第12話
「…!? 私がっ!」
「どうかな?」
「…私が、亮介さんのスタイリスト…」
「前の美的感覚が今は無いんだ…カンナにそれをフォローして貰いたい…」
「…私で力になれるなら、勿論やります」
「ありがとう……でも、僕の感覚が変わったって事は絶対に秘密だから」
「桜さんにもですか…」
「話す時は僕から話す、カンナは黙っててくれ……あと、敬語はなしだから」
「あっ…ごめん」
スタイリストとして亮介の力になれる事で自信を持ったのか、カンナは次第にフランクな会話をする様になって来た。
「ただいま!」
亮介がカンナに返事を促す。
「ほら、桜に返事して」
亮介に頷くと大きな声で桜を出迎える。
「桜、お帰り!」
「カンナただいま!」
「桜の作戦が良かったみたいだ」
「うん…でもカンナの心を開いたのは亮介の優しさじゃないかな…」
… なんだこれ、やっぱり変なドラマみたいだな…求めるのは桃色何だけど、上手く方向修正しないと …
亮介は名案が浮かばないまま会話を続け桃色路線への変更を模索する。
「そうだ、カンナに僕のスタイリストをやって貰う事にしたんだ」
「えっ…スタイリスト!?…私もやりたい!」
「えぇ~~! いや…その…桜は高いから良いよ」
… 僕はカンナと2人になりたいんだよ、邪魔すんな …
「お金なんか要らないからまぜてよぉ」
「私も桜さん…桜がいた方が心強いけど…」
カンナはデザイナーとしての自信はあるが、亮介が前の美的感覚を無くしてると言う事に不安を感じていたのでトップモデルの桜を参加させたかった。
… カンナまで…参ったな、内緒にするべきだった…でも、桜は信用しても大丈夫な気がするけど…まだよく知らないしな …
「悪いけど、この話しちょっと置いといてくれるかな…出掛ける時間なんだ、すぐに戻るから心配しないで待っててね」
僕はその足でニジTVに行って美麗を呼び出した。
第一会議室
「どうしたの?今日はお楽しみじゃないの…」
「それが全然エロい感じにならなくてやんなっちゃうよ」
「フフッ だからって愚痴を言いにわざわざ来た訳じゃないでしょ」
「…実は、桜が信用出来る人間かどうか知りたくて」
「どう言う事、お金か何か?」
「カンナを信用して僕の美的感覚が変わった事を言ってスタイリストになって貰ったんだ」
美麗の顔が一瞬で修羅の如く歪む。
「絶対にダメだって言ったでしょ!何やってのよあんた!バカじゃないの!!」
ごっごめんなさい~~ひぃ~
ギャーギャー!
ひぃ~~
ワァーワァー!!
でぇ~~~
「とにかく、カンナにはなんて言ったの」
「そっそんなには…何て言うかその……前、みたいな美的感覚が無くなったって…」
「間違い無いわね! ブス専になったからヤらせろとか言って無いのね!」
「はい! 言ってません」
「あんたの美的感覚が真逆とは言って無い?」
「神に誓って!」
「あんたの影響力は私でも計れないぐらいデカイのよ…迂闊な事は言わないで…」
「仰せのままに…」
「とにかく、それ以上絶対ばらさない事」
軽い気持ちで桜の相談に言ったのに、こっぴどく怒られた。
美麗が言うには桜は亮介にとっては信用出来る相手と言う事だ。要するに相手によって違うから完全には信用しちゃダメだって事らしい…結局この後、美麗も僕のマンションに戻って桜は勿論カンナのスタイリストの件も白紙に戻す事になる。
亮介が美麗と帰って来たので戸惑うカンナと桜。
「さっき、亮介からスタイリストの件を聞いたんだけど…実はニジTVから亮介に5人のスタイリストが付いてるの」
「ニジTVのスタッフ…」
「そう、この事は亮介も知ってるけどカンナちゃんがお気に入り見たいで勝手にスタイリストになってって頼んだみたいだけど…」
話の流れでもうスタイリストは要らないと理解したカンナが先回りをする。
「分かりました。ニジTVのスタイリストが5人もいたら私の出る幕無いですから…」
桜が話しに割り込んだ。
「私がニューヨークにいた時は10人のスタイリストが付いたわよ」
話を蒸し返す桜に不快感を滲ます美麗が噛みつく。
「だからなに! あんたらには亮介の精神面をサポートする大事な仕事があるでしょ」
「だからこそ、少しでも一緒に居れるよう他の仕事も手伝いたいの」
食い下がる桜に美麗が違和感を感じる…本能的な物だ、何がどうしてではなく漠然とやな感じがして警戒をする。
… なにこの感じ…食い付きかたが引っ掛かるわ …
美麗は桜にこれ以上何かを探られないようにしようと思い穏やかに話し出した。
「うちのスタイリストはチームで亮介を担当してるから他の人が入ると方向性やらスポンサーに対する対応が乱れてしまうと思うのよ…」
「私は亮介側に立ってプロデュースするわ」
「勿論、亮介主体に進めるけど…もう新しい亮介のプロジェクトを始めてるから途中参加は今はちょっと…」
亮介も桜を説得しようと話し出す。
「桜…僕が最初にニジTVに頼んだから今はそのプロジェクトを進めようと思う…勝手言って悪いけど」
美麗がフォローする。
「桜の力が必要な時は遠慮無く声かけるから…」
2人に説得される形になった桜はそれ以上反論せずに矛を納めた。
「そうね…私はスタイリストになるために居るんじゃ無いし…でも美麗さん何時でも声かけてね」
「もしかしたら直ぐにそうなるかも知れないけどその時は宜しく」
こうして、カンナと桜のスタイリストの件は中止になった…ただ桜がスタイリストにこだわった事が僕も少し気になった。
結局この日は、3人が仲良くなって終わりエロい事は何も無かったが、明日は明日で楽しみが続くからまぁ良しとしようと1人で納得した。
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