第21話
亮介
「すっ、すみません…まだ記憶が…」
ナナは一瞬がっかりした顔を見せたが直ぐに元気な顔になり亮介に紹介する。
ナナ
「ジャジャ~~ン! この人が亮介の親友! 大膳 幸之助さんです」
亮介
「そうなんだ…申し訳ない…」
幸之助
「気にするなよ。そんな簡単な物だなんて誰も思って無いから」
愛
「亮介が幸之助さんを親友だって認識する事が大事なんだよ」
亮介
「そうか…そうだな」
幸之助
「親友か… そうかも知れないが僕にとって亮介は恩人だよ。
だから、どんな事でも力になりたいんだ」
… また出た… 亮介信者、全く大したもんだよ …
亮介
「悪いな、そう言われても何をどうしていいやら…」
幸之助
「亮介と最初に会ったのは銀座の店なんだ…倒産寸前だった」
亮介
「えっ、そこからこんなデカイショップに立て直すなんて凄いな」
幸之助
「君のお陰だよ…ネットショップを勧められてそれが大当り。お陰で今がある」
ナナ
「亮介がインスタでブランドを紹介して火が付いた」
愛
「でも、そのお陰で亮介の影響力に企業が目を付けて貴方のスポンサーになりだしたの」
… なるほど、人助けが功を奏したのか…税理士から資産が300億あるって聞いてるけど、こいつに投資とかしたのかな …
幸之助
「まぁ、亮介は金に興味が無いからな」
亮介
「そうなの、なんで分かるの?」
まるで他人事の様に話す亮介に、戸惑う事なく答える幸之助は亮介が記憶喪失で自分を知らないと言う事を折り込み済みで話している。
幸之助
「ここを立ち上げる時、亮介を誘ったら断られた。アミューズメントにホテルと大型アウトレット絶対儲かるのにね」
ナナ
「基本的に、お金は持ってるからじゃないの」
幸之助
「金は不思議な物で百万しかないと一千万あれば十分と思うけど、一千万あると一億、一億もつと百億と終わりがないもんだけど亮介はそう考えない… それは金に興味が無いからだと僕は思うけどね」
愛
「なるほどね」
一番金の無い愛が何故か納得すると、変な間が空いた…
… おっ、なにこの間…言わないけどみんな“お前が言うな”って思ったってことか …
亮介
「でも、今の僕は少なからずお金には興味あるけど…」
幸之助
「そりゃ良かった。だったら今の僕は亮介の力になれるから何でも言ってくれよ」
アパレル業界の風雲児“大膳幸之助”僕はこの男なら神様の角の手掛かりを掴める様な気がしてスマホを取り出す。
デートの事は夏希に任せていたが明日はアウトレットでデートしようとメールした。
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