第9話【クリスタル・スライム】
そこには、自然にポップするスライムより少し大きなスライムが待ち構えていた。
サイズが大きいと言っても普段ポップするスライムは大体20センチなのに対して、このスライムは30センチくらいだろうか。
だがこのスライムが他のスライムと決定的に違うことは色だ。そこら辺にいるスライムは、泥が混じったかのような少しくすんだ色をしている。
対してこのスライムは、くすみや汚れといったものが一切なく、ものすごく綺麗でなおかつ透明で『水』と表したほうがいい、表すべき見た目をしている。
【クリスタル・スライム】
見た目は少しきれいなスライムだが、基礎能力ならダンジョンの10層に相当する実力がある。
経験値が豊富で貴族や富豪がこぞって欲しがる。ランダムでレアアイテムをドロップする。
汚れたくないため基本的には動かない。
汚れると死ぬ。
「汚れると死ぬって‥」
弱点が大きすぎるだろ…
10層似相当する実力があるのであれば100勝てないので引き返すが、汚すだけで勝てるなら挑戦する価値がある。
僕は扉の外へ一旦出て埃や砂などを集めた。
どのくらいの汚れで死ぬのかが、わからないためなんとも言いようがないが、考えたところでわからないので、早速行動に移したいと思う。
◆
未だにこのクリスタル・スライムは、部屋の真ん中で鎮座している。
よほど動きたくないのだろう。だがこれは逆にチャンスだ。
僕はゴルフボール大のホコリ玉(ポーションと砂ホコリを混ぜたあとに、錬金で表面を固くしたもの)を手に取りクリスタル・スライムに狙いを定めた。
しっかりと狙いを定めた後に、右手に持っているホコリ玉をクリスタル・スライムに向けて転がした。
結果は……普通に届かなかった。
スライムが、こっちに気がついたようで、すごい勢いで突進してくる。
玲奈と同じくらい、いや下手したらそれ以上のスピードで突進してくる。
流石に避けることができないので、勝つための最後の切り札を使う。
ホコリ玉は僕とスライムとの丁度真ん中くらいの位置にあり、僕は【錬金】を使い、ホコリ玉を覆っている膜を破壊する。もし破壊できなければ、おそらく死ぬかそれなりにやられるだろう。それくらいピンチな状態だ。
「落ち着け落ち着け…」
そう自分に言い聞かせる。
時間がものすごく長く感じる。1秒1秒が長く感じ、もしこれが成功しなかったときの恐怖が襲ってくる。
あと5メートル…4メートル…3メートル…2メートル…1メートル_______ゼロ。
スライムが、ホコリ玉の上にちょうど重なった。
「喰らえ!!【錬金】!!!」
ホコリ玉から、ホコリが一気に溢れ出す。
『ピギ!!』
「倒したか?」
【経験値取得によりレベルが1に上昇しました】
【経験値取得によりレベルが2に上昇しました】
【世界初のレベルアップを確認しました。称号【先駆者】を取得しました】
【格上との勝負に単体で勝利しました。称号【ジャイアントキリング】を取得しました】
レベルやら称号やらを入手したのだが、もう疲れているので、確認は後でにしたい。
とりあえず【クリスタル・スライム】がドロップをかばんに入れて僕はその部屋をその扉を後にした。
________________________
ご覧頂きありがとうございます。
文の間隔を少し開けてみました。個人的にこっちの方が読みやすいので次からもこっちで書かせていただきます。
☆訂正
第5話の一番最初のダンジョンができた日付を12日に変更いたしました。理由は
『ダンジョンができる』→『一週間学校休み』→『即夏休み』
となり、学校でのシーンがかけないことに気がついたからです。あまり影響がないかと思いますが、とりあえず耳に入れてくださると幸いです。
☆30を突破いたしましたありがとうございます。
執筆の励みになりますので、☆をつけてくださると嬉しいです。
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