ようこそ我が家へ

祈りの国 ユーゴ


「ユーゴ殿、この度は誠にありがとうございました。このドナート、祈りの国を代表してお礼申し上げます。どうか、リリアーナ様の事よろしくお願いします。」


「はい、ドナート枢機卿。リリアーナ様を必ず幸せにして見せます。」


だから、そんな顔をしないでくれ。看板娘が関わった時の酒場の店主がよく見せる顔だ。そういや、あのバカップルどうなったかね。もう、店主は墓の下かもしれん。


「それでは皆様お世話になりました」


「ドナート枢機卿、皆様、今まで大変お世話になりました。このリリアーナご恩は忘れません。必ず幸せになります」


皆さん号泣だ。後、俺に対する視線は強まった。怖い。

リリアーナは少しゆったりめな服の上にマントを着て、下はスカートだ。


「では、転移!」


剣の国


我が家に帰宅。4人でも十分広いが、リリアーナの、ご希望通りの数の子供が生まれると引越しだな。まあ、先の話だ。まずは掃除だな。その後、婆さんとこにリリアーナを連れて行こう。


「帰ってきました!」


「ふう、お疲れではありませんかあなた?」


「全く問題なし」


リリアーナはポーっとしている。


「ここが、だんなさまのおうち…。わたし、ここでおよめさんになって、しあわせにされちゃうんだ。あかちゃんもいっぱいうんじゃうんだ…」


将来設計もばっちりのようだ。

お望み通り、中へ連れ込んでしまえ。

どうやら抱っこが好きの様だしね。


「あっ…」


「我が家へようこそ。可愛いお嫁さん」


「はいぃ。ふつつかものですがよろしくおねがいします」

可愛い。真っ赤だ。


「このままあかちゃんつくっちゃうんだ」


そこはぐっと我慢。

◆   ◆   ◆

sideジネット


「それでは改めまして、ユーゴですよろしくね」


「ルーです!」


「ジネットだ」


「リリアーナです。これらよろしくお願いします!」


聖女、いやリリアーナが真っ赤な顔で挨拶を返す。

ルーめ、本当にリリアーナを連れて帰って来るとはな。まあいい。

あの人が嬉しそうならそれでいい。


「リリアーナは家事とかどう?」


「はい、身の回りの事は自分でやってました。ただ、お料理は…」


「おお、俺も料理あんまり出来なくてね。一緒に練習しよう」


「はい!」

なに!?


「ジネット、ルー。空いてる時間とか教えてもらっていいかな?」


「はい!」


「もちろんです」


良かった。私も参加できるのか。


「それじゃあ、掃除しようか。リリアーナの部屋も準備しないと」


さて、お仕事だ。



「ここが旦那様のお部屋なんですね」


「ああ、そうだ。ベッドが大きいからコツがいる」


「ここであかちゃんが」


この色ボケ聖女大丈夫だろうな?いや、私もあの人との子供は欲しいが。


「あれ、この下着…?」


ん?あ、あれは私の下着!?教会の使者が急に来たから、そのままだったのか!


「わ、私の下着だ!し、しまっておく!」


「やっぱりそうなんだ」


ええい!うるさい!これから色ボケ聖女と呼ぶぞ!!


◆   ◆   ◆

sideユーゴ


「婆さん奥いる?」


「はい、いますよ」


さて、婆さんでもどうにかなるかなあ?


「やあ、婆さんお邪魔するよ」


「お、お邪魔します」

「フェッフェッ。いらっしゃい」


リリアーナの驚きが伝わってくる。ここまで外見が歳を取った、エルフを見るのは初めてなんだろう。ほんとに幾つなんだ?


「祈りの国の仕事は済んだようだね。聖女まで連れて」


「リリアーナと申します!この度ユーゴ様のお嫁さんになりました!」


だから、なんで知ってやがる。


「これはこれはご丁寧に。私はドロテアっていう薬師の婆さ。いい娘を連れて来たじゃないか」


ウチのお母んか。


「まあ、久々に思いっきり殴る事になったけどな」


「なんとまあ。フェッフェッ、そんな奴が出て来るとはね。傑作だ。さぞ高名な奴だったんだろうねえ」


これは流石に知らんかったか。

だがまあ、跡形も残ってないんだろう?」


「まあね」


「フェッフェッ。ああ、そのマント、その娘に渡したのかい」


いいところに気が付いた。


「似合ってるだろ」


「ああ、似合ってるとも。フェッフェッ」


「そうだろう、そうだろう。」


リリアーナは真っ赤だ。可愛い。


「のろけるんじゃないよ」


ええい、うるさい。


「本題なんだけど、親和性が良すぎたみたいで、リリアーナの体が神の気を蓄え過ぎてるんだ。何とかならないかい?」


「ああ、通りでね………。結論を言うとほぼ無理。緩和は出来ると言ったところかね。体がそうなってる上に、神の力をそう容易くどうこう出来ん。」


マジか。完全に無理だと思ってた。

愛してるよ婆さん。


「気持ち悪いこと言うんじゃないよ」


言ってねえよ糞婆!!!


「緩和ってどのくらい?」


「無理したら、祈りの国か世界樹の近くでも動けるって程度だね」


やはり難しいか。


「じゃあ、その薬作っておいてくれる?」


「はいよ」


「あの、旦那様。リリアーナは旦那様の所にいるので、そんなに気を使って頂かなくても」

可愛い。愛してる。このまま抱っこして帰ろう。そうしよう。


「あ、だんなさまぁ」


「じゃあ、婆さんよろしくね」


「とっとと帰りな」


はっはっ。

よし、棚に引っ掛からないな。


「それと婆さん!指輪ありがとね!おかげでリリアーナを守ることができた!」


「ドロテア様が作られたんですか!?ありがとうございました!指輪のおかげで私は!」


フェッフェッフェッフェッ。フェッフェッフェッフェッ


すげえ上機嫌な笑い声が、奥から聞こえて来た。


◆   ◆   ◆

だっこされながらかえってきた。

まちのみんなにだんなさまのおよめさんってわかってもらえた。

くるくるまわったりしながらかえってきた。

ごはんもおいしかった。

おふろおおきかったなあ。

わたしこれからだんなさまとひとつになるんだ。

あいしてます。

すきすきすき。


あ、わたしのぼうやだ。

かわいいかわいい。


◆   ◆   ◆

sideルー


うーん。リリアーナお姉ちゃん、今日はダメだね。

朝から既に、心ここに在らずだ。ポーっとしている。

初日のお姉ちゃんといい勝負だ。

いやあ、しかし、甘えん坊モード全開かと思ったら、途中から甘やかしモードにも入ってたね。

途中で意識が朦朧として、母性が爆発しちゃったんだろう。ご主人様の事、自分の赤ちゃんと認識してたんじゃなかろうか。

まあでも、よかったよかった。これで、皆で仲良く幸せになれる。





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