オレンジ色

「なぁ、理久」

「ん?」

「最近、楽しそうだな、雰囲気が。」

「そうかな、いつも通りだけど。」

と翔太に言いながら僕は考えた。


確かに最近は学校に行くのも少し楽しくなった気がするし、今日はなんの本を勧めようとか、考えるのがなにより楽しい。ちょっとずつ自分の世界に、彼女の色が塗られていく気がしていた。

彼女の色、あかるくて、あたたかくて、優しいオレンジ色。

少しずつ色付き始めた世界が、心地良く感じた。

「おーい、理久?聞いてる?」

「ああ、うん、ごめん、なに?」

「次、移動教室!急がないと間に合わないぞ!」

「あ、やばい。」

いつもは早めに行くのに、ぼーっとしていたみたいだ。

僕は今日も1日つまらない授業を受け、放課後はお決まりの図書室へ行く。

僕と小林さんはそれぞれ違う本を読んで

「ここが良いんだよね、」

「分かる!これ読んだんだけど、ここも良くない?」

「確かに、ここは感動するところだよね。」

最近は読んでる途中に、感想会をすることもある。


チャイムがなるまで感想会をして帰る、そんな毎日が僕にとって大切になっていった。

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