第44話
翌日 9:30
亮介は、自宅のタワーマンションから外を見下ろし、この生活を手放したくないと強く思うが、執着して取り乱す桜(元の世界)の様にはなるまいと考えていた…
しばらくすると美麗から電話が掛かって来た。
亮介
「もしもし… いや、何の連絡もないよ… わかった… そっちも何かあったら連絡して」
美麗は携帯に直ぐ出れる様にしてるから何かあったら連絡してと伝え電話を切った。
悪魔と対立してる今、仲間からの連絡を心強く思う亮介…自分が仲間に見張られてとは微塵も感じていなかった。
11:00
亮介のスマホが光る、桜からメールが来た…直ぐに内容を確認する亮介。
〝今夜、返事を伺いに行きます〟
亮介の都合を考えない強引なメールだ…亮介は、直ぐに返信はせず美麗に電話を掛けた。
美麗と話した結果、20時に来るよう返信する事になり亮介は桜にメールを送った。桜からは了解とだけの返信が来た。スマホをしまうとニジTVに向かう亮介。
12:00
ニジTV 第一会議室
亮介が会議室に入るとすでに美麗とユミカが居た。亮介は助けを求めるように話し出す。
亮介
「桜に何て言ったら良いかな…」
美麗
「まだ、悩んでるって言って相手の出方を見るのがいいと思うんだけど、ユミカはどう思う?」
ユミカ
「亮介は、どうしたいの?」
〝どうしたいの〟と言う選択権を亮介に委ねるユミカの言葉に美麗が緊張する。
美麗は亮介が桜側に着く事が無いように話を進める積もりでいたしユミカも当然そうだと思っていたからだ。
亮介
「やり方は色々あると思うんだ…美麗が言う様に答えを先延ばしするか、僕を引き込もうとする桜を逆に説得する…または、桜に着いた振りで情報を探る…でもどれが最善かが分からなくて」
美麗
「確かに色々あるけど、桜を説得するには可哀想だけど手遅れだと思う…かといって桜側に着いて探るのも危険過ぎる…」
消去法で答えの先延ばしを進める美麗だが、ユミカは亮介のもっと心の奥を覗いていた。
ユミカ
「何となく、だけど…桜を説得するとか、桜側に着く振りをするとか… 自分が死んでも良いとか思って無い?」
亮介
「… 僕はヒーローじゃないけど、この命で皆が助かるならそれでもいいかな…」
ユミカ
「犠牲になんかさせない、皆で助かるのよ」
亮介
「もちろんそうだよ。僕が言ってるのは最悪のケースだよ」
美麗
「そうよ、基本的には神様が悪魔を消してくれるんだから」
美麗に着信が来た、画面には幸之助とある。
『もしもし
悪い…なんか見張られてる見たいなんだ
えっ、見張られてるって…まさか桜
分からない、サングラスにマスクだが女じゃない
悪魔側の人間
そうだと思う。 そっちは大丈夫?
誰も尾行とかはなかった見たい…
神様を呼ぶんだろ?
そうね…
僕が行くと神様との繋がりがバレるかも知れないから
分かった、皆にはあたしから言っとく
また電話する』
電話が終ると幸之助の事情を話して今は来ないと説明した。
亮介
「見張られてるのか…」
ユミカ
「私は大丈夫だったけど、油断出来ないわね」
美麗
「特に、亮介は気を付けて」
14:50
ディンラバ 社長室
幸之助は、見張りが居るのに気付くと知り合いに優秀な興信所を紹介してもらい尾行の尾行を依頼していた。
幸之助のスマホにメールが届く…興信所の探偵からだ。
〝相手の素性が分かりました。ですが、すみません。こちらの尾行もバレてしまいました〟
メールを見ると直ぐに興信所の所長に電話を掛ける。
幸之助
「もしもし大膳です」
所長
「田所です」
「流石ですね、もう素性が分かったとか…」
「はい、ですが尾行に気付かれてしまい追跡が難航してます」
「難航はしてるけど、そのまま調査していると…」
「もちろんです」
「何者ですか?」
「端的に言うと相手も探偵です…」
「なるほど、じゃあ誰かに雇われてるのか…」
「ですが、普通の探偵じゃありません。一般から依頼を受ける事はなく社員も雇わない不良探偵です」
「なにやらキナ臭いですね」
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