僕の色、君の色。

昨日は体調不良で、小林さんが居なかった。

いつものように、いや、久しぶりに1人で本を読んで帰った。

なんだか、つまらなかった。読んだ後、楽しそうに話を聞いてくれる人が居なかったからかもしれない。


図書室に入ると

「高橋くん!久しぶり!」

っていつも通り小林さんが先に居た。いつも通りとは少し違う。いつもなら本をもう読んでいるはずなのに読んでいなかったからだ。

「久しぶりって、、1日会ってないだけじゃん。」

「あはは、そうだね。」

「今日は本、読まないの?」

「本じゃなくて、高橋くんにプレゼントがあるんだ〜!! 」

そう言ってカバンの中から取り出した。

「絵、、?」

狼と月が描かれた絵だった。

「これ、高橋くんにぴったりだと思って!」

「僕に?」

「うん!昨日ね?描きたくなったの!」

「すごく嬉しいよ、俺こういうのもらった事ないからさ。」

「背景の色もぴったりだと思って!」

「これはなんていう色?」

「褐色っていう色!」

「そっか、俺はこういう色なんだね」

「私はそう思った。」

「じゃあ、小林さんと僕は真逆かな、」

思わず微笑んでしまった

「へ?どういう事?」

「僕から見た小林さんの色はあたたかいオレンジ、太陽みたいだなぁ、って思ってたから。」

「オレンジかぁ、、太陽と月っていいね、」

「そうだね、月は太陽が無いと輝けないって本で見た事あるよ。」

「そうなんだ、高橋くんは…」

その続きはチャイムにかき消されてしまった。

「ん、なに?」

僕はその続きが聞きたくなった。

「高橋くんは、私といて楽しい?」

「へ?」

「いや、こうやって居るわけだけどさ、怒ってないのかな、楽しいのかな、って思って」

「今さらだね、僕は小林さんと居て楽しいよ、なんか落ち着くんだよね。」

「へ?!ほんと?」

「なんか、色の無かった世界がどんどん鮮やかになっていく感じがして、楽しいよ、」

「じゃあさ、」

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