第3話

「病み上がりなんだから今日は寝ときな。」

「大丈夫。」

何も聞けてないし言えてない。

私が口を開こうとすると、足音が聞こえてきた。

「メイドが来る。とりあいず、今日は寝たフリしといて。」

海斗、いやアクトがそういい、私を速やかに横にし、布団を整え、元いた椅子に座って本を読み出した。

コンコンコン

「なぁに。」

びっくりするほど、可愛い声のするアクトに驚いて目を開けると、睨まれたので狸寝入りをした。

「すみません。アクト様一人で大丈夫でしたか?頼まれていた、文字の勉強の本です。

アクト様、まだ遊んでいてもいいのですよ?こんな早くから勉強しなくても…」

「ううん。だいじょーぶ。ぼくねぇ、エリがおきたときにねぇ、えほんよんであげたいのぉ。」

「まぁ、アクト様。エリシア様思いなのですね。この私ユアリムが全力でお教えします。」

「はい。お願いします。ユア先生。」

「まぁー…エリシア様の邪魔にならないように隣の部屋で、」

「大丈夫。」

「え?ですが、」

「…きっとエリも勉強したくなって目覚めてく」

「…そうですね。では、少し小さな声でやりましょうか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど、アクトとメイドのユアの話を聞いて、分かったことがある。

まず、私たちの専属メイドの代表として、ユアリムがいる。私たちはユアと呼んでいる。

あと1番はアクトがやってるみたいに子供っぽさを、出すために赤ちゃん言葉みたいにする事、スムーズにやりすぎたりしたり、難しい言葉を使ったりしたらおかしいから、か。あと、気をつけるポイントとしては、敬語を使ってないこと、かな。やっぱり立場としては私たちの方が上なのか…


…まぁ、海斗がこんな話し方をして、見れないけど子供っぽい笑顔をしてると思うとなんか不思議で面白い。もともと海斗は、クールでそんなに表情も変わらず、言葉が少ないと言われてきた海斗だ。まぁ、私からしたらすぐに表情が変わるし、言わなくても何となく言ってることがわかるので、クールか?となっていたけど。

こんなにわざとっぽい笑顔で大丈夫かな。と思ったがメイドの、ユアは気づかずに、というよりも、可愛さでハートを撃ち抜かれてる。まぁ、アクトは顔がいいから、、


今回海斗、いや、アクトが私に狸寝入りをさせたのは、話し方の注意点や、最低限度の知識を私に付けさせるため。

あと気持ちの整理をつける為の時間をくれたんだと思う。今の記憶が曖昧なところから見て、私は強く頭を打って少し記憶が飛んでるも思う。それに加えて前世の記憶が入ってきたことで、頭の中がぐちゃぐちゃになってる。

海斗に聞きたいことや言いたいことが沢山あるけど、まずは自分の事をちゃんとしてからにしよう。

そう思い考えながら私は眠りについた。

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