新たな楽しみ
あれからというもの、放課後図書室に行くと僕より先に彼女がいることが多くなった。
僕は、「なんかすることないのかな、」と思いつついつも自分が座るところに行き、本を読む。
静かな時間がしばらく流れて、彼女が
「ねぇ、高橋くん、この本読んだことある?」
と聞いてきた。
「うん、あるけど」
「この主人公、高橋くんに似てるね、」
「へ?」
思わず変な声が出た。
「高橋くんって、昔からこんな感じだったの?」
「いや、それなりに明るかったと思うけど。」
「そっかぁ!」
「小林さんは明るくてなんか羨ましいよ。」
「え〜そう?あ、今日も感想会しようよ!」
「うん、いいよ、」
僕と小林さんはあの日から1冊読み終わると感想会をするようになった。
「ここがさ〜、めちゃくちゃいいよね!なんというかわくわくした!!」
「そこ、いいよね、僕はここが好き、感情とかよく分かる。あとはこことかここ…」
「あ〜!!めちゃくちゃ良い!!」
すごく楽しそうに聞いてくれるから僕もついついたくさん言ってしまう。
「あとこことかもね、、あっ、下校時間、」
感想会の終わりの合図はチャイムの音。
チャイムが鳴ると、僕らは帰る準備をして
明日ね、とかバイバイも言わずに図書室から出る。
僕はこの時間がいつの間にか楽しみになっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます