第12話 初ダンジョン

30分程進むとダンジョンの入り口が見えた。

 志郎はダンジョンに入るなりアースウォールで入り口を塞いでダンジョンを隠蔽した。

 志郎の説明だとセリカのパワーレベリングを兼ねてダンジョン攻略を行うとの事。


ここはいかにも洞窟の岩がごつごつしてるダンジョン階層だ。


 セリカは志郎に抱き付いた。緊張の糸が切れ感極まったのだ。


「ありがとう志郎さん。おかげで逃げられたよ。ううう辛かったよー」


 セリカは泣き出した。

 そして志郎に甘えた。

 志郎は黙って抱きしめて背中をさすってくれた。セリカは嬉しかった。硬い皮鎧越しだが、ちゃんと抱き締めてくれたのだ。セリカの行動は仕方の無い事だった。高校三年生でこんな状況なのだから気を張っていたのだ周りも理解している。


 志郎はそんなセリカを健気に思い、守ってやらないと、例え命を掛けてでも!と己に誓う。


 他の者は目の前に新たな勇者が現れ感動していた。

 ナンシーは


「本妻はセリカ様になるのですね。」


 と言う。セリカは本妻という言葉にぴくっとなった。結婚するのかな?きゃっ!と赤くなり、今抱きついている志郎を結婚相手として意識した。


 ナンシーはセリカが既に志郎の妻になると受け入れているようだった。


 入り口をよく見ると壁に埋め込まれた魔石の様なの物が有った。志郎がナンシーに質問すると、初心者ダンジョンには無いが、通常のダンジョンの場合転移石により行った事のある階層なら選んで転移出来ると説明をしていた。この2人の関係も素敵だが、今この場に何人いるのか良くわからなかったが、10人を越えているのには驚いた。


階層を進んだその階層の入り口にやはり転移石が有ると言う。


入り口でくすぶっていてもしょうが無いので先に進もう!と誰がが言い、皆頷いて進む。


 出てくる魔物はゴブリンやらオークがメインで大した事は無い感じだった。


 志郎が皆にダンジョンの話をしていた。完全攻略し、可能ならコアを回収すると。

 10日位分の食料を持っているのと、パーティーは3つに分ける。夜営は2、3人一組の見張りを立てる。

 テントと布団を用意している。

 パーティーはブラックスワンは4人のまま。

 ブラックオニキスは俺とシェリー、ナンシー、セリカ

 新たにムーンストーンを作り、フレデリカがリーダーで、副リーダーはクレア。シータとエリシス、ニーベリングの五人に。レベルの近さや強さでバランスを考えての配分だと。

 セリカとニーベリング、ブラックスワンの面々はレベルを上げるのと、戦闘訓練も兼ねて中心的に闘って貰うと。勿論やばくなったら俺が助けると志郎がセリカに優しく語り掛ける。


セリカはただたただ頷き、守って貰えるなら行けるなか!と頼もしい存在に安心していた。

生き残るのに自分自身も動かないとだと認識していたのだ。


 今は追っ手が怖いので10階までは小休止だけにして、可能なら10階まで急いで行き、そこで野営してセリカの話をちゃんと聞くと話してくれた。今はとにかく時間が惜しいと言われ、セリカは頷くしかなかった。


 念の為1、2階は志郎が先頭で倒す、時間優先だからだという。


 セリカのレベルがいくつか上がったのが分かる。セリカのレベルが上がる度にセリカがレベルが上がったと唸ったからだ。頭にレベルアップしましたとアナウンスが聞こえるので、知らなかったからセリカは最初のレベルアップで悲鳴を上げて、ニーベリングに抱きついて震えていた。


志郎がレベルが上がるとどうなるか説明してからは、「志郎さん、また上がったよ!xxになったよ!」と嬉しそうに声を掛けていた。戦っていてもお構いなしに。フレデリカが首を傾げていた。


セリカの レベルが上がったので、3階からはニーベリングとセリカに経験を積ませる為2人が主に戦うように言われセリカが剣を振っていた。

セリカはいっぱいいっぱいで必死だった。オークに剣を突き立てた時はその感触に吐きそうになった。血が吹き出し、気絶しそうになる。当たり前だ。日本にいて、女子高生が哺乳類や小鳥以上の大きさの生き物等殺した事など有る訳が無い。志郎はしくじったのだ。既に人を殺す罪悪感が無い志郎は、セリカが生き物を殺す忌避感や、自分が殺したとの狼狽えを気にしなければならなかった。しかし、皆生き物を殺す忌避感は素でに無く、セリカの心のダメージに気がつかなかった。


最初の一体を倒した後から、


「殺しちゃったよ。殺したよ」


とぶつぶつ呟いていたのだ。


 程なく地下4階に降りる。ここから地下10階迄は少しづつ魔物の数や強さが上がるが志郎の戦いぶりからは余裕を感じた。道は一本道で分かれ道をまだ見ない。10階はボス部屋が奥にあった。だれからか、ボス部屋に来たので少し休みましょうねと手を引かれ、腰をおろした。心ここに在らずだった。


 ボス部屋前で小休憩をした。しっかり休み、ボスに挑むのであった。

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