プール
えー、ブラウニーの皆のお陰で子供用プールが完成しました! 本格的に泳ぐプールはまだだけど、それは子供達の成長に合わせて作ればいいや。というわけで、お疲れさまでした!
◆
「みんなー。プールできたよー!」
「ほんとパパ!?」
「コーのすいちゅうさっぽうをみせるとき」
「水遊びしたのオアシス以来だね!」
リビングで遊んでいたソフィアちゃん、コレット、クリスにプールの完成を告げると、3人とも立ち上がって俺に近づいて来る。髪が濡れるのを嫌がるコレットだが、水遊びでは別と子供特有の結論が出た様だ。
「という訳で、水着に着替えてプールへ行くぞー!」
「おー!」
大陸では水着なんて概念自体が殆ど無かったため、服屋のダンディに無理を言って作って貰った。全ては子供達と水遊びするこの日の為に!
◆
「準備体操するよー。はい手足をプラプラー」
「はーい」
俺も水着に着替えて子供達の前で準備体操する。プールと言えば準備体操。これは永遠に義務付けられているのだ。
「水遊びで濡れるのは良くて、どうして髪を洗わないの……」
「あはは。お姉ちゃん気を取り直して」
「うふふ。皆写真を撮るわよー」
「パラソルの下で冷たいトマトジュースを飲む。実に吸血的じゃ」
「はいおひい様」
「懐かしい。子供の時はよく水練をしたものだ」
残念ながら奥さん達は、水着になるのは恥ずかしいらしく参加しなかった。特にジネットは既に水着があるからどうかと誘ったのだが、顔を真っ赤にして逃げ出してしまった。まあ前回使ったのはげっふん。
「よしじゃあお水に入ろうか!」
「うん!」
準備万端。俺は早速水に入ったが、子供達はそーっと水の冷たさを確認しながら、徐々に足をつけていく。
このプール、徐々に深くなっていくように作ってあるが、一番深い所でもコレットとクリスのお腹の辺りまでだ。そのため、特に冷たすぎると感じる事が無かった子供達は、どんどん深い方に足を踏み入れていく。
「それじゃあお顔を水につけてみようか。せーの」
「えい!」
「ぶぼぼぼぼぼぼぼ」
クリスと、ソフィアちゃんは顔を勢いよく水に顔をつける。2人とも特に恐怖心は無いようだ。尤もソフィアちゃんにはプールがちょっと浅いため座りながらだが。
一方心配していたコレットも、やはり遊びの延長なのが良かったのだろう。特に嫌がらずに顔を水につけて、口から空気を吐き出している。
まあお風呂には普通に入ってたからある程度分かってたけど、皆これなら大丈夫そうだな。という訳で。
「遊ぶぞー!」
「きしゅうこうげき!」
「せんてひっしょうがざゆうのめい」
「あはは! おじさんごめんね!」
「ぐええええ!?」
さて子供達と目線を合わせようとプールに座ると、待っていたのは旅行で行ったオアシスと同じ光景。つまり水を思いっきりかけられていた。だがパパも負けてないぞ!
「反撃! 手を組んで水鉄砲!」
「きゃああ! パパいまのどうやったの!? クーにもおしえて!」
「ねーねバリアはつどう」
「ちょっとコレットちゃん!」
「おいでクリス。こうやって指を組んでー、掌で水を押し出してごらん」
「えい! パパできた!」
「おお凄いぞクリス!」
指を組んで水鉄砲の真似事で、水を子供達の顔に掛からない様に飛ばすと、クリスが悲鳴を上げながら食いついて、コレットはソフィアちゃんを盾にしながら避けている。
む、この気配は!
⦅混ぜて!⦆
⦅参戦⦆
ポチ隊長とタマ隊長が職場放棄してやって来たようだ。どうやら楽し気な笑い声に誘われたらしいが、その可愛らしい肉球は洗わなければなるまい。
「ポチ、タマ。まずは足を洗うぞー」
⦅大丈夫!⦆
⦅心配ご無用⦆
「なぬ!?」
ほんの一瞬だけ実体化を解いてまた現れたポチとタマ。なるほど、そうすれば確かに汚れは無くなるな……。精霊だけが出来る荒業洗体だ。
⦅ざっぱーん!⦆
⦅突入⦆
「わあ!? もうだめだよポチ。えへへ」
「タマにはんげき。やられたらやりかえす」
「やったなーポチちゃんタマちゃん!」
⦅わっぷ!?⦆
⦅形勢不利⦆
そのまま勢いよくプールに飛び込んだ二人だが、当然中にいた子供達に水しぶきが掛かってしまい、お返しと水を掛けられて反撃されている。
⦅逃げる!⦆
⦅戦略的撤退⦆
「おお、犬かき出来るのか!」
そんな二人はプールの一番深い所に逃げ込んだのだが、ひょっとしたら人生で初めて、犬の犬かきを生で見たかもしれない。いやあ、器用に泳いでるな。
「パパおいかけて!」
「ねーねひっぱって」
おっと、どうやら子供達はタマ達を追いかけたいらしい。
「じゃあ行くよー!」
「はいコレットちゃんお手手つないで。いくよ!」
「えへへへ!」
「えっへえっへ」
俺とソフィアちゃんが、足を地面から離して浮いた子供達の手を引っ張ってポチ達の後を追うが、それが思いのほか面白かったようで、ポチ達のことを忘れて笑っている様だった。よしそれなら!
「じゃあパパが皆を引っ張るね!」
「パパごー!」
「さいだいせんそく」
「あはは、はやーい!」
⦅楽ちん!⦆
⦅便乗⦆
俺の両腕を皆が掴んだのを確認してから水の中を移動すると、それはもう楽しそうな笑い声が聞こえてきた。子供達が浮いたまま足が付かないような速度で、かつ顔に水が掛からないベストな速度を出すのは非常に難しかったが、今俺は最高にパパをやっている。プール作ってよかったああ!
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