第38話
ニジTV
第一会議室
亮介の“神様の角”に会った発言で会議室がざわめく。
幸之助
「どういう事だ、神様の角が会いに来たのか?」
亮介
「そう… しかもそれどころか神様の角はみんなが知ってる人だよ…」
ユミカ
「私たちが知ってる人…」
亮介
「皆に、落ち着いて聞いてくれ…」
全員に緊張が走る…まだどこかで亮介の話を信じきれない皆だが信憑性が一気に増してくる…
亮介
「昨日の夜、僕のマンションに神様の角だと言ってやってたのは2人の桜だ…」
幸之助
「2人の、そうか… 世界が2つだから転移したら桜が2人になる…もう1人の桜が神様の角って分けか」
美麗
「桜って、高見沢桜?」
亮介
「もちろん、そうだ…」
ユミカ
「そう言われると… 桜は人によって良い人だったり嫌な奴だったり印象が違うのが納得いくわね…」
幸之助
「一度話を整理しよう… 不思議な出来事が続いてるが始まりは亮介が別世界をカミングアウトしてからだ…先ず神様が亮介を隠して僕達に別世界を認識させた…
すると今度は別世界の桜が現れて僕達は別世界を確信する…」
美麗
「亮介のカミングアウトを待ってたかの様に別世界が動き出した感じね」
幸之助
「そうだと思う…
今まで水面下で蠢いていた別世界が亮介を中心に表に出て来た…」
ユミカ
「神か悪魔かも分からない者同士の対立に巻き込まれる…」
亮介
「…神の戦い…怖い…巻き込まれて生きてられる気がしない…」
亮介はもともと、いつ死んでもいいやぐらいの気持ちで生きていたが逆転世界で今まで手に入らなかった愛…仲間…名誉…金など様々な物を得てしまった。
その結果、死を恐れる様になり仲間の前で怯えた姿をさらす。
幸之助
「亮介の事は僕が必ず守るから心配するな…」
亮介
「ありがとう…本当に凄い怖いけど…今の生活を、失くしたくない…絶対に、だから頑張る」
死の恐怖に怯えつつも、楽しい今を失わない為には最善の努力をする決意が亮介にはあった。
ユミカ
「桜達は、何しにきたの…」
亮介
「ん~それが、はっきりしなくて」
ユミカ
「はぁ? どう言う事…」
亮介
「僕も、会いに来た目的を聞いたんだ…そしたら“人間に生きる価値があると思う”かって聞かれて…」
美麗
「なにそれ?」
ユミカ
「何か、質問が怖くない」
幸之助
「うがった解釈したら、人間は死ねべきって感じだな…」
亮介
「そうなんだ… まぁ、桜に言わせると同じ人間が2つの世界のせいで天国と地獄を味わうのはおかしい、いっしょに何とかしようって言って来た…」
幸之助
「亮介にとってはこっちは天国…その真逆の向こうは地獄…」
ユミカ
「どう言う事…桜は世界を1つにしたいの…」
その時、亮介のスマホが光ったメールだ、相手は“神様の角”元の世界桜。メールを読んだ亮介が内容を皆に話す。
亮介
「神様の角が2人で話したいって言って来たけど、ちょっと見てくれ…」
そう言ってスマホを見せる。覗き込む3人。
“桜が居ない今のうちに、2人で話したいの時間が無いから直ぐに向かいます。かって言ってごめんなさい”
美麗
「もう1人の、桜…向かうって亮介のマンション?」
亮介
「そうだな」
幸之助
「…亮介が1人では危険かも知れないな…」
ユミカ
「私達も隠れて着いて行けばいんじゃない」
亮介
「桜には内緒で会いたいらしいから、1人で来ると思う… 危険は無いんじゃないか…」
今から、1時間ほど前のeveエンタープライズ社長室。
スマホを手にした館石社長は何処から仕入れたのか桜の携帯番号にメールする。内容は “もう1人の桜さんの事でお話しがあります” だ… 館石はメールを送って1分ほど空けてから桜に電話する。
館石社長
「桜さんですね… えぇ、ワタシです… 分かりました」
桜は、いま手が放せないので折り返すと伝え電話を切った。
桜
「芸能プロの社長にあなたの事がバレた見たい…」
元の世界桜
「どうするの…」
元の世界桜が不安げに尋ねる…桜のそばに居るが、元の世界桜は何故か怯えている様にも見える。
桜
「すぐに、忘れて貰うから安心して…」
その言葉に更に不安を募らす元の世界桜。
逆転世界桜は元の世界桜から離れると館石に電話をする…暫く話して電話を切ると元の世界桜に近づいてきた。
桜
「ちょっと出掛けて来るから…」
元の世界桜
「どのくらいで戻れるの…」
桜
「相手次第でもあるけど2、3時間で戻るから…あんまり遅くなる様なら1回電話するわ」
元の世界桜は逆転世界桜が車で出て行くのを確認してスマホを握った。
… 今なら、桜に気付かれないで亮介さんと話せる …
スマホから亮介にメールを送ると自宅を出ていった。
ニジTV
第一会議室
話し合いの結果亮介が1人で会って桜側の情報を少しでも引き出す事になった。
亮介
「行って来るよ」
幸之助
「用心しろよ…」
3人は一応にシリアスな面持ちで亮介を見送る。
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