第11話



【目指せ桃色性活】



AM 6:00




タワーマンションの最上階から世の中を見下ろし股間をパンパンにして満足げな亮介。



… まだ6時…興奮して良く寝れなかったが今日はカンナと桜が来る…フフッ楽しませて貰おうか …




午前9時ドアフォンが鳴った。



「来たァー!」



僕はすぐにモニターを見た。桜だった、なんだカンナじゃないのかと思ったら直ぐ後ろにカンナがいた2人とも時間どうりだ。


 オートロックを外して2人を迎えた。




「どうぞ、自分の家だと思って良いから」



桜が抱きついて来た。



「ありがとう! 絶対すぐに治して見せるから…安心して」



ウザい…そう思ってカンナに目をやるとうつ向いていた。



「とりあえず2人ともリビングに座って」



僕は2人の前に座り話し出した。



「名前はお互い呼び捨てでお願いします」



カンナが慌てて喋り出した。



「そんなの無理です」



必死な顔で許しを乞うように言って来た。



「私は賛成だなぁ…その方がすぐに仲良くなれると思うよ」



「桜さんはそれで良いと思いますけど。 私は一般人だし…亮介さんを呼び捨てにしてるのを誰かに見られたらきっと袋叩きにされますよ」



なるほど…確かに世間はやっかみからカンナを標的にしかねないな。 



「そうか…だったら僕達だけの時は呼び捨てにして外では任せるよ」



「無理です!尊敬する亮介さんを呼び捨てなんて」


 


「じゃーまず私を呼び捨てにして馴れて来たら亮介も呼び捨てにしたらどう?」



桜の提案はナイスだと思ったがカンナはうつ向いてしまった。



「お二人は私にとって別世界の人です…呼び捨てなんてとても…」



「とにかく私の事、桜って呼んでみて」



「そうだよ…ほら言ってみて」



2人に言われて腹を括るカンナ。



「さ…さくら」



「なあにカンナ」



「ごっごめんなさい!」



「謝らないで。私達は亮介のサポーター仲良くしましょう」



「ありがとう」



消え入りそうな声で答えたカンナ。楽しい生活にはまだまだ時間がかかりそうだ。






冷蔵庫を見ていた桜が買い物に行こうと言い出した。



「じゃあ、みんなで行こうか」



「そんなの私が行って来ます」



「カンナは使用人じゃないんだから……そうだ!じゃあ僕を御主人様と思ってくれる」



「はい!それなら大丈夫です」



「よし、最初の命令は敬語の禁止だ」



「なっ…そんな」



桜が笑いだした。



「御主人様の命令は絶対よ。良かったね優しい御主人様で」




桜と僕はすぐに友達のような感じになれたが、やはりカンナは居心地が悪い様だ。僕と桜が話せば話すほどに黙りこむ気がする。





「ねぇ、3人でゲームしようよ」



桜がカンナに気を使い一緒に遊んでリラックスさせようとすると亮介も乗っかってカンナを誘う。



「良いねぇ。何しようか」



「トランプやりましょう。カンナは頭が良さそうだから強いんじゃないの」



「自信ないです…」



「カンナ…まだ緊張してるの?」



「…本当いうと、受かると思って無かったから…オーディションも亮介さんを生で見れたらラッキーぐらいのつもりだったから…昨日からまだ現実感が無くて…」



カンナの話しに桜が説教を始めた。



「…まだ、夢ごこちから覚めてないの!」



「えっ」



「いい、あのオーディションは沢山の人の夢が破れてるの…受かった私達はその人の分も背負う義務があるのよ」



「…そんな…そんな風に言われても……私には…他人の気持ちを背負うなんて無理です…」



空気が重くなったが、僕は傍観するしかなかった…



「オーディションで受かったって事は、他の誰でもないあんたが必要だと亮介が思ったからよ…カンナじゃなきゃ駄目なの…私と一緒に亮介の力になって」



… 桜……凄い…でも、なんか昭和な感じ強すぎ……でも、乗っかるか …



「そうだよ。カンナが必要だと僕は思った…カンナにその力を感じたんだ」



「例え記憶が戻らなくてもカリスマの亮介を取り戻そうよ」



「ごめんなさい…わたしがんばる」



泣き出すカンナ…抱きしめる桜…



… なんじゃこの青春……どうして良いか…分かんねぇ~ …



戸惑う亮介に桜が話しかける。



「荒療治が必要だと思うんだけど…」



「荒療治?」



「そう…2時間ぐらい出掛けるから2人で過ごしてみて」



「僕にカンナの緊張をとれと…」



「ちょっと違う、カンナに亮介馴れして貰うの。カンナは何か私の目を気にしてるとこがあるから」




桜の提案で僕とカンナはしばらく2人で過ごす事になった…美麗が言ってたみんな桜を好きになると言う理由が少し分かった気がした。




2人きりになってカンナはますます緊張してる気がしたが、少なくとも緊張の対象が僕1人になったのは桜の狙い通り彼女の心の負担を減らした様だ。




「名前呼ぶ練習しようよ」



「はい!がんばります」



「まず台詞としてやってみよう」



「台詞…」



「僕がカンナ、ジュースって言うから、カンナは亮介コーラとオレンジどっちって聞くのやって見よう」



「……」



「カンナはキッチンに居て、僕はリビングに居るから」



2人がスタンバイして呼び捨て練習が始まる。



「カンナぁ~。ジュース持って来て」



「はぁはい……」



黙り込むカンナ……僕は紙に台詞を書いてカンナに渡した。



「もう一回行くよ。カンナぁ~ジュース持って来て」



「コーラとオレンジ……りょりょうすけ…どっち……飲む」



やっと言った、でもこれが成果だ。



「台詞だから、もっとスラスラ言えるまで練習しようか」



「はい」



5回ぐらい練習して何やってるんだと思いエロい桃色路線にどう持ち込むか悩む亮介。


 亮介を見て自分にイラついてると思ったカンナが萎縮する。




「すみません。私がこんなだから……」



「えっ?ごめん…違うんだ、僕の問題で考えこんじゃった。カンナは関係無い事だよ」




… カンナはデザイナーだし本当の事を話して見るか …




亮介は、カンナに自分の美的センスを打ち明ける。



「実は、記憶を無くしてから皆とセンスが変わってしまったんだ…」



「…??」



… くそっ、なんて言えばいいんだ…そうだ! …



「僕のスタイリストになってくれないかな」







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