ちょっとしたサプライズ2
sideユーゴ
「いや、それにしても大きくなったな!へっへっへっへ」
「パパ!?ちょっとやめてよ!」
「次はコレットだ!」
「絶景かな」
屋敷に入る前に庭で、恥ずかしがって嫌がっているクリスと、特に拒否しないコレットを交互に持ち上げると、手に確かな成長の重みを感じた。
大体12,3歳くらいか?一足先に子供の成長を実感するとは思わなかったが、2人とも元気なようで何よりだ。
「パパ!クーも!」
「コーも!たかいたかい!」
未来の自分を羨ましがって、俺の足元で飛び跳ねている、この小さな子供達がなあ…。ちょっと涙出そう。
だが嬉しさも倍!そおれ高い高い。
「えへへ!」
「えっへ!」
パパ幸せ!
「あ、箒再訓練兵だ」
「…コレットお嬢様。今何と?」
「え? あそこの木の下に、箒再訓練兵がいるなーって」
「…左様でございますか」
俺が幸せを感じていると、コレットから爆弾発言が飛び出し、アリーの目がギラリと光ったのを俺は見逃さなかった。
カタカタ
再訓練兵も感じ取ったのだろう。日向ぼっこしていたしていた再訓練兵は、突如として震えだして真面目に掃除し始めたが、お前さん10年後も再訓練兵のままなのか…。
ブラシ中尉は着々とキャリアを重ねているというのに…。
「…まあ未来の話です。今は見逃しましょう。私、お茶を入れてまいります」
「俺も手伝うよ」
「ありがとうございます」
お茶を入れるアリーを手伝うために席をちょっと外そう。
ジネットとリリアーナも、未来の我が子達を可愛がりたくてたまらないようだし。
◆
「不思議な事もあるものですね」
「だねえ」
「コレットちゃん…私よりも背が高く…」
「ひょっとして未来じゃわしが一番小さい…? いや、他にも生まれた子がいるやもしれんし…」
俺とアリーがお茶を入れている傍ら、手伝いに来てくれたルーとセラが、ショックを受けた様に呟きながら、食器を準備してくれている。
どうやら、将来子供達に背を追い抜かれてしまう事がショックだったようで、リビングに向かう最中も虚ろな目をしていた。
「うふふ。クリスがこんなに大きくなるなんて」
⦅匂いが一緒!やっぱりクリスだ!⦆
「ママ止めてよ!恥ずかしいってば!ポチもくすぐったい!」
「ママ!クーも!」
「はいクリス。ぎゅー」
「えへへ!」
リビングに戻ると、ソファに座っていた未来のクリスが、リリアーナに抱きしめられて、ポチに臭いを嗅がれまくっていた。
だが恥ずかしくて堪らないのだろう、何とか引き離そうとしていたが、残念ながら位階や種族的にリリアーナの筋力に抗えず、そのまま母に埋もれていた。
どうやら未来のクリスは恥ずかしがり屋さんらしい。まあ、年頃の男の子なんだ。ああいうものだろう。
「ほらコレット、後ろを向きなさい。髪を梳くから。ちゃんと手入れしてるんでしょうね?」
「面倒だからしてない。それに私は元々サラサラヘアー」
「全く…。じっとしてなさい」
「えっへ」
「ママ!コーも!」
「いいわよコレット」
「えっへ!」
⦅右にコレット、左にコレット⦆
一方コレットの方は、ジネットに後ろを向かされて、櫛で髪を梳かされていた。
口ではめんどくさそうに言っていたが、いざ母に髪を梳かされると、嬉しそうに小さく笑っていたので、触れ合いが好きなのは、今のコレットと変わりないらしい。
「どう婆さん? 何か分かった?」
「ああそうだね。多分だが2,3日で勝手に戻ると思うよ」
「おや、そんなもんか」
そんな子供達と母親達を微笑ましそうに見ていた婆さんに、この不可思議な現象について聞くと、どうやら思ったよりも大事では無いらしい。
「本当お婆ちゃん!?」
「よかったよかった。流石お婆ちゃん」
「ああ」
未来の子供達もほっとしたようにしていたが、やっぱり未来で頼れるお婆ちゃんポジションに収まってやがるな!?
パパも頼りになりますからね!?
「ちょっと未来で起こった、何か大きな事件とか大事を言ってごらん」
「え?……言えない!?」
「……私も」
「やっぱりね」
何が起こっているか分からないが、未来の子供達が黙った後に驚愕していた。
何かの制限か?
「指でいいから書くことは?」
「動かないよお婆ちゃん!?」
「私も。何か制限とか条件がある遺物なの?」
「ああ、やっぱりね。どうやら私の知っている時神の遺物で間違いないらしい」
流石だ婆さん!やっぱり頼れる婆だ!
あっ。
「ドロテア様。その時神様というのは?」
「聖女のあんたでも知らないくらい無名の神さ。名前に時が付いている癖に、それはもう弱かった」
「でもこうして過去にこの子達が」
そうそう。ぼろくそに貶しているが能力は非常に強いんだが。
「時間逆行とは聞こえはいいけど、実質出来るのは時間旅行なのさ。大事に関われない、知らせれないときた。当時の神々は本当に色々試して、現在の危機を過去に知らせようとしたみたいだけど、そもそも行けなかったりして何もかも失敗した上、一番の大事、神々と竜の戦争では真っ先に戦死してね。まあ、誰も万が一の切り札として逃がさなかった辺り、当時の評価が知れるってもんだ」
「じゃあボク達は?」
「その神はどんなに頑張っても3日程度しか能力を使えなかったから、そのうち自然と帰れるさ」
「よかったー」
本当にぼろくその評価だ。時間なんてどう考えても凄い能力なのに…。
「フェッフェッ。神でも侵せない領分はあるのさ」
さよけ
「でもお婆ちゃん。私たちが帰ったら、その遺物は封印した方がいいのかな? 今の技術ならどうにか出来ちゃうかもだし」
「フェッフェッ、賭けてもいいがね、お前さん達が帰ったら目にするのは、壊れて砂にでもなった遺物さ」
いっそ清々しいまでのぼろくそぶりだ。今でも残っている神々は、非常に強力な存在ばかりだから、そんな神は非常に新鮮だ。
「じゃあそれまで僕たち…」
「お世話になります」
「クリスとコレットの家なんだから、いるのは当たり前だ!」
だからそんな伺う様な表情をするんじゃない!
「うん!」
「ありがとうパパ」
うむ。子供は笑顔じゃないとな!
さて…写真を早速…。
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