第2話

 妹のいる暮らしは楽しかった。ポリーはいつでもにこにこしていて、時々、きゃあきゃあと声を上げて笑う。そんなときにはいつも、私も一緒に笑い出してしまった。お父さんとお母さん、私と、ポリー。4人の生活はとても平和で幸せに満たされて。

 うん、私は運がいい! 世界一可愛い妹がやって来て! 世界一優しいお母さんがいて! 世界一頼れるお父さんがいて!!


 だけど、そんな私たちの暮らしに、ちょくちょく小さな波風が立った。近所に住むおばさん―お父さんのお姉さん―が、弟一家のため差し入れの食事を持って来ては、私たち姉妹を見ながら言ったから。

「まったく! 2人目も女の子だなんてね! この家はどうなっちゃうのかしら」

 本当に困ったもんだわ、跡継ぎの男の子がいないなんて。女腹ってやつかしらねえ―。そんなことを言いながら、お母さんをじろじろと見る。そんなときはいつも、お母さんは身を縮こませるようにして俯き、黙り込む。

 お父さんは、何も言わない。…どうして?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る