団欒


剣の国 ユーゴ


二人が準備して入れた料理がテーブルに並ぶ。すんげえ美味そう。いや、酒場の料理もいいが、なんか方向性が違うのだ。気合の入った家庭料理?そんな感じだ。

全員椅子に座っているが、妹ちゃんの方はニッコニコ、姉ちゃんの方はマッカカだ。ほんとに大丈夫か?褐色の肌なのに、皿にあるトマトにも負けてないよ?若干上の空だし。妹ちゃんに聞いても大丈夫ですの一点張りだ。妹が言うならそうなんだろう。


「二人ともありがとね。すんげえ美味そう。それじゃあ頂きます!」


「頂きます!」


「…頂きます」


美味い!


「美味い!」


「本当ですか!」


「ほんとほんと!」


「やったねお姉ちゃん!」


「…ああ…よかった」


「こっちの肉も美味い」


「そっちはお姉ちゃんが作ったんですよ!」


「…ありがとうございます」


いやあ、団欒だ。酒場以外でこんな喋りながら飯食うなんていつぶりだ?冒険者の真似事をモグリでやってた時は、一時期な仲間と駄弁りながら飯食ってたな。一体いつの話だよ。涙が出そうだ。

それよりも今は晩飯だ。うん美味い。


sideルー


「良かったねお姉ちゃん!美味しいって言ってくれて!」


「…ああ、そうだな」


今は二人の寝室にいるが、お姉ちゃん、お夕飯の時からずっとこんな感じでドロドロだ。やっぱり、ご主人様が私達の事心配してくれてたのが嬉しかったんだね。


どうしよう。やっぱりこのままの勢いで、お姉ちゃんを連れて、ご主人様の寝室に行こうかな…。いや、だめだ、お昼にも思ったけど、お姉ちゃん絶対に倒れる。もう少しご主人様に慣らしてあげないと。私一人で行くのも悪いし、やっぱり機を伺おう。


「それじゃあお姉ちゃんお休みなさい!」


「…ああ、お休み」


明日から掃除洗濯、お食事に身の回りのお世話。頑張らなくちゃ!


sideジネット


ルーは…寝たようだな、羨ましい。私はずっと心臓がうるさくて眠れない…。こんな事は、訓練の時でも無かった。原因は…分かっている。あの男が私達に配慮してるのを知ってからだ…。

くそ、あの男と再会してからおかしい。いや、逃げるのはよそう、これが何と呼ばれているかくらい知っている。しかし、私にこんな事が…。


…ダメだ、眠れない。そうだ、少し夜風に当たって来よう。気も紛れるだろうし、私達を襲おうとする人間種がいるかもしれん。マントと短剣を付け窓から天井へ上がる。

いい夜だ、少し落ち着いてきた。今日は満月だったか。ふふ、月の様だとか、月の神の愛し子なんて呼ばれているが実際どうなのやら。


ん?あの男が家を中を…ままままさか!んん!?玄関?外へ出るのか?こちらへ飛んできた!


「やあ、ジネット。月が綺麗ですね」


こっこここの男!?私のことを今!!!???

い、いや違う勘違いだ!!そうに違いない!!

「ななな何でこんな所に!?」


「いや、ジネットが屋根の上に行ったのに気が付いてね。気を張ってるのかと心配だったんだ」

ダメだダメだダメだダメだ!!そんな心配そうな顔で私を見るな!!?私は!!私は!!!!


「大丈夫かい?不寝番やらなくても、俺がそういうの分かるから心配せんでいいよ。人間種の国だからジネットもルーも不安だろうけど、お任せあれ」


あああああああああああああ!!!!



sideユーゴ

倒れたあああああああ!!???

いや、確かにちょっとセクハラ発言したけど、この世界じゃ別に他意が無いことは知ってるぞ!?普通の夜の挨拶だ!!


呼吸よし!脳よし!その他臓器と魔力よし!!心臓と脈拍が早え!!結論!異常無し!どうしろってんだ!?何度確認しても結論は一緒!

しゃあない、とりあえずベッドに運んで気を付けておこう。


ダークエルフにとっても特別意味は無いはずだが…。

…うん。異常はない。最悪の場合、婆さんの所に運ぶか。心臓が動いてたらどうとでもするだろう。

しっかし、美人だねえ。






はい、あなたと一緒に今生も、死後も、次があるなら次も、そのまた次も。ずっと一緒です。永遠に。


ーダークエルフの誓いー


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