第37話


亮介


「確かに曖昧な美意識のせいで2人の自分は天国と地獄…」




「余りにも理不尽だわ」



亮介


「だけど、世の中はその美意識で動いてるし…それを止める事は出来ないよ…」




「それを何とかするのに協力して欲しいの」



… なに言ってんだ? ぜんぜんわかんない、こいつこえぇ~~ …




亮介の返事を待つ桜…困惑し怯える亮介…それを見守る元の世界桜…


 再び、重苦しい空気が漂うと元の世界桜が逆転世界桜に話し出した。



「今日は、いったん帰りましょ。亮介君も1人で考える時間が必要だと思うわ」



… 来たぁ~~! 待ってましたその言葉!!! こりゃ便乗するしかないっしょ! …



逆転世界桜にビビりまくりの亮介は、このチャンスを逃すものかと喋り出す。



「確かに、1人でじっくり考えて見たいな…僕にいったい何が出来るのか」



逆転世界桜は、何か言いたそうだが一見前向きとも思える亮介の発言に納得したのか帰る仕度を始めた。





「また来るわ」




そう言うと2人の桜は亮介のマンションを後にした。




亮介は2人がマンションを出てタクシーに乗り込むのを確認すると玄関の鍵をチェックしてチェーンを掛けてインターホンをオフにした。




… やっと元の世界の人に会えたと思ったら… 大量に厄介じゃん! どうしよう…


 桜は人間に生きる価値が無いと思ってるようだけど、どうしようってんだ? 冗談じゃないよ、こっちはやっと人生面白くなって来たのに… あぁ~~過激にしんどいよぉ~~!


 …僕とは別の神様って言ってたけど…そいつに言って人類滅亡でもするきかなぁ…


 とにかく、あいつらとは暫く会わない様にしないと …





亮介は明日のニジTVでの会議の議題に厄介事が増えたなと思いながら眠りについた。





翌日 


ニジTV 第一会議室



亮介が会議室に入ると既に美麗、ユミカ、幸之助が待ち構えていた。


 




亮介


「なんか…お待たせって感じだね」



美麗


「始めましょう…神様が何故あたし達と会いたいのか…」



亮介


「その前に、重大な話があるんだ…幸之助には前に“神様の角”の話ししたけど2人にはまだだよね…」



そう言うとスマホを操作して開いた画面を美麗とユミカにみせる。




  “こちら側へようこそ”




差出人には神様の角と書かれている。



亮介


「こちら側へって事はあちら側…もう1つの世界を知ってる…そして神様の角って名乗ってるけど神様に角があるのを知ってる…」



ユミカ


「亮介と同じ人がもう1人居るってこと…」



亮介


「そう…それで、その人か昨日僕のマンションに来たんだ」






会議室で、亮介が衝撃の報告をしてる頃、eveエンタープライズの社長室では探偵と館石社長が更なる悪巧みをしていた。






探偵


「山神亮介を張っててとんだ大スクープを手に入れたかも知れない…」



館石社長


「金に成りそうか?」



探偵


「正直、俺はもう山神はどうでも良くなって来た… やつのマンションを張ってたら驚いた事に高見沢桜が来たんだ…」



館石社長


「はぁ? 桜も山神のサポーターだから特に不思議じゃないだろ」



探偵が館石に写真を渡した、その写真には背格好の似てる2人の女が写ってる。



館石社長


「これは桜か…もう1人の女は…」



探偵


「帽子にサングラスをしてるが写真を解析したら…2人とも高見沢桜なんだよ…」



館石社長


「おいおい、なんだよそれ…そんな訳無いだろう」



探偵


「お前、俺の写真の解析力知ってるだろ…」



館石社長


「…それはそうだが… どういう事だ?」



探偵


「桜は双子だったって事になるが、そんな公表はしてない…」



館石社長


「……つまり隠してる… 何か秘密にしなければならない理由があるのか…」



探偵


「あいつは、昔からいい奴だ悪い奴だとか二重人格の噂が絶えなかった…」



館石社長


「なる程…こんな仕掛けがあったって事か…」



探偵


「山神は女のスキャンダルじゃびくともしないからな…こっちの方が金になるぞ」



館石社長


「…そうだな、いいだろうセレブの高見沢桜様と御会食といくか」




悪徳芸能プロと探偵の標的は亮介を尾行した結果、2つの世界の秘密に迫ってしまった。


 そして桜から金を巻き上げるつもりの2人だが、その結果悲劇を招く事になる。







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