第8話
翌日 第一会議室
AM 8:30
僕が会議室に入るとすでに美麗とユミカが来ていてまた僕のブス専の話で盛り上がっていた。昨日の気まずさを引きずらない所は、さすが二人ともプロだなと感心した。
「それで、素っぴんが見たいから水泳させるって言うのよ」
ギャッハハハッハァー!
「あら、ブス専が来たわよ」
「好きに言ってくれ。だけど僕の感覚だと、お前達はブスだからな」
ギャッハッハハハッハァー!!
ウケるぅ~~!
ワーキャー!
大爆笑!!
悪口がギャグ扱いだ、さすがに軽くへこむなぁ~逆転世界じゃ仕方ないけど。
「そんな事より、相談なんだけど」
「水泳大会でしょ…ブッ ウケるぅ~」
ギャハハハハッハァー!
… 神聖な審査を大会だぁ~こりゃおちょくってるな …
「視聴率上がるからやりましょうよ。面白いし……でも亮介、あんたヤりたくて仕方ない感ハンパなく出てるよ…ブッ」
ギャハッハッハァ~~!
「うるさいなぁもう! それもあるけど…僕の好み、まぁ…そのブス専を言った方が良いんじゃないかと思って」
爆笑の2人が神妙な顔で黙り込んでその場の空気が重くなる。
「えっまずいの…? ダメって事…」
「はぁーっ! 当たり前でしょう」
「問題が多すぎ」
「亮介ブランドが崩壊するわよ」
「そうよ…美意識が真逆となれば亮介が身に付けるモノ全てダサいと言う事になる…スポンサーが離れて収入激減するよ」
「とにかく今は絶対にダメ!」
僕の収入はファッション関係だから美的感覚が逆じゃみんなに受け入れられない…そうなれば今の生活と立場を失う。それだけは避けなければ。
「わっ、わかった……言わないそうする…」
「早く記憶が戻る事を期待しましょう…」
ユミカが慰めのような事を言ったが、記憶が戻るなんて事は無い…僕は別人なんだから。
「そしたら、体力測定の水泳審査何だけど…近くにプールある?」
「体力測定じゃなくて素っぴん測定でしょ」
ギャハハハァー!
アーハッハハァ~!
ユミカが冷やかして来たが、素っぴん見たさに僕は下手に出る。
「そこはまたユミカ様の上手なフォローを期待してます」
「しょうがないわね…何とかやってみるわ。でもプール用のメイクもあるしどこまで素っぴん見れるか分かんないよ」
「まぁ、そこまでは僕も期待してないけど通常よりはだいぶ良いでしょ」
「そうかもね」
「それで今日の放送なんだけど、全員水着でプールからライブ放送にするわ」
美麗は視聴率が取れると思い、がぜんやる気を出してディレクターにあれこれ電話で指示を出す。やり手感バリバリの美麗は僕達にも指示を出す。
「当然、あなた達も水着で審査よ」
「わかった」
ユミカは少し不服そうに承知した…たぶんプロフィールを見る限り桜がナイスバディーなので差が出るのが嫌なんだろう。
そしてプールからの放送準備が着々と進む。
PM 7:00
美麗からホテルのプールを押さえたと電話があったのでニジTVで落ち合う事にした。
第一会議室
「さすが敏腕プロデューサー。水泳審査は、別撮りになると思っていたけど…」
「ネットで水着審査の告知もしてあるし高視聴率間違いなしね」
「水着審査じゃないよ、水泳審査だよ! もぉ~~変な誤解されるじゃないか」
「みんな気にしないわよ…それにサポーターと言っても亮介とどうこうなるかもなんて視聴者も応募者も折り込み済みだわ」
「だとしても、あくまでも水泳が趣味になった僕と一緒に泳いでサポート出来るかどうかの審査にしないと…」
「……それで誤魔化してるつもり? 記憶失くして水泳が趣味って違和感ありありよ」
「そっそうかな…」
「スポンサーの話しにもつながるけどファッションリーダーの亮介のサポーターとしてボディーメイクも審査するって流れの方が妥当ね」
「うっ……それでお願いしますぁ~す」
美麗の言う通りだ。いつも美麗とユミカには、なるほどと思わされる。そんな2人から尊敬されてる逆転世界の僕は本当に凄い…僕がこっちで生まれてたら、そんな風に成れただろうかと疑問に思った。
PM9:00
番組が始まった。今日は一次審査を合格した26人が水着で1人づつスクリーンに映し出されながら紹介されて、その後に僕とユミカが登場する。ユミカがガウンを脱いで僕の隣にスタンバった。
僕はユミカの体に驚いた鍛え上げたアスリートの様に美しい筋肉質の体で思わず見とれてしまった。
「なに、エロい目で見てるの行くわよ」
最初、亮介はユミカが水着に消極的だと思っていたが…そう見えたのはその時ユミカがどうやって桜に大差を付けて勝つかを真剣に考えていたからの様だ。
2人同時に特設ステージに上がると沢山のスタッフと見学のスタッフの大歓声が巻き起こる…ほとんどが男だからユミカに対しての歓声だろう。僕はドギマギしながら審査員席に着いた。
「ユミカがそんなに体鍛えてるなんて驚いたよ」
「体目当てで寄りを戻すなんて言わないでよ」
調子に乗んな!ブスがぁ、とは言わずに苦笑いの僕なのだ。
急遽プールからの生放送に変わったが、番組は大量のスタッフで盛り上りノリノリで進んだ。
そして厚化粧のカンナが登場する、メイクはしっかりしているが昨日の厚化粧からするとかなりの薄化粧で素顔が何となくわかる。
… 凄い!すごい美人だ、こりゃ~化粧を落としたらもっと美人になるな …
厚化粧のカンナは、やっぱり別格の美人だ…僕の本命はカンナに決定した。
「水泳は、何メートル泳げますか」
さっきからチョイチョイする僕なりのエロ目当てを誤魔化す質問にユミカが下を向いて笑ってる。
「はい、100メートル以上泳げます」
「今、水泳にハマってる亮介君と泳ぐのに問題はなさそうですね」
「はい、大丈夫です」
「その水着は自前ですか」
「そうです」
「あなた…昨日もそうだけどセンスが良いですね」
「デザインの仕事をしてます…ユミカさんに誉められるなんて感激です」
性格も素直で良さそうだ“早くカンナとヤりたい”などと考えていると立ってきてしまった。
… ヤバい!水着で立ったらモロばれだ…! こんな時はユミカの顔を見て落ち着こう …
僕はユミカの綺麗な体が目に入らないように顔面を直視した。
「なによ…」
「えっ? 何でもないよ」
ユミカの顔を鎮静剤にして下半身の血流を抑え込んだが、基本的に興奮してる僕は後の事を考えてCMの時にジーパンに履き替える事にした。
CM休憩
僕がジーパンで戻って来ると美麗に怒られた。
「ちょっと、視聴率が落ちるからちゃんと水着にしてくれない!」
「悪いんだけど、あそこが反応しちゃってヤバいんだよ…」
「!!?……あの浮気者でヤリチンの亮介が水着で立つって……ホント記憶が無いのね」
美麗の言葉にユミカが反応した。
「ちょっと待って……まさか亮介……さっき私の事ガン見したのアレを抑えるため」
「アッハッハッ! ユミカの顔で萎えるなんて面白いけど、あんた最低ねぇ」
「笑い事じゃ無いわよ。私の体に色目使っといて顔で萎えるだァー! 殺すわよ」
「そっそんな訳無いだろ…さっきはユミカのスターとしての立ち振舞いに見とれただけだよ」
勘の良いユミカを何とか誤魔化しなだめる。
「むしろ、隣のユミカの体にあそこが反応しちゃうんだよ…だからこのまま水着はちょっと…」
「…仕方ない、ちょっと長めのアウターを羽織ってもらうわ…立ったらそれで隠しなさい…ジーパンよりは自然な感じになるから」
「…はい…分かりました」
僕は、パーカーを着て緊急時に備えた。そして再び登場する桜に番組は盛り上る。
「続いては、最有力候補の桜さんだぁー!!」
司会のコールに歓声でプールが震えた。
「桜ちゃんは水泳が苦手見たいねぇ」
ユミカが先制する…
「水泳が苦手と言うか、スポーツが全般に苦手なの…でも亮介君に教われば頑張れるからきっと上達するわ」
美麗が言ってたけど、確かにブスなのに何か魅力がある。
「もちろん丁寧に教えますよ」
「2人とも結果はまだ出てません…合格したかの様な話し方はまだ早いですよ」
「そうですね…でも私は合格してもしなくても自分なりに亮介君のサポートをするつもりです……」
審査は、25メートルの競泳が始まり白熱した。優勝は何故か参加したユミカだ…なんでやねん!
CM休憩
「なんで参加するんだよ!しかも優勝って…」
「いいじゃない、余興なんだから。それにアタシが出れば視聴率上がるって美麗ちゃんが言うから」
ユミカは美麗に唆された見たいだが、全国放送で良い所を見せたかったのが本音だろう。お陰でネット上の今日の桜vsユミカはユミカ優勢になっていた、特に女性がユミカの身体能力を賛美している。
ユミカ勝利を本人に伝えようかとユミカを見ると彼女もスマホを覗き込みニヤけていたので見てるなと思い言わなかった。
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