第8話 情け容赦なく
早速念話が来た。
頭の中で会話が出来るのだが、不思議な感覚だった。
「お兄さんことランスロットいや、志郎だ魔力を少し込めたら念話が出来る。」
言われたように魔力を込めるとなんと無く分かった。
「あっ出来ました。
「セリカ何が有った?」
「皆洗脳されてて酷いの。私は3日後に王の夜伽の相手をさせられるらしいの。もう既に何人かの子が毒牙に掛けられてるの。勇者召喚なんて嘘っぱちよ。あんな奴に私の純潔を捧げるなんて耐えられない。死んだ方がましよ。みんなただの操り人形に成ってしまって、何を言われても盲目的に従うの。王の前で裸で踊れと言われたら皆裸で踊るわよ。」
嫌悪感がついつい出てしまった。
「酷いな。洗脳は解けそうに無いのか?」
「多分無理。精神を一度壊して人格を殺してるっぽいの。私には効果が少なくてすぐに正気に戻ったけど。」
「分かった。何とか助けよう。俺の指示に従ってくれ。決して騙したりしない。まず奴隷の所有者を俺に書き換える。ステータスも偽装する。それと生き残る為のスキルを与える。俺かなりのチートなんだ。」
衝撃の発言だった。自分が奴隷になっていると言うのだ
「わかったわ。例え手籠めにされてもお兄さんだったらあのデブよりましね」
「そんな事しないよ。体の関係になるとしたらちゃんと恋愛してお互いに愛し合ってからね。」
「お兄さんいや、志郎さんって結構キザな事言うのね。うん、どちらにしろ志郎さんに縋るしか無いんだよね。どうすれば良いの?」
少し間があり志郎から指示が来た
「明日君達に魔物の群れをけしかける。そのどさくさに君の身柄を確保させて貰い、その場でこちらが用意した服と装備に着替える。そして数日間ダンジョンに逃げ込む。装備や服を盗賊の死体に着せてそこらに放置する。先日殺した盗賊の中に女盗賊がいた。死体が有りまだ持っている。顔を削れば魔物が食い散らかした死体の出来上がりだ」
と酷い事をさらっと言うのでセリカは考えなしについつい言ってしまった
「しれっと恐ろしい事言うのね」
「そうしないと生き残れなかった。何度も死にかけて血反吐を吐いてきたんだ」
セリカは失言に気が付いた。そう、彼は危険な所に放逐されたのだ。生き残るのはそんなに簡単な事ではなかった筈なのだ。
「ご、ごめんなさい無神経だったよね。そっか、そうだよね」
「収納に大事な物だけ入れておくんだ。こちらで手に入る物は要らない。怪しまれない程度で良い」
「分かったわ」
「それとこれから一度怪我をして貰う。俺がヒールを掛けるから、怪我で大袈裟に呻くんだ。スキル付与を誤魔化す。いっとくがスキル付与は相当数恥ずかしい事になるし、失禁するはずだ。覚悟しておいてくれ」
「どういう事ですか?」
「まじめに話すからちゃんと聞いてくれ。スキル付与を行うと逝くんだ。つまりエクスタシーに達して、それと同時に皆失禁している。それと心臓に近い所に手を添える必要が有る。つまり胸を触るんだ」
「分かったわ。それで助かる可能性が高くなるなら何だってやるわ。もし騙したら許さないんだから」
「そろそろ時間だ。明日の場所を教えてくれ」
「先日オーガが出た森に朝から入って調査を兼ねるって言ってたよ」
了解したといい、フレデリカという剣士が本気で怪我をさせてくるが、恨まないように言われ、セリカの骨を折る又はそれ位強く打ち付けるよう指示をするとの事だった。
セリカは怪我の事より恥ずかしさでいっぱいだ。一つは自分の事しか考えていなかった事。もう一つは真面目に話しているのは分かるが、胸を触ると言う事だ。
あの幻影は別として、今まで男の人に胸を触られるなんて勿論経験がない。キスすらまだなのだが、いきなりBからだ。と志郎に助けて貰えると、白馬の王子様が期待通りに現れた安心感からか、羞恥心が出てきたのだ。
そしてセリカがおろおろしている間に志郎は皆に指示を出していた。
「明日、一番髪の長い娘を助ける。今は奴隷の主を変更してスキルを付与する。セリカと言う子だ。フレデリカが怪我をさせるので俺が治しに行く。そうすると君達は心配して慌てて駆け付けるんだ。不自然にならないように周りから隠して欲しい」
と志郎が指示をして作戦がスタートしていく。
フレデリカに相手をさせるのは志郎よりも技術を持っていて、加減が分かるだろうからだった。
フレデリカは志郎に助けられたひとりで、男装の麗人宜しく剣に長けている。先の騎士団団長と同じく鍛えられていて無駄な肉がなくスラッとしている。女性からも迫られそうなキリッとした美女だ。セリカは胸以外勝てそうにないなと苦笑いしていた。志郎の周りにこんなに美人さんがいたら自分なんか子供で相手にされないかな?志郎さんは振り向いてくれるかな?と不安もあったが、あの真剣な口調はきっと少なからず自分に好意を持ってくれているのかな?と考えていた。
ハーレムについては講習で聞いていて、そういう世界だと半ば受け入れていた。志郎のハーレムの一員でも良いと、自分も他の女性のように大事にしてくれるなら良いかなと嫉妬感は無かった。
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