第5話~アクト~
高校に入ってとても優しい男の子がいた。みんなに優しい男の子はクラスで浮いている空のことを気にかけてくれた。オレは期待したんだ。あいつが空を変えてくれるんじゃないかって。あいつのおかげで空はほんの少し話せるようになったと思う。微かな笑顔をするようになった。
そっからが最悪だった。空は美人だった。オレは胸を張って言える。テレビの中のモデルよりも空の方が断然美人だ。今まで笑わなかったし、浮いていたから、あまり男子は気にしてなかったが、あいつのおかげで微かな笑顔をしだした空に男子はきっと惚れたんだと思う。それから、あいつを真似した優しい男の子が空と話すようになった。
空は少しずつでも、人と話せるようにならないとと、言っていたから、頑張っていたんだと思う。まだ、男の子は、声変わりもしてなかったし、していても、お父さんの独特の低さとは全然違う。だからだと思う。お母さんと似てる女の子たちと話さず、優しい男の子と話すようになったのは、
話すと言っても空から話すのは必要最低限度。後は話しかけられているから話すと言うだけなのだが…
でも、それが女の子には嫌だったんだろう。
存在しない噂が1つ流れ、2つ流れていった。
どれだけ辛い思いをしたのだろう。オレたちは双子だからか、空の思うことが何となく伝わってくる気がする。
辛い、助けて、なんで、
と、ずっと泣いてる
そして、おれのことまで言われた時は1番にオレに謝ってる。そんな空にオレはどうすればいいのか分からず、何も出来なかった。
オレたちが社会人になって、会うことがなくなった。ある日無性に会いたくなって、久しぶりに会いに行った時に、空は頭から血を流していた。
別になんともない転けてしまった所にレンガがあったという、不運な事故と言われたが、オレには、会いたくなった時が最後のオレへのSOSだったように思えた。
それからオレは家に帰る時に、急に歩道に来た車にひかれて死んだ。運転手は、どんな罪になったのか知らないが、あれはどう見てもおかしかった。急に曲がってオレに向かってきたとオレにはそう思ってしまった。
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