第93話 制覇報酬

 纏雷獣を倒した俺の頭の中に、次々とシステム音が鳴り響く。



『経験値獲得 レベルが1232アップしました』


『第十階層 クエスト【纏雷てんらいおう】をクリアしました』


『第十階層攻略報酬 レベルが500アップしました』


『全クエスト攻略報酬 レベルが1500アップしました』



 合わせて、一気に3000以上もレベルがアップした。

 そして、とうとう大台である10000レベルを突破する。


「ようやくここまで来ることができたか。ただ、これでもまだトップランカーには全然届いていないんだよな……」


 これが年月の重みというものだろう。

 ダンジョンの仕組み的に、時間をかけた者ほど強くなるのは当然だからな。


 それはさておき、


「これで全階層を攻略できたはずだが、報酬はレベルアップだけなのか? だとしたらかなり拍子抜けなんだが……」


 そんな俺の呟きに応えたわけではないだろうが、そのタイミングでシステム音が鳴り響く。



『エクストラダンジョン【隔絶の魔塔】が制覇されたことを確認しました』

『攻略者には制覇報酬が3つ与えられます』

『1つ目の制覇報酬はスキル【纏壁てんへき】です』



「スキル、纏壁……?」


 どうやら新しいスキルを獲得したらしい。

 俺はステータス画面を開き、纏壁の効果を確認した。


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 纏  壁LV1:MPを消費することにより、対象者を包み込むような魔力の壁を生み出す(強度、持続時間はスキルレベルにより変動)。

 クールタイム:60秒


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「これってまさか、纏雷獣が使っていたスキルか?」


 仮にそうだとするなら、かなり優秀なスキルだ。

 俺の戦闘スタイルにも合っている!


 というのも、通常、敵の攻撃から身を守るためのスキルとしては、耐久力や精神力のステータスを上げるものが存在する。

 しかしこれらのスキルはあくまでダメージを軽減してくれるだけ。

 痛みなどを完全に取り除けるわけではないし、攻撃によって一度でも体勢を崩されてしまえば、そのまま押し切られる恐れがある。


 しかしこの纏壁の場合、その2つの問題点を解決してくれる。



「纏雷獣の様子を見るに、纏壁が破られるまではノーダメージって感じだったんだよな。となると、これからは敵の攻撃を一度や二度なら喰らっても大丈夫だから、攻撃を受ける覚悟での特攻も可能になる! 戦術の幅がかなり広がるぞ!」



 歓喜のあまり、拳を突き上げてしまう。

 おっと、いつまでもこうはしていられない。


「さて、与えられる報酬は全てで3つだったよな? このスキルだけでも十分すぎるくらいだけど、せっかくだからな。アイテムにせよ称号にせよ、貰えるならありがたく貰っておこう」



 少し待っていると、システム音が再び鳴り響く。



『2つ目の報酬は、攻略者のステータスと、【隔絶の魔塔】の攻略内容を分析し、最もふさわしいアイテムが支給されます』

『攻略者の分析が完了しました』

『分類:【殺意を喰らう者】と認定されました。殺意を喰らう者の出現率は0.1%以下です』

『該当するアイテムが出現します』



 殺意の喰らう者やらなんやら、何かと仰々しいセリフの後、俺の目の前に白色の魔力が集う。

 そして次の瞬間、そこには1つのアイテムが存在していた。


 それを手に取り、鑑定を使用する。


「これは……!」


 そして俺は、驚愕に目を見開くのだった。

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