第7話

「お待たせ致しました。こちらチーズとキノコのピザになります」

店員が運んできたピザで、一通り注文した物がテーブルに出揃った。

「わ~、おいしそ~」

「まあ、最近のファミレスって割とレベル高いわよね」

クラウディアがテーブルに並んだ料理を見てそう言った。

「もぐもぐ……」

「アンタ、せめていただきますくらい言いなさいよ……」

早速、ピザを頬張っているアマガサにクラウディアが注意をする。

「あ、アーちゃんフライングだよ~。いただきまーす」

そう言うとハレノヒも料理に手を伸ばす。その様子を見てクラウディアがため息をつく。

「アンタたち……。料理来る前はあんだけ喋ってたのに、いざ揃ったら料理の方に夢中になるのね……」

呆れながらもクラウディアも「いただきます」と言って料理を食べ始める。

「アーちゃん、これ美味しいよー」

「ど、どれ?」

ハレノヒとアマガサは楽しそうにお互いの料理の交換をしている。

「はむっ、モグモグモグ……。うん、確かにこのドリア、美味しい……」

「そのピザも一つちょーだい」

「いいよ……。はい」

「う~ん、美味しい!」

まるでカップルのように食べさせあいをしていた。

そんな光景をクラウディアはジーッと見ていた。

「今更なんだけど、ハレノヒとアマガサって仲いいわよね」

「えっ何? クラウディアちゃん嫉妬してるの? ご、ゴメンね、かまってあげなくて」

「違うわ! アンタたちって性格真逆って言ってもおかしくないじゃない? よく仲良くできるなと思ったのよ」

からかってくるアマガサを軽くいなす。

「そりゃ私とアーちゃんは幼馴染だもん。というか、クーちゃんも幼馴染じゃん」

ピザを頬張りながらハレノヒが言う。

「物口に入れたまま喋らないの! ……いやまあそうなんだけどさ。幼馴染て言ったって、性格合う合わないってあるじゃない? よくまあそこまで仲良くできるなあと思って」

クラウディアがハレノヒにも注意をする。

「そりゃ、だってアーちゃん可愛いもん。気も合うし、私たち親友だもんねー」

「ねー」

ハレノヒとアマガサが抱き合う。その様子を見ながらクラウディアが昔を思い出していた。

「そういえば昔からこんな調子だったわね……。アマガサがこんなダメ気象精霊になる前から」

「ひ、酷い!」

「昔はアマガサももっと明るい性格してたってのに。どうしてこうなったのかしら……」

「わ、私は今でも明るいよ……?」

「どこがよ。この情緒不安定ダメ気象精霊が」

「ひ、酷い……」

「おーよしよし。アーちゃんは出来る子だもんねー」

「またそうやって甘やかして」

シクシクと泣くアマガサをハレノヒが慰める。

「クーちゃんだって、アーちゃんとよく一緒にいるじゃん。私のこと言えないよ~」

「私は仕事での付き合いが多いからしょうがなくよ」

フンッ、と鼻を鳴らしたクラウディアに、いきなり顔を上げたアマガサが食って掛かる。

「そんな!! 私とクラウディアがちゃんの間にあったのは何だったの!?」

「めんどくさいって感情よ」

「嘘だよ!! 私たちの間には確かに愛があったよ!!」

「『哀』を感じたことはあったけどね」

「私たち、恋人だったじゃん!!」

「そんなわけあるかッ!」

「アーちゃんとクーちゃんはそんな関係だったんだね……。もう私のことは気にせず、二人だけの世界に入りなよ……」

ハレノヒがシクシクと泣く─────演技をする。

「待ってハーちゃん! ハーちゃんの事も本気だったよ!」

アマガサがハレノヒの手を掴む。

「アーちゃん……」

「ハーちゃん……」

二人は見つめ合い、そして─────

「いや、いつまでやんのよこの三文芝居」

「クラウディアちゃんのツッコミを待ってたんだよねー」

「ねー」

イエーイとアマガサとハレノヒがハイタッチする。

「そういえば昔から私をからかうのはアンタたちだったわよね……」

クラウディアはやれやれといった表情で首を横に振る。

「そして、それを傍観してるのがカミナル────」

そこまで言ってクラウディアはふとカミナルが居ないことを思い出した。

「そう言えば今日はカミナルは誘わなかったの?」

「あー、ミーちゃんはね────」


まだまだ食事会は終わらない。

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