第28話


   【愛されたい思い】




亮介


「なっ何で…あいつ…」



この登場は、当然夏希の目にも入る…憧れのエレクトリカルパレードがナナの登場で夏希にとって最悪のパレードになる。




夏希


「そっか、そうだよね… 待ち合わせしてたんだ」



卑屈な夏希は、そんな分けない発想で自分の心が傷つかないよう言葉で防御する。



亮介


「なに言ってんだよ。そんな訳無いだろぉ~」



夏希


「私は、気にしてないから大丈夫よ」



亮介


「だから違うって」



無駄な揉め事をしてると、笑顔全開のナナが話しかけて来た。



ナナ


「来ちゃった!」



亮介


「呼んでないよ!何しにきたんだ! あんな記事の後だってのに」



ナナ


「あんな下らないゴシップ雑誌なんか気にしてないから」



亮介


「こっちは気にするよ!」



ナナ


「あたしとのゴシップは気にするのに、この子とのゴシップは気にならないの…? SNSで話題になってるわよ」



亮介


「君には関係ないだろ」



2人のやり取りに困惑する夏希。



… 待ち合わせじゃない…亮介は本当にナナちゃんを嫌がってる、でもナナちゃんはショックを受けてる様子はない?何で、打ち合わせ通り…ゴシップをごまかすため…そうだよね、そう考えるのが普通だわ …




夏希の壮大な卑屈妄想は亮介の本心を拒み続ける。




ナナ


「もうこんな芝居止めましょうよ」



亮介


「しばい… 何の事だ」



ナナ


「そう…もういいわ、帰る」



亮介


「そうしてくれ」



沢山の野次馬が見守るなか、ナナは亮介に背を向け歩き出した。



夏希


「止めなくて良いの?」



亮介


「あたりまえだろ。あの記事だってナナが絵を描いてる見たいだからな」



去って行くナナが振り返って叫んだ!



 “亮介、大好きだよぉー!”



ギャラリーの大歓声でフェアリーランドが揺れる、みんなパレードそっちのけで亮介とナナに夢中だ。



… くそぉー! ヤバイなこれでナナとの噂に拍車がかかる…正直そんなのどうでもいいが、ナナの狙い通りなのがムカつくなぁ …




この状況に耐えられなくなった夏希が走り出した!それを亮介が追いかける。


 亮介の体力に敵うはずもなくすぐに夏希は捕まった。



亮介


「ごめん、嫌な思いさせて…」



夏希


「なんか私…じゃまみたいだから」



亮介


「そんな訳無いだろ」



状況を打開すべくディンラバのオフィスに移動する事にした亮介が夏希の手を引く…そんな2人を野次馬達は不思議そうに眺めていたがSNSは亮介とナナのラブロマンスで沸き上がっていた。




ナナと入れ違いで探偵がやって来た。逃げる様に出口に向かう亮介と夏希を見付けた探偵は後をつけてディンラバのオフィスに入るのを確認する。



… ちっ、出て来るまで張り込むしかないな…しかしナナを帰らして、ブスと身を隠すって…こりゃまじでブス専かもな …




オフィスで幸之助を見つけると激しくナナを非難する亮介。幸之助は話を聞きながら、ネットをチェックする。



幸之助


「モテる男は辛いな」



亮介


「サポーター首にするかな…」



幸之助


「芸能関係の人に相談した方が良くないか? 下手に首にすると裏目に出るかもよ」



亮介がユミカに電話しようとして、ふと夏希を見て元カノは不味いと相手を美麗にした。



SNSを見て夏希が落ち込む。



… こんな堂々と告白なんて私には出来ない… ナナちゃんが言う通り芝居だとしても、きっと…私には出来ない …



天真爛漫なナナに勝てないと思えば思うほど夏希の中でナナへの憎悪が激しさをます。





亮介


「もしもし… えっ? …分かった」



幸之助


「何だって?」



亮介


「少し様子を見てから連絡するって… 流石に美麗達もナナの動きは予想外だったみたいだ」



幸之助


「ナナはスキャンダルを望んでるようだな」



亮介


「くっそ~~明るくて良い子だと思ったのに騙されたぁ!」





ナナへの憎悪から自分を抑え切れなくなっていく夏希が、幸之助にナナの事を愚痴る亮介を盗撮して動画をネットに上げた!



ラブロマンスに盛り上がる反面アンチも当然盛り上がってる、ナナや亮介の悪口も飛び交うなか亮介がナナを悪く言う動画はネット民の心を鷲づかみにして、悪口動画を中心にネットはフィーバーする。



匿名のアカウントで投稿した夏希だがオフィスというスタッフしか投稿出来ない場面の動画は直ぐに足が着く…





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