起源編 0話

「教皇様!!」「始教皇様!!!」

民の祈りの声が聞こえる。

主よ、我らに慈悲をお与えください。


―――――――――――

「反逆者め!!!我らが神の教えを否定するなど、神への冒涜だ!!!」


なぜ?なぜ彼らは主の慈悲を拒絶する?

私は主の御心のままに、彼らに救いを与えただけだったのに


神よ、なぜ我らをエリ、エリ、見捨て給うたのかレマ、サバクタニ


――――――――――――

明登がこの世界に来る何百年も前。

まだ神秘が神秘たりうる時代、神代と呼ばれたころ。

始教皇■■■■によってもたらされた原初の魔法により、世界はマナで包まれた。


魂の物質化。とある世界では第三魔法として扱われているが、それによく似て非なるもの

冒険者システムの祖となった魔法。

他の魂を持つ者を殺すことで、その魂を成長させ、それに伴い器も成長する


「経験値」とは即ち魂の質のことだ。

スキルや現代の魔法などその副産物にすぎない。


そしてもう一つ、失われた次なる魔法が存在した。

天使の偶像化。天使を模らせることでその存在を確約する。■■■■の教えが絶対であることを示し、あらゆる宗教を統一させた。

そしてそれは、天使と相対する「死神」の存在も確約させたのだ。


「教会」と呼ばれる宗教国家。始教皇亡きあと、彼の弟子たちが作り上げ、天使の偶像化を果たした場所。そこは一種の楽園エデンであり、天使の存在がエデンを、エデンの存在が天使を維持し続ける半永久機関。

そして彼らは世界のシステムに手をだした。四元素を管理する四大天使、その受肉をした。

「神の智」ミカエル「神の声」ガブリエル「神の薬」ラファエル「神の力」ウリエル、それらは依代となった少女の体に宿り、圧倒的な力を持って「教会」の支配を確実のものとした。


それを良しとしなかった者たち、即ちそれまでの世界を牛耳ってきた者たち「魔術結社」

彼らの神そのものを否定され、これまで培ってきた魔術を全て使えなくされた。

もし彼らが颯馬や明登達の世界を知っていたならば、まだ使えたかもしれないが、そんなことは不可能だ、これは「世界の枝ワールドブランチ」の一つに過ぎない、即ちここに平行世界の扉を開くことができる存在はいないのだ。


そして彼らは、とあるアーティファクトを生み出した。

それは「教会」によって宗教や神話の存在を統一される前の素材を用いて。

そうして出来上がったのが「10枚のカード」、「22枚のカード」、そして死神界。


中でも死神の存在は彼らにとって大きな戦力だった。

普通の人間では天使を傷つけることは出来ないが、死神は関係ない。同じく霊的存在である死神たちは容赦なく天使達を刈り取る。

しかし「教会」側も黙ってみているわけではなく、依代を必要としない大量の下級天使や、強力な上級天使、即ち熾天使セラフィム智天使ケルビム座天使スローンズを召喚した。


これが「臨界対戦」と呼ばれる死神と天使の戦いである。

しかし、死神達はその数を確実に減らしているが、天使達は「教会」の召喚により一向に減る気配は無く、結果全ての死神が消滅、もしくは封印という形で臨界対戦は死神の敗北で終わった。


そして「教会」を倒し、自由を手にすべく一人の青年が死神とともに立ち上がる。

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