第4話
僕は、美麗に連れられ大学病院の脳神経外科で検査を受けた。
Dr.小峰
「正直、異常は見つけられませんでした…」
検査が正しい証拠だ僕はいたって正常…後は、予定道理とぼけるだけ。
「原因不明…」
美麗が、がっかりしたように呟いた。
「ですが、原因が無いのは直ぐにでも正常に戻る可能性が高いと言う事です。安心して下さい」
「そうね…」
美麗が心配そうに僕を見たので、心配するなと言う意味を込めて微笑んだ。
「げげっ、笑った…先生やっぱり頭とか強く打ってるんじゃないの?」
… なんでやねん! …
原因不明で検査をやり過ごした僕は、美麗によってニジTVに連行される。
ニジTVでは既にユミカが待ち構えていた…
「検査は残念だったけど、異常が無いのはなによりね」
「えっ、何で知ってるの?」
「美麗ちゃんが、直ぐ連絡くれたから」
… あのババア、手際は良いけどなんか鼻に付くな …
「そうか……ユミカと美麗は仲良しなんだな」
「そうねぇ…それより明日破局の記者会見やるよ」
そうか…こっちの僕の動向は注目の的だ記憶喪失に破局、世間は大騒ぎか…んっ、それって大丈夫なのか …
「ちょっと急過ぎない?」
「世間は、大騒ぎになるよ」
「そうだろ、ちょっと間を開けた方が良くないか」
「考え方まで変わったのね…記憶を失くす前なら時間を無駄に使うなって言ってたわよ」
「むだ……」
「そうよ、記憶喪失も別れるのも事実…それを先延ばしすれば次の展開も後回しになる…例えば貴方の新しい彼女とか、サポーター探しも趣旨が少し変わっちゃうよ」
記憶喪失のサポーターとなれば介護などの専門職の人が応募してくるが、僕が別れた後となると次の彼女を狙った女子が応募してくるだろう。
「…なるほど、サポーターも本当に使用人になっちゃうか」
「破局会見の後とは大違いの内容になるわ」
「わかったよ…だけど記者会見なんてどうすれば良いのか分からないから、上手くリードしてよ」
「本当の事を言うだけだから簡単よ…でも、好感度や同情を引くのも意識した方が得ね」
「わかった」
【破局会見】
僕達は、記者会見に望んだ。TVで見るのとは違い各局各社の記者達の迫力は凄かった。
それだけ世間が注目のカップルだ…
「今日は、わざわざお集まり頂きありがとうございます」
ユミカが深く頭を下げたので僕も慌てて頭を下げた。
フラッシュとシャッター音で会場が嵐のようになり僕の緊張はMAXになる。
「これ以上…私には耐えられない…」
喋り出したユミカを見て驚いた“本当の事を言うだけ”と言ってたのに大泣き!女優かっ!!
ユミカの演技に圧倒され僕も何かしないと不味い気がして…話し出した。
「僕達は別れる事になりました……記憶障害とは言え彼女を苦しめてしまった…全て僕の責任です」
更なるフラッシュの嵐!!これがスターの景色か…緊張が興奮に変わる。
「彼がいなくなってからの1ヶ月…私は心配と後悔の繰り返しでした…失踪するほど何かに苦しんでいたのか?何故それに私は気付けなかったのか…何か事件に巻き込まれてしまったんじゃないのか…そんな事ばかり考えていました…
それは、辛くて苦しい日々だった、私の心は次第に限界に達してもうどんな形でも良いから、この辛い状態から逃げたい…そう考えるようになっていました…
どうすればこの苦しみから逃げられるのか…答えは彼を忘れる事しか無かった…何処に居るかも生きて居るかも分からない彼を忘れて1人の女として新しい幸せを探そうと彼との別れを私は決意しました……
すると不思議と彼は帰って来た…でも勝手に、一人で別れを決めた私に彼と付き合う資格はあるだろか?彼は私を許してくれるだろうか?
その答えは彼に委ねるしかないそう思った…でも彼は記憶を失くし私を忘れていた…許すも許さないも無い…その時これが答え何だと、これが2人の最善何だと理解しました。
私は1人で別れを決めた。彼は理由はどうあれ私を忘れた…私はこの現実を受け入れます」
「僕のせいで彼女は苦しんだ…僕は記憶を失くし彼女を忘れた…でも僕のせいでこれ以上彼女を苦しめる訳にはいかない…
彼女を忘れた僕の近くに居れば、また彼女の苦しみが始まる…そんな事は出来ない…僕達は別々の道を歩む事を決めました」
フラッシュとシャッター音の嵐の中、記者達の質問が始まる。
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