祝日

本日3話目の更新です。ご注意ください。

記念すべき50話からの大事な話なので急いで書きあげました。



剣の国 ユーゴ邸


今日もいい天気だ。

さて、奥様達の体調はよ、くねえ!??

え!?ちょ、ちょっとまって!?ジネットとリリアーナのお腹の中にあるのひょっとして!?え!?どういうこと!?まさか!?まさか!??

婆さん助けて!!


はん?こんな時間に坊やだって?年寄りの朝が早いとはいえ、レディを訪ねるには早いね。

ようやく腰を落ち着けたと思ったらこれだ。


「婆さん助けて!」


やれやれ、変わってるようでちっとも成長してないねえ。


「お待ち坊や」


婆さんを背負って急いで転移しようかと思ったけど待ったがかかった。

こっちは切羽詰まってるんだが!?


「まさか坊や、あんたの後宮に私を連れて行くんじゃなかろうね。私はそんなつもりはないよ」


「こっちも願い下げだよ婆!急いでるんだが!?」


「そりゃあいいけど、着いた先が素っ裸の中とは言うまいね」


「少し待ってくださいお婆様」


「やれやれ」


ちくせう



不思議がる皆を浴室に連れて行き、皆が出た後に婆さんを連れてくる。

ジネットとリリアーナには付きっきりだったから、さらに不思議がられた。


「ジネットとリリアーナをお願いします。お婆様」


「はいよ。聖女とダークエルフのお嬢ちゃんだね」


「あなた?」


「旦那様?」


婆さんには説明したが、他の皆にはまだ黙っている。俺の勘違いという事もあるが…しかし、これはどうみても…。

皆リビングにいるが、何が起きているかよく分かっていない。俺もそうだが。


「さて、…ふむ。こっちは…」


婆さんが二人のお腹を順番に触っていく。

婆さん焦らすな!!

神様どうか!!


「おめでただよ。坊や、よかったねえ。というか坊や分かんだろ」


いやったあああああああ!!!

ははははははははははは!!!

神様何柱か殺しちゃってごめん!!!

あと間違えたらどうすんだ婆さん。


「おめでた?ひょっとして」


「旦那様!?」


思わず二人を抱きしめてしまう。

俺に…俺たちに子供…。

父さん母さんアンタらの孫だよ。


「お腹に、赤ちゃん、ベイビー、子供」


言語機能が麻痺しているが構うものか。


「赤ちゃん…私に…」


「だんなさまあ!」


2人ともようやく事態が呑み込めたようだ。涙ぐみ始めた。


「ご主人様!お姉ちゃん!リリアーナお姉ちゃんおめでとう!」


「よかったのう!」


「おめでとうございます」


他の皆も祝福してくれている。

嬉しいなあ。


「うう…」


「ひっくっ…」


2人とも泣きながら俺を抱きしめ返してくれる。

俺もキスだ。

ほらほら泣き止んで。


「指輪は外さんようにね。胎児も守ってくれる。転ぼうがぶつけようがね」


「ありがとう婆さん」


マジかよ。俺が殺した神の後釜に座った?


「つわりが酷かったらウチに来な。産婆もやってあげるよ」


やっぱりな。最近神々しく思ってたんだよ。


「そんじゃ背負いな。私は帰るよ」


へい、もちろんでさあ。お見送りさせて頂きやす。


「あなた…」


「旦那様…」


「男の子かな!?女の子かな!?」


「双子かもしれんぞ」


「教育係が出来る侍女がちょうどここに」


婆さんを送り届けて帰ってきたが、2人ともまだ呆然としていた。

まあ、周りは盛り上がっていたが、そんなもんだとよく聞いたような。


「ジネット、リリアーナ、ありがとう。不安になるかもしれないけど、一緒に頑張っていこう」


「はい」


「はい!」


身をかがめて2人を抱きしめ言葉をかけると、2人とも表情が落ち着いて来た。よかった。

さて…おむつはどこで売ってたっけ。


私とあの人の子供が今お腹の中に…。

うふ、うふふ。なんてことだ。こんな幸せなことが。


「お姉ちゃんお名前どうするの?」


「まだ早いだろう」


第一、男か女かもわかっていないんだ。


「えー?そうかなあ。両方準備するんじゃないの?」


んん?そういうものか?

ルーの時は…だめだ、訓練が忙しくて父母がどうしていたか知らん。

そもそも命名とはどうするのだ?


「妊娠しちゃたら何か食べちゃいけないモノとかあるのかな?」


それは当然…あるのか?

普通の食事なら問題ないのでは?


「うーん。わかんないや」


ちょっと待て。本当に分からんぞ。



あかちゃん

わたしのおなかにあかちゃん

うふふ

きっとぼうやだ

なんとなくわかる

はやくあいたいなあ

あったら

あったら?

おしめはどうしたらいいのかしら?

そういえばミルクの量と時間って?

あら?

そもそもどうやって抱っこしてあげたらいいのかしら?

げっぷ、そう、ミルクを飲んだ後のげっぷは何かで聞いた事がある。他には?

あら?あらあら?



今日は祝日と役所に提出、じゃなかった。子供が生まれてから役所に届けたらいいのか?

出生届…そう、出生というからには生まれた後では?

というかこの世界、母子手帳あるの?いや、中世もどきだからあるやも…。

それと、おむつとミルクだ。粉ミルクとかあったかな?なかったらどうすんの?いや、リリアーナがいるからまずミルクは大丈夫なはずだ。おむつ?吸水性のある現代の奴なんてないだろ?どうすんの?まさかただの布?

助けて婆さん!?

いや、あの婆さんが子育てしたのって何世紀前だ?

え?どうすんの?



「不肖このアレクシア、おひい様を育て上げた自負がございます。お任せください」


「頼むぞアレクシア!」


「アレクシアさんお願いします!」


「アリー様どうぞよろしくお願いします。いや、ほんとに」


流石だ…。アリーこそ完璧侍女。


「ただ、こちらのお役所がどういう物かは分かりかねますので」


だよね。

よし頑張ろう。

皆と一緒にだ。

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