第10話 準備

 セリカは悩んでいた。

 荷物をどうするかだ。


 怪しまれない範囲でアイテムボックスに入れる物を選定していかねばならないからだ。この世界に来てから得た物に特に思い入れは無い。


 それと大事なのは明日の下着だ。

 まず間違いなく志郎さんに見られる。多分裸も。

 既に多くの女性とハーレムを作っているから、複数の女性と既に体の関係にある筈だ。良い意味で志郎が女性慣れしているが、そんな周りの女性と比べ自分が見劣りしないか?裸を見て相手にされないなんて悲劇かなと。こんな感じで少しお花畑が出来つつあった。


 あの女性は皆、女の自分から見ても素晴らしいプロポーションだからそんな事をついつい考えた。

 昨日までと大違いだ。


 セリカは自分の胸をクラスメイトと比べて綺麗だと自信を持っている。志郎の顔が一瞬にやけていたような気もするが、自分をちゃんと一人の女と見てくれるか心配だった。


 自分はまだ高校生だ。彼は大人だ。私みたいな子供を相手にしてくれるのか?と。


 そして下着選びだ。


「下着って大事よね!」


 と一呟いていた。

 基本的に召喚された時の荷物や制服、着ていた下着や肌着、靴や鞄は全て収納に入れている。勿論スマホもだ。


 再び出すのは恐らく志郎に保護され、安全な場所を確保してからと半ば確信している。


 ドレスは捨て難かった。普段着一着、冒険者用の服、下着2式をアイテムボックスに入れて、他の服は置いておく。

 ドレスは女の見栄だ。

 志郎の元に行く時にドレスの一着位は持っていたい、勝負下着や服としてドレスは外せれなかった。


 予備の服一着と冒険者用の服や下着も少しは持っていないと怪しまれると思うから入れた。また、初日に貰った冒険者の手引きも入れた。明日の実戦訓練に持参するのが普通かなと。そんな感じでチョイスしていた。


 結局下着は冒険者が活動する時に着る味気の無いのを選んだ。もし今日志郎達に会っていなかったら着たであろう下着を選んだのだ。確か死体のその時着ている全てを着せると言っていたのを思い出して、明日の服は全てを色気の無い物にする事で決まった。


 ドレス以外でアイテムボックスに入れるのは怪しまれない荷物を基準にしていた。


 それとセリカはまだ気が付いていなかったが、ギフトの一部能力の封印が解除されている。


 テレポートだ。一度行った場所に転移できる。

 手で触れている人と一緒に行けるのだ。


 完全な封印の解除は首輪の関係でまだだが、一度行った事がある場所の記録は、先程志郎に胸を触わられた時からスタートしていた。


 そして明日に備えて眠りにつこうとするが、胸を触られた恥ずかしさと不思議な感覚を思い出して真っ赤になっていて、暫く寝れなかったりするのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る