第15話夏の予定

「おにーちゃん!明日一緒にダンジョン行こ!」


 家に帰ったとたんに玲奈はこう言ってきた。


「いいよ」


 最近一緒に遊ぶことが減ってきて嫌われているのでは?と、若干思っていたのだが、嫌われていないみたいだ。



「なら、明日の放課後すぐに家に帰ってきてね。」


「わかった。」


 明日は相棒(未使用)を一回は使いたい。使えるよね?今日みたいに気づいたときには死んでたってのはないよね。







[明日]


 中学校のほうが早く終わるので、待たせないためにも僕は急いで家に帰っていた。


「おい!お前!」


 誰だよこんな大通りで大声で叫ぶやつ。チョット静かにしてほしいんだが。


 周りの人に知り合いと勘違いされたくないので、さっさと駆け抜ける。


「ちょっとまって。お前だって。おま…」


 


 声が聞こえなくなったので、だいぶ離れたのだろう。


 玲奈が待っているだろうし早く家に帰らないと…







「ただいまー」


「おかえり。おにーちゃん準備。」


「わかったから」


 気が早いなー



 実は事前に準備しているので、かばんを取るだけだったりする。


「よし、行くか!」


「Go!Go!」







「二階そー!」


 もう二階層まで到着してしまった。今回は僕も戦った。


「おにーちゃん1匹」


「右!」


 そう言い僕は左のホーンラビットを銃で撃つ。


 そうしている間に玲奈は右側にいたもう1匹のホーンラビットをサバイバルナイフで切りつけ、倒す。


「ナイスおにーちゃん」


 僕は運動が嫌いだが、別に苦手というわけではない。むしろ得意だ。中学生の時は地区のスポーツ大会に出るくらいは。


「おう!息ぴったりだったな」


 そう、面白いくらいに息が合うのだ。安全のために一応声を出しているが、ぶっちゃけ何も言わなくても戦闘ができる。




 遠目に階段が見える。


「3階層だよおにーちゃん」


「行くか?」


「モチのロン!」


 やっぱり兄妹だな。考えていることが同じだ。


 だが、時間がそれを許さない。あれかじめ6時にセットしていたアラームが鳴り出す。


「えーもう終わり?」


「終わりみたいだな…」


「もうちょっと居たかったのに」


「残念だが帰るか…お母さん怒らせたくないし」

 うちのハウスカーストのトップはお母さんだ。会話でも物理でも勝てる気がしないくらい強い。



「夏休みに家族全員で来るか?」


「ナイスアイディアおにーちゃん!今年の夏の家族旅行はダンジョンに決定!」



 そう約束をして僕たちは家に帰った。


 ちゃんと2階層の草はビニール袋いっぱいに詰めた。明日ポーション用の容器が届くから夏休みのためにもお金を貯めないと。




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