかけて僕は狼に向かって駆け出した。


ただで攻撃を受けてくれるわけでもなく狼も抵抗してくる。



グサッという擬音とともに刃が狼の喉に突き刺さった。


狼の牙も僕の肩に突き刺さっている。


僕は力を振り絞って、ナイフを回す。


『グオ…ン』


狼が力尽きた。


狼の身体がドロップアイテムへと変わっていく。


狼を倒せて嬉しいが、疲れのほうが大きくもう立つことができない。


僕は近くの木に寄っかかった。







肩から血が溢れている。


狼に噛まれたところから血が出て、これ以上出ると命に関わりそうだ。


僕は着ていた服を破いて傷口に縛り付けた。





_________________

☆300達成

☆☆☆→★★★『圧】

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