第6話 服選び
朝は目覚めと共に頭の中にアラームが鳴った。また何かのシステムメッセージのような声がして唖然としたのだ。
「精神攻撃レジストリ成功。洗脳は解除されました」と聞こえたからだ。
今日はカリキュラムの最初の一群の超初級講習分を終えて、この世界を生きる為には服が必要との事で、色々な服をオーダする日だという。馬車で大きな服屋に連れられての採寸だ。
セレナはそういえばこの所の記憶が曖昧だなと恐怖を感じていた。
ただ、ノートに自分の筆跡で講習内容をメモしていたのだが、講習の内容は殆どの覚えていない。それと愕然としたのが、16日後に、王の夜伽の番と書いてあった。勿論記憶にない。
またクラスメイト達と話すのが苦痛になっていた。会話は成立するのだが、話が噛み合わない。
今朝もそんなクラスメイトの一人が昨日王に抱かれたと嬉しそうに話し、子種を頂いたと話していてた。また「セリカも16日後に決まって良かったね」と言われたのだ。何をされるかはっきりしたのだが、皆純潔をほいほいと捧げていた。まあ、既に純潔じゃない者もいたのだが。
何とか逃げ出したいが、今はまだ駄目だと本能が告げる。にげられないと。
セリカの調べた限りでは自分以外で正常なの者は居なかった。性格も変わっている感じだ。一度人格を壊して別の人格を持ってきたかのように違うのだ。記憶は引き継いでいるのでちゃんと名前で呼ばれている。もう今は相談に乗れる者も鋳ないと確信していた。
セリカは夜な夜な泣いていた。お兄さん助けて!あのデブに犯される前にと。
服をオーダーした日は本来ならばドレス等を作るのに採寸をしたり、記事や色を選ぶ等でウキウキな筈だったのだが、セリカは沈んでいた。店員の言うがままに頷いていた。店は100坪位の高級店で、貸し切りだ。どんな店だったか、馬車がどんなだったか、意識が朦朧として覚えていない。
それと自意識を取り戻した直後は気分が悪かった。
服はパーティ用のドレスや普段着を数着だったとだけ覚えている。
それから数日は戦闘と魔法の訓練だった。セリカは治療系か得意で、訓練中怪我をした者の治療をする係りになった。
何日経過しただろうか、怖い位にスムーズな訓練だった。時間がある時に書物を読もうとしたが、字が読めなかった。最初に渡された冊子は日本語で書かれていた。数日に一日は休養日になったが、警備の関係と、まだ街に行く為の準備が出来ていないとして外出は禁じられていた。なのでセリカは疲れたと言い部屋に引きこもっていた。
それと、時々記憶が飛んでいる。ふと気が付くと悶々としていて、つい自慰行為に及びたくなる。今までそんな事をした事もないのだ。ただ、隣の部屋から、自慰行為をしている呻き声がする。何かが可笑しい。実は既に麻薬の一種を盛られていた。
城から既に精神支配が効いていないと悟られていて、王に抱かさせる為に薬漬けにしようとしていたのだ。
勿論セリカは気が付かない。また、自慰行為をしたいと思った自分に驚いたのと、「お兄さんごめんね。セリカははしたないいけない子になったかもか」とすすり泣いていたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます