第47話
突然現れた神様に驚きながらも疑問を投げ掛ける幸之助。
幸之助
「亮介は自分の意思で戻ったのですか?」
神様
「そうじゃ」
美麗
「あたし達を恨んでないのね?」
神様
「むしろ、感謝しておるぞ…これは奴の手紙じゃ」
〝 みんな黙って帰ってゴメン… でも面と向かって別れるのは辛すぎて無理かも知れないと思ったから… 僕が逆転世界で生きた事は楽しい思い出になったけど、みんなのお陰で人の優しさを知る事が出来た…これが僕の最大の宝になったよ!
前に、別世界は僕にとって地獄じゃないかって言われたけど初めて逆転世界に来た時、元の世界で僕をバカにしたり虐めていた奴らを見つけて仕返ししようかとか考えた、だけど元の世界で僕を虐めていた奴らは逆転世界では元の世界の僕なんだとも思った…
どっちの世界でも天国と地獄は共存してる…
美意識がある限り無くならないと思う…誰のせいでもない…
ただ、僕は逆転世界で初めて優しさを知って救われた…優しさが何なのかわかった気がした、自分でも上手く言えないけど、だから僕の事は心配しなくて大丈夫みんなのお陰で新しい夢を持てた…
だから今は未来が楽しみだよ。
別世界から皆の活躍を応援してます。今日まで本当にありがとう。 亮介 〟
ユミカ
「さすが亮介、前向きね」
美麗
「そうね… でも亮介の夢って何だろう」
神様
「本当の恋をするって言っとったぞ」
幸之助
「ハハッ、アイツならきっと叶えるさ」
神様に亮介が頼んだ願い、1つ目が夏希を異次元に呼んでくれとの事だ。 異次元の暗闇が回転するとそこに夏希が現れた、突然の暗闇に夏希が叫び出した。
〝いやぁ~~!! たすけて!〟
暗闇に恐怖する夏希を亮介が抱き締めて落ち着かせると、全ての決着がついた事や、これで元の世界に帰る事を話した。
夏希
「だったら…私も…行きたい」
亮介
「1つの世界に2人の自分は居られないんだ…それに僕は、夏希にとっては偽物の亮介だよ…」
「それでもいいよ、お願い!」
「…2つの世界は真逆…こっちで頂点の僕は元の世界ではブサイクの極みだ…夏希が好きなのはこっちのスターの亮介だ、僕じゃない…」
「そんな事ない!」
「僕と居たら何処にいても後ろ指を指される事になる…僕がスターじゃ無いって分かって結局別れる事になるさ」
「確かに…私はスターの亮介が好きだった…でも、出会って本当に愛したのは貴方なの…今さら離れられない…」
夏希が泣き出した。
夏希
「貴方は割り切って元の世界に戻れるかも知れない…でも私は、別世界の人だったんだ、じゃ~さようなら何て、今さら無理だよ…」
「夏希、よく聞いてくれ…僕と夏希の恋は嘘と幻の恋だったんだ…」
「嘘と幻…」
「そうだ…スターの亮介の振りをした僕の嘘とスターに愛されたと言う幻を…信じようとした夏希…
そんなあり得ない現実が君の感情を苦しめたはず…僕と居ても本当は楽しくなかったんじゃないか?」
「亮介を信じたかったけど信じられなくて何が本当で何が嘘か分からなくて… つらかった」
「僕は君に愛されて幸せだった…元の世界で誰にも愛された事がなかった僕は有頂天だった…でも何かが違った… そして、そう感じるのは二人の間にある嘘のせいだと気付いた…元の世界では夏希が僕を好きになる事は絶対にない、そう考えると僕もまた自分の嘘が作り出した幻を愛してる事になる」
「何で…そんなの、やだ…幻なんかじゃ無いって…ほら…ここに居る」
夏希が亮介の顔に手をやる…夏希の手の温もりに抑えていた亮介の感情が涙になって溢れ出す…
それを見た夏希がさらに泣き出す。
夏希
「こんなにあたし達暖かいよ…」
「この温もりが僕に、元の世界で生きて行く勇気をくれた…」
「えっ?」
「こっちに来て、初めて人の優しさや愛される事の喜びを知った…そしてそれが生きる力になるって分かったんだ…」
「生きる力…」
「夏希は、元の世界の僕なんだ…」
「私が…?」
「人に必要とされる事なく、生きる目的がなく、人に愛されてもそれが信じられない… でも僕は、夏希を本気で愛せた…」
「……」
「夏希は元の世界の僕… 夏希が愛されたって事は僕も愛される事がきっと出来る… そう思える様になったんだ…僕はこの世界にはもう居られない… だけど元の世界で今度は勇気を出して人を好きになって…本当の愛を手に入れる」
「本当の愛…」
「だから、夏希も幻なんかじゃない愛を…本当の愛を手に入れてくれ… 他人の目なんかもう気にしないで心の目で相手を見て幸せになってくれ…」
「そんな…私に出来るかな…」
亮介が泣き出した…
「僕がこんなに好きになった人だから…夏希ならきっと出来る」
しばらく泣きながら抱き合うと別れを受け入れた夏希が、亮介の言葉を信じて生きると呟いた…その言葉に亮介は〝ありがとう〟と言うと神様に夏希を逆転世界に戻すよう頼んだ。
神様が夏希を戻すと最後の頼み事2つ目のお願いをする亮介…
亮介の最後のお願いは元の世界ユミカの居場所だった、亮介の新しい夢は元の世界でユミカと恋人になる事だった。
都内某所
元の世界でユミカを見付けた亮介が声を掛ける。
亮介
「初めまして、亮介と言います。良かったら少し話しませんか。なんてったった、僕達は運命なんだから!」
〝世界が愛で溢れます様に〟
完
美・逆転世界 山光 海闇 @ykaian
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