200話記念 お誕生日

前書き


遂に200話に到達!これも皆様のお陰でございます!ありがとうございます!



「おっさんいらっしゃい。予約してたの出来てるよ」


「ありがとうな」


お菓子屋が実家の三人衆から、予約していた物を受け取る。ふひ、ふひひ。完璧だ。完璧な出来だ。


「これ個人的なプレゼント。渡して」


「おお! コレットもクリスも喜ぶよ」


この匂いは子供達が好きなクッキーだな。流石は三人衆で最もちゃっかりしている大物だ。プレゼント選びも完璧とは恐れ入る。


そうプレゼント。


今日は愛する我が子達の誕生日なのだあああああああああ!



お誕生日ーお誕生日ー。


「コレットちゃん見っけ!」


「しーん」


「あ、いない振りした子はこうだ! こちょこちょ!」


「えっへえっへ! ねーねやー! えっへ!」


⦅クリスの匂い!⦆


⦅探索中⦆


コレットとクリスが、ソフィアちゃんやポチ達と遊んでいる間に、キッチンをアリーとその指揮下にいるブラウニー達とで飾り付けていく


「坊ちゃま、お嬢様。ご立派になられて……」


ちょっとアリーはそれどころじゃないみたいだけど。


「ふんふんー」


「ふふ」


リリアーナは鼻歌を歌いながら、ジネットも普段よりずっと柔らかい表情で、子供達の好きな料理を作っている。ママ達もルンルン気分のようだ。


「女の子だったら名前はルーで決まりですね!」


「ルーと同じ家でなかったらそれもありだったがな。紛らわしくなるから却下だ」


「本当ですか凜ちゃん!? やっぱり凜ちゃんとルーは大親友ですね!」


「ええい今のは無し! そんなに引っ付くな!」


「アレクシアから名前を貰う事も考えたが、やっぱり紛らわしくなるんじゃよなあ」


「お、おひい様……!」


仲良しなルーと凜の傍でセラが呟いた言葉により、感動して顔を真っ赤にしているアリーは更に帰還不可能だろう。その分頑張らなければ!



飾り付けよし! ケーキよし! 皆よし!


さあお誕生日会だ!


当然ケーキは二人分。ロウソクはお歳の数の本数で、リリアーナが魔法で火をともす。


「さあコレットクリス! ふーって!」


「ふー!」


「ふっふー」


子供達の吹く息とともにロウソクの火が消える。肺活量もちょっと強いため、二人ともロウソクの火を消すようになってから毎年一発だ。俺はこの前、大声出したらどうなるか改めて分かったので自重しておこう。


「誕生日おめでとう!」


「おめでとうコレット、クリス」


「おめでとう! いやあ、月日が経つのは早いですね!」


「おめでとうなのじゃ!」


「坊ちゃま、お嬢様、おめでとうございます」


「おめでとう。私の子供が生まれたら兄と姉として頼んだぞ」


「クリスくん、コレットちゃん、おめでとう!」


「フェッフェッフェッ」


「わん!」

⦅おめでとう!⦆


「にゃあ」

⦅おめでとうございます⦆


「えへへ!」


「えっへえっへ」


家族から祝福されて、クリスもコレットも、そして皆全員笑顔だ。幸せだなあ。


毎年思うが、産まれたばかりの頃はあんなに小さかったのに、いつの間にかハイハイしてパパって言ってくれて、今では毎日走り回ってお勉強までしているなんて……。


ちーん!


最初は抱っこするのだって恐る恐るだったし、オムツの替えだってアリーに教えて貰ってようやくだったんだ。それに夜泣きもあったのに、お部屋で一人でおねんねしてる。


ちーん!


人間五十年と言うが、一人でこっちに落っこちて今じゃ歳は五十ちょい。それが奥さん達が出来て子供も生まれて……。


ぢーん!


「パパまたないてるー」


「なきむしさん」


「へっへっへ。嬉し泣きは泣いてるのに含まれないんだよ」


毎年子供達の誕生日に泣いているから、殆ど恒例行事扱いだ。そうだプレゼントもあげないと。


「はい皆からプレゼント。開けてみて」


「えへへ!」


「えっへ」


ウチは人が多いから、皆からという事でプレゼントを渡している。毎年皆であげてたら、部屋が埋まってしまうからな。


「ちょうちょ!」


「あ、かわった」


子供達が箱から取り出したのは、薄いガラス版の様な物だが魔法具で、その中を飛んでいる様々な蝶が一定の間隔で写り変わるというものだ。


「気に入った?」


「うん!」


「えっへ」


どうやら気に入ってくれてよかった。だが渡すタイミング間違えたな。食事そっちのけで蝶を見ていそうだ。


「はいコレット。食べないとママが普段よりもーっと、ずーっと髪を洗うわよ」


「じゃあ食べましょうか。ソフィアちゃんもお料理手伝ってくれたのよ」


「それはだめ」


「たべる!」


だが杞憂だったようだ。と言うか流石はママ達だな。子供達が食べる事に集中する方法を分かっている。でもコレット、パパは未来のコレットの事を思い出すとちょっと心配です。もう髪の手入れをめんどくさがる予兆が出ているなんて……。


「ねーねこれおいしい!」


「ありがとうクリスくん!」


「ママ、まいにちこれきぼう」


「栄養が偏るからだめよ。ほら口元拭いてあげる」


「はい旦那様、あーん」


「む、アレクシアまた腕を上げたの」


「恐れ入ります」


「リリアーナお姉ちゃんやりますね。じゃあ凜ちゃんあーんむぐっ」


「そっくりそのまま返してやる」


「フェッフェッフェッ」


⦅クリスあれも美味しそう!⦆


⦅選り取り見取り⦆


「ポチとタマよ、頭に乗られるとちょっと食べにくい」


幸せだなあ。

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