第23話


… 写真は取れた見たいね…後はマンションでのツーショットか …




明日発売のゴシップ雑誌に載せる予定の写真はアウトレットでのツーショットとマンションの出入りのツーショットだ…ナナはどんな手段を使ってでも亮介を物にするつもりでいる。






他人にからかわれる事に馴れている愛は、亮介にからかわれてると思いながらも前向きに捉えていた。




… 本気で亮介に相手にされるとは思って無いけど…直接からかわれるのはちょっと嫌だな…でも何でサポーターに私が選ばれたんだろう、機会があったら聞いてみよう …




買い物を済ませた3人はマンションに戻った。


 マンションでは盗撮カメラマンが待ち構えている。




ナナ


「亮介、ちょっと待って」



マンションの手前でナナが亮介を引き止めた、入り口でのツーショットを撮るつもりだ。



ナナ


「ごめん! 愛は先に行ってて良いよ」




「うん。じゃぁ先に行ってるよ」



亮介


「どうしたの?」



ナナは愛がマンションに入るのを確認すると亮介に抱きついた。



ナナ


「お買い物ありがとう!凄い嬉しかった」



亮介


「何だよ、大袈裟だなぁ」



ナナ


「好きな人にプレゼント貰うの初めてだから嬉しかったの…」



亮介


「へぇ~意外だな、プレゼントなんてしょっちゅう貰ってると思ってた」



ナナ


「そりゃプレゼントはよく貰うけど… 好きな人に貰うのは初めてだから嬉しかったの!」





ナナは逆転世界でそれほど美人じゃないから亮介にとってもそれほどブスじゃない…そのせいかナナに好き好き言われ戸惑う亮介だがはたから見ると喜んでいる様に見えた。




ナナ


「それだけ…ちゃんとお礼が言いたかったの…行こ!」



ナナはそう言って亮介の手を取りマンションに入った、当然盗撮カメラマンはそれを見逃さず写真に納める。




… よし、まだ8時だから明日の発売に間に合う …



盗撮カメラマンは急いで社に戻って行った。






マンションに戻った亮介は、何時もの様に2人から逆転世界の亮介の過去を聞く、特に大膳幸之助の事を詳しく聞いてから解散した。





… 明日は夏希とデート…信じられない…この僕が好きな人とデートなんて、生まれて初めてのデートか…そう言えばナナも好きな人にプレゼント貰うの初めてって言ってたな …




ナナの好きな人初めて話に自分の好きな人と初めてデートをダブらせて共感する亮介だが、翌日にはナナの仕掛けたゴシップ雑誌に驚かされる事になる。





AM 10:00




亮介のマンションに夏希がやって来た。


 満面の笑みで迎える亮介とまだ猜疑心が拭えない夏希の温度差デートの始まりだ。




夏希


「ディンラバのアウトレットって大膳幸之助さんの店でしょ…もしかして、何か思い出した?」



亮介


「それが、何にも…」



全くの出鱈目な記憶喪失だが亮介の廻りはみんな本気で心配してるのが分かる…しかし、亮介の本当の目的はネットショップで成功した幸之助ならネットに詳しいはず“神様の角”の情報を掴めるかも…と考えての事だ。




本来、産まれて初めての好きな人とのデートに付加価値など考えもしないだろう。


 逆転世界でスターの亮介は初デートなのに心に余裕がある、無意識だが自分は嫌われないという前提で女性に対応しているからだ。身勝手な行動をあまり悪いとは思っていなかった。


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