団欒
剣の国 ユーゴ
二人が準備して入れた料理がテーブルに並ぶ。すんげえ美味そう。いや、酒場の料理もいいが、なんか方向性が違うのだ。気合の入った家庭料理?そんな感じだ。
全員椅子に座っているが、妹ちゃんの方はニッコニコ、姉ちゃんの方はマッカカだ。ほんとに大丈夫か?褐色の肌なのに、皿にあるトマトにも負けてないよ?若干上の空だし。妹ちゃんに聞いても大丈夫ですの一点張りだ。妹が言うならそうなんだろう。
「二人ともありがとね。すんげえ美味そう。それじゃあ頂きます!」
「頂きます!」
「…頂きます」
美味い!
「美味い!」
「本当ですか!」
「ほんとほんと!」
「やったねお姉ちゃん!」
「…ああ…よかった」
「こっちの肉も美味い」
「そっちはお姉ちゃんが作ったんですよ!」
「…ありがとうございます」
いやあ、団欒だ。酒場以外でこんな喋りながら飯食うなんていつぶりだ?冒険者の真似事をモグリでやってた時は、一時期な仲間と駄弁りながら飯食ってたな。一体いつの話だよ。涙が出そうだ。
それよりも今は晩飯だ。うん美味い。
◆
sideルー
「良かったねお姉ちゃん!美味しいって言ってくれて!」
「…ああ、そうだな」
今は二人の寝室にいるが、お姉ちゃん、お夕飯の時からずっとこんな感じでドロドロだ。やっぱり、ご主人様が私達の事心配してくれてたのが嬉しかったんだね。
どうしよう。やっぱりこのままの勢いで、お姉ちゃんを連れて、ご主人様の寝室に行こうかな…。いや、だめだ、お昼にも思ったけど、お姉ちゃん絶対に倒れる。もう少しご主人様に慣らしてあげないと。私一人で行くのも悪いし、やっぱり機を伺おう。
「それじゃあお姉ちゃんお休みなさい!」
「…ああ、お休み」
明日から掃除洗濯、お食事に身の回りのお世話。頑張らなくちゃ!
◆
sideジネット
ルーは…寝たようだな、羨ましい。私はずっと心臓がうるさくて眠れない…。こんな事は、訓練の時でも無かった。原因は…分かっている。あの男が私達に配慮してるのを知ってからだ…。
くそ、あの男と再会してからおかしい。いや、逃げるのはよそう、これが何と呼ばれているかくらい知っている。しかし、私にこんな事が…。
…ダメだ、眠れない。そうだ、少し夜風に当たって来よう。気も紛れるだろうし、私達を襲おうとする人間種がいるかもしれん。マントと短剣を付け窓から天井へ上がる。
いい夜だ、少し落ち着いてきた。今日は満月だったか。ふふ、月の様だとか、月の神の愛し子なんて呼ばれているが実際どうなのやら。
ん?あの男が家を中を…ままままさか!んん!?玄関?外へ出るのか?こちらへ飛んできた!
「やあ、ジネット。月が綺麗ですね」
こっこここの男!?私のことを今!!!???
い、いや違う勘違いだ!!そうに違いない!!
「ななな何でこんな所に!?」
「いや、ジネットが屋根の上に行ったのに気が付いてね。気を張ってるのかと心配だったんだ」
ダメだダメだダメだダメだ!!そんな心配そうな顔で私を見るな!!?私は!!私は!!!!
「大丈夫かい?不寝番やらなくても、俺がそういうの分かるから心配せんでいいよ。人間種の国だからジネットもルーも不安だろうけど、お任せあれ」
あああああああああああああ!!!!
◆
sideユーゴ
倒れたあああああああ!!???
いや、確かにちょっとセクハラ発言したけど、この世界じゃ別に他意が無いことは知ってるぞ!?普通の夜の挨拶だ!!
呼吸よし!脳よし!その他臓器と魔力よし!!心臓と脈拍が早え!!結論!異常無し!どうしろってんだ!?何度確認しても結論は一緒!
しゃあない、とりあえずベッドに運んで気を付けておこう。
ダークエルフにとっても特別意味は無いはずだが…。
…うん。異常はない。最悪の場合、婆さんの所に運ぶか。心臓が動いてたらどうとでもするだろう。
しっかし、美人だねえ。
◆
はい、あなたと一緒に今生も、死後も、次があるなら次も、そのまた次も。ずっと一緒です。永遠に。
ーダークエルフの誓いー
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