日常編

日曜大工パパ

ユーゴ邸 sideユーゴ


満たされた…。


昨日の晩は、婆さんとソフィアちゃんがいるから、夜の営みはなしだったが、それでも愛する妻達と、ベビーベッドで眠る我が子達に癒された。

これで365日頑張れる。


出張はもうごめんだがな!

絶対に!


「おはようブラシ曹長。俺が留守の間よくやってくれた。今日から君は少尉だ。これからも頼むぞ」


カッ!


どうやら、俺が留守の間に浴室の清掃は元より、ぬいぐるみに宿って子供達の遊び相手を務めるなど、大活躍だったようだ。

昨日はソフィアちゃんに買ってあげた、くまのぬいぐるみに宿り、子供達を大喜びさせていた。


まさしく尉官になるに相応しい。

ちょっと豪華なリボンをどうぞ。

うむ。似合っているぞ。


カッ!


うむ。相変わらず見事な敬礼。

さて、お湯を張るか。


あ、ところで滑り台そろそろ作る?

だよな…。ちょっと早いよな…。それに子供達のぼせそう…。


室内用のちっさいの作るか!おもちゃと一緒に!

ソフィアちゃんも喜んでくれるだろう!


ん?なんか湯の張り早くね?

なに!?婆さんが改良してた!?


あ、ほんとだ!よく分からん回路が増えてる!

婆さんありがと!



ええっと足の長さはっと。


「おじさんなにしてるの?」


「ぱー!」


「ぱーぱ!」


「滑り台を作ろうと思ってね。ちょっと足の長さを測ってるんだ」


ちゃんと子供達の小さな足を測らないと、段差を昇れないものが出来上がるからな。

あ、こらクリス。じっとしてて。


よし。


「ぱー!たー!」


「たー!」


む!?コレットとクリスが、俺の足にタッチして、遠くへ離れた…。これは!?


「追っかけっこの続きだね!まてまてー!」


「きゃー!」


「きゃー!」


「コレットちゃんクリスちゃん!早く逃げて!」


間違いない!俺と追っかけっこして遊びたいという合図!

滑り台製作は一旦中止!


「ねー!」


「ねーね!」


なぬ!?ソフィアちゃんの後ろに隠れるとは!

だが甘いぞ子供達!


「わあ!?」


「ねー!?」


「ねーね!?」


驚愕の声を上げるコレットとクリス。それもそのはず、頼りにしていたソフィアちゃんは、今俺の肩に乗っているのだ。


「わあ。おじさんたかーい!」


「でしょ?さあ、しっかり掴まっててね!」


「うん!」


「ぱー!ねー!」


「ぱーぱ!ねーね!」


ソフィアお姉ちゃん裏切ったの!?と言わんばかりの顔をしている、コレットとクリス。

ふはは!観念しなさい!


「きゃー!」


「きゃあ!」


捕まえた!



「次はーお庭。お庭に参りまーす。がしゃこん」


「おにわー!」


「わー!」


「おー!」


肩にソフィアちゃん。両腕にコレットとクリスという完全装備で、庭を目指す。

うむ。暖かな日差しだ。


⦅あ!いいなー!ボクも!⦆


⦅私も⦆


え!?一体どこに来るんですか!?ポチさんタマさん!?

庭にいたポチとタマが、俺にダッシュしてくるが、空いてるスペースなんて無いぞ!?いや、あったわ…。


「んぶ!?」


「ポチちゃんとタマちゃんだ!」


「たー!ぽー!」


「ぽ-お!たーあ!」


「わん!」


「にゃあ」


やっぱりね…。

ジャンプして、俺の顔面にくっ付いたポチの背にタマも乗っている。

何とかの音楽隊もびっくりな重ね業だ。


まっ!皆楽しそうだしいっか!


「それでは発進します。がちゃこん」


ポチが口の前にいるから、ちょっとふごふごした発音になってしまった。



ここを組んでっと。


「見事なもんじゃのう」


「はい。ブラウニー工作隊にも匹敵するかと」


「はっはっは!」


仕事場の製作室で、子供達用の滑り台やら知育ブロックを作っていたら、セラとアリーが誉めてくれた。

日曜大工はパパの仕事ですからね!


その子供達は、庭ではしゃぎ過ぎたから、皆お昼寝だ。

このおもちゃがデビューするのは夕方だな。


「よし。滑り台が出来た」


渾身の出来だ。左右の板には、それぞれポチとタマの絵もついてある。


「おひい様。試してみますか?」


「せ、せんわい!?」


ううむ。サイズ的に、ぎりぎり滑れそうな気もするが、顔を真っ赤にして否定しているから、いらん事は言わんでおこう。


さて、小さいし場所も取らんから、リビングに置こう。


よっこいせ


「こっちのブロックは、わしが持っていくからの」


「ありがとうね」


子供達もリビングで寝ているから、そっとだ。って今起きたな。


「おはよう皆」


「おお。同時に起きるとは仲が良いな」


「まま!」


「まま!」


「おはようございます。クリスお坊ちゃま。コレットお嬢様」


「おはようございます!おじさんそれなに!?」


なんか子供達の発音がはっきりしているような…。


「ふっふ。よくぞ聞いてくれました。さあソフィアちゃん、昇ってみて」


「これって、ひょっとしてすべりだい!?」


「その通り!!では第一号のお客様、どうぞお滑り下さい」


「わーい!えい!」


ちょっと特殊な素材でできた、滑りやすい奴を使ってるから、途中で止まることなく、ソフィアちゃんが滑り台を滑っていく。


「あはは!すごい!おじさんすべったよ!」


「ぱ!ぱ!」


「ぱーぱー!ぱー!」


ソフィアちゃんが笑っている姿を見て、コレットとクリスも、あれやりたいとばかりに俺の事を呼んでいる。


「よーしよし。順番だぞ皆」


「きゃー!」


「きゃあ!」


「コレットちゃんもクリスちゃんもすべったー!」


「はっはっは!」


パパ幸せ!!!!!

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