聖女覚醒

本日2話です 前話未読の方はご注意ください


剣の国 ユーゴ邸 リリアーナ


あ だんなさまだ

きょうもかっこいいなあ

うえにのっちゃってもいいかな?

だれもいないしいいよね

えい


「おはようリリアーナ」


おはようございます だんなさま

もうすこしいいですか?


「もちろん」


えへへ

だいすき

おもくないですか?


「軽い軽い。ずっとこうしていたいくらい」


わたしもです

ずっといっしょ


「あ」


きすされた

うれしい

わたしからも


しちゃった

うふふ


「そろそろお風呂入ろうか」


はい つれていってください


「お任せあれ」


だっこされた


「到着ー髪を洗いますねー」


「はーい」


だんなさまはおじょうず


「かゆいところはありませんかー?」


ないですー

からだもあらってもらった


「髪を上げてお湯に入りますねー」


「はーい」


あったかい

しあわせ


あら?お食事?


「ようやく起きたか色ボケ聖女。もう朝食の準備は終わったぞ」


いつのまに。なんだかとっても幸福な時間だったような。

思い出して来た。恥ずかしい…。


「ジネットさん。私色ボケではありません」


「そんな急に顔を赤らめ始めたら、なんの説得力もないわ」


うう。ジネットさんがいじめる。


「それじゃあ頂きます」


頂きます。

ダメだ。旦那様のお顔を見れない。



「リリアーナこちらへどうぞ」


「ふふ。はい」


旦那様がお気に入りのソファにいた。

神殿でのお勤めがないときはよくここで2人で過ごす。他の人たちは遠慮してくれている様だ。あまり気にしてはいないが、せっかくだしご厚意に甘えよう。


「肩揉みますねー」


「お願いします」


最近旦那様はよく私の肩を揉んでくれる。こっているのが分かるのだろう。胸の大きさは、赤ちゃんの事を考えたら役に立つと思うが、肩に負担が掛かるのはどうしたものか。

でも、本当にお上手。どこかで習ったのだろうか?


「気持ちいいです。どこかで習われたのですか?」


「ふっふっ。戦うってのはある程度極めて来ると、治すも壊すも思いのままなのです」


「そうなんですね」


魔王から私を守ってくれた時の旦那様かっこよかったなあ。

あら?


「マッサージ終わったから、今度は俺がリリアーナに甘える番」


私のお腹の辺りに顔を埋め、両腕はお腰に回される。

あらあら

うふふ

かわいいこ


「ちょっとお昼前から早まったかもしれん」


どうしたの?

せなかたたくね

ぽんぽん


「流石にげっぷは出ないかな」


そう?

じゃああたまをなでなでするわね

なでなで


「うーむ。幼児退行起こしそう」


「こうしていましょうね」


「…お願いします」


なでなで


旦那様と一緒に、前に来ていた家具屋さんに来ている。

幾つか気になっていたゆりかごがあるのだ。

特にこのゆりかご、多分故郷のエルフの森辺りで採れた木を使っているはず。薬のおかげで、少しなら問題ない様だが、それでも気軽に行ける場所ではない。だから生まれてくる子供には私の故郷の木を使ったゆりかごを…。


「おや、エルフの森の木かな?」


「旦那様もそう思います?」


「うん。昔近くまで行ってね。野暮用で」


「そうなのですね」


暮らしてきて分かったが、旦那様が詳しく言わない野暮用は、なにか大事の様だが詳しくは聞いた事がない。あまり、聞いてほしくもない様だ。


「それより、これ買おうか」


「よろしいのですか?」


「勿論。売れたら困るしね。リリアーナの故郷の木なんだ。大事に取っておかないと」


「旦那様…」


もう、これ以上好きにさせてどうするつもりなのです?


「あ、店員さん。このゆりかご一つ……。一つでいい?」


いくつあります?



夕食後に、旦那様からお話があると例のソファに来ていた。

ぴったりと隣に座ると、手を重ねられた。


「リリアーナ、無理はしてない?赤ちゃんだって授かりものなんだ。それにお互い先はまだまだ長い、焦る必要はないんだよ?」


「うふふ。旦那様、分かってますよ。ただ少し、気が競っているだけです」


心配してくれていた。


「そう?気に病んでるとかしてない?貴族じゃないんだから、お家がどうとか関係ないよ?」


「そういえば、貴族の方はそういう事もありましたね。うふふ、大丈夫ですよ。そういうのじゃありません」


旦那様に随分と心配をかけていた様だ。そういうのじゃなく、本当に可愛らしい自分達の子供を早く見たいだけなのだ。


「そう?それならいいけど。じゃあ、こっからは夫婦の時間」


「きゃ」


だっこだぁ

えへへ

きすもされちゃった


「ほんとに気になってない?」


はいぃ

ただあかちゃんとみんなでくらしたいだけです


「そっか、大丈夫。まだまだ今は新婚生活さ」


はいぃ

だからもっとちゅーしてください

えへへ


「愛してるよ。ずっと一緒だ」


「はいぃ。じゅっといっしょー」


ずっと


いけませんね旦那様。あの時のお香を隠すなんて。あれは、あれで少し普段と変わっていいではありませんか。

腹上死?ジネットさんから聞きましたよ。まだ実は余裕があると。

それでは皆さん、旦那様をやっつけてしまいましょう。


あ ぼうやだ

はじめまして 

わたしがままですよ


じねっとさんもだ

よかったねぼうや

もうきょうだいがいますよ


うふふ

おなまえかんがえないと

これからよろしくね

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