第146話 鬼塚ダンジョン二周目
ウルフんに関する話題で盛り上がった後。
俺はクレアに、妹にもギルド加入に関する説明を聞かせてあげたい旨を話した。
柳と戦った際の過程を知っている彼女はすぐに納得し、ギルマスに伝えておくよう約束してくれた。
その後、俺は帰宅するのではなく、その足で鬼塚ダンジョンにやって来ていた。
未だにこのダンジョンの検証は不十分。
一般冒険者の入場は許可されていない。
しかし、俺はここ以上にレベルアップ効率の良い場所を知らない。
そのため、人が集まってしまう前に踏破してしまおうと決めたのだ。
無論、褒められた方法ではないが。
「ダンジョン内転移」
ダンジョンに入り一瞬で30階層までやってくる。
クレアは10分待つと魔物が大量に出現すると言っていたが、それを待たず、直接ハイオーガが待ち受けるボス部屋に向かった。
開かれた扉から中に入ると、扉は自動的に閉まっていく。
そして壁から湧き上がるようにして、赤黒い肌を持つハイオーガが出現した。
「ガァァァアアアアアアアアアア!」
「どうやら二回目でもちゃんと出現してくれるみたいだな。ありがたい」
昨日と違い、今日は魔奪剣の中に魔法を収納していない。
無名剣のみでこの強敵を打ち破らなければならない。
だけど不安はなかった。
昨日の攻略時、俺のレベルは約2000上昇した。
それに伴いステータスも大幅に強化され、幾つかのスキルも獲得した。
魔法が使えずとも、負ける道理は存在しない。
「――――いくぞ」
そして、俺とハイオーガによる二回目の戦闘が幕を開けた。
*
数十、数百の剣閃が空を瞬く。
重なり合う斬撃は一つの大きな波となり、ハイオーガの硬質な皮膚を次々と切り裂いていった。
「ガゥゥゥ!?」
「遅いぞ」
ハイオーガは必死に抵抗を試みるが、
パワー自体は相当なものなので油断ならないが、冷静に対処すれば何の問題もなかった。
俺の瞬間転移はこういった巨大な魔物にこそ有効なのだ。
サラマンダーやグリフォンのように体に魔法を纏っていたら話は別だが、物理的な攻守を得意とするハイオーガはそもそも魔法を使えない。
唯一保有している硬化スキルでさえ、俺の瞬間転移を前に効果を発揮しなかった。
その結果、戦闘開始から約1分。
魔奪剣による魔法攻撃を行えなかったため前回より時間はかかったが、前回以上に安定してダメージを与えることができた。
そうして生まれた隙をつき、無名剣を力強く振るう。
白銀の刃がハイオーガの胸を大きく切り裂き、そのまま魔石を破壊した。
『経験値獲得 レベルが1213アップしました』
『ダンジョン攻略報酬 レベルが100アップしました』
『エクストラボス討伐報酬 レベルが200アップしました』
鳴り響くシステム音。
俺がハイオーガに勝利したことの証明と共に、莫大な経験値を獲得することができた。
ステータスを確認する。
金剛力や疾風、そして瞬間転移を常時発動しているためMPの消費が激しい。
だが、まだ少しは余裕がありそうだった。
「まだまだ、ここからだ」
転移魔法によって地上に帰還した後、俺は再度ダンジョンの中に入る。
その瞬間から、神速を超えるレベルアップが始まるのだった。
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