新たなる世界

第1話

周りは真っ暗

何も見えない

５年前だったか・・・６年前だったか・・・

生まれてすぐに、僕はたくさんの兄弟とこの場所に来た

その時は、たくさんいた兄弟も、ひとり、またひとりと減り、

気がつけば、僕と後、数人になってしまった。

病気で死んだ者もいたし、他の動物の餌となった者もいた

でも、この世界はわりと楽しい。

食うには困らないし、とても居心地がいい。

でも、この世界とも、もうお別れ

僕の本当の役目は、この後の数週間にある

この世界は、そのための準備期間

僕たちが、その役目を果たす為には、そのだけの年月がいるのだ

そして、その時期が、せまってきている

明日か・・・

明後日か・・・

この世界から出れば、大変な事が待っている

限られた時間で、パートナーを見つけ、そして新たな命を託す。

それが、僕の役目

そのためには、この慣れ親しんだ姿から、出ないといけない。

パートナーを見つけるためには、鳴かないといけない

見つけられないかもしれない

それまでに、命が持たないかもしれない

でも、僕は限りある時間を、精一杯生きる。

おっ、そろそろ地上へ出ろと、体が言っている

せめて、命のバトンを手渡すまでは、この見が持つ事を・・・

そして、５年ぶりに地上へと顔を出す。

ここは、地中よりも広いようだ

さあ、行こう

新たな場へ