第65話 お家デート2
さて、期末考査だが.....全科目を走り抜けて返却されて終わった。
今日は半ばの木曜日。
俺の点数は頑張った成果が出ていて。
それなりに頑張って良かったと思う様な感じだった。
鞠さんも、みんなも、だ。
しかし残念ながら智明は.....ボロボロである。
赤点の為に再試験科目が2。
数学と英語だ。
アホなのか何なのか.....。
いやまぁ.....俺達がサポートすれば良いかもだけど。
しかし困ったもんだな。
再試験が2つか。
35点以下だしな。
「まあどんだけ勉強しても理解出来ない科目ばかりだからな。本当にすまん」
「いや、良いけど.....期末考査は流石に赤点はマズいだろ。響くぞマジに」
「.....うーん。お前に教わったりしてマジに頑張ったんだけどな。。.....ハハハ.....」
俺と智明は一緒に帰りながら。
智明の点数に関して振り返っていた。
期末考査が赤点だったら取り合えずは成績に響く。
これはマジに早めに挽回した方が良い気がする。
俺は顎に手を添える。
そして考えた。
「智明。来週にある再試験まで頑張ろうぜ」
「そうだな。それは確かに」
「取り敢えずは.....来週俺がお前の家に泊まるってのはどうだ」
「.....それは良いけど.....男同士で泊まるってのも楽しくなくね?いや、それなりには楽しいとは思うけどよ」
いや再試験なのにそういう問題か。
そんな悩んでいる場合じゃない。
でも、それじゃあどうするんだよ、と俺は溜息を吐いた。
すると智明は顎に手を添えて.....そして答える。
ニヤッとしながら、だ。
「穂高ちゃんと鞠を誘うってのはどうだ。女子と男子混合だ。楽しいぞきっと」
「現実的じゃないな。穂高は忙しいんだぞ」
「うーん.....そうか.....」
「.....そうだな。一応誘ってみるけど.....」
多分.....無理だとは思うけどな。
俺は思いながら穂高にメッセージをタイプしながら送った。
すると2分ぐらい後に返事が。
俺は画面を見る。
(うーん。来週はちょっと忙しいですね。御免なさい)
(だよな。当たり前だ)
(でも智明さんの家に泊まりたいです。悔しいです。どうしたら良いでしょうか)
(無理はしない事だな。甘ちゃんと蜜ちゃんの事も有るだろうし)
そうですね.....。
と残念そうな顔をしている様な穂高。
俺は頬を掻きながら考える。
すると智明が予想外の事を言った。
「じゃあ穂高ちゃんの家に泊まろうぜ」
「いやテメェは。出来る訳ないだろう」
「一応、メッセージ入れてくれよ。丁度俺って甘ちゃんと蜜ちゃんの事情も知っているし」
「いやそれでも二転三転するなお前.....」
智明はニカッとする。
考えながらメッセージをキーボードでタップした。
そして送ってみると。
それ良いですね!、とメッセージが来た。
オイオイ本気か?
(是非是非。お泊り会も楽しいと思いますよ)
(いや、それは良いけど.....保護者は)
(お兄ちゃんが居ますから)
(.....そ、そうか)
最近、積極的になってきましたね穂高さん。
思いながら俺は苦笑する。
鞠さんと一緒に泊まっても良いか、とメッセージを送る。
すると、はい。大丈夫です、とメッセージが来た。
「.....良かったな。智明。泊まれるぞ」
「おう。ハッハッハ」
「だが風呂を覗くなよ。決して」
「お前は俺を何だと思ってんだ。そんな事しないぞ」
だったら良いがな。
俺は考えながらふと、土曜日の事を考える。
穂高とのデートの予定を、だ。
智明が俺を見てくる。
「何か隠して無いか?兄弟」
「は?俺は何時も通りだ。お前こそ何か隠して無いか」
「.....お、俺は何時も通りだ」
「怪しいわ。何を隠しているんだお前は」
い、いや?
俺は何時も通りだ。
とニヤッとする智明。
怪しいな.....。
何を考えているんだ。
「まあ何か分からないが良いけど。.....それはそうと俺、今週の土曜日予定有るから遊べないからな」
「え?そうなのか?俺も土曜日予定有るんだ」
「.....???」
どういうこった?
思いながらも追及するのもあれかと思い俺は特に気にしないでそのまま智明と曲がり角で別れた。
それから家に帰宅すると。
家のドアの前に誰か立っていた。
制服姿の穂高である。
家の前に立っている人ってこれって何度目だろうかと思いながらも非常に嬉しく思いながら手を挙げた。
穂高は柔和に微笑む。
「大博さん」
「?.....お前、家の用事が有るって聞いたけど」
「はい。でも時間が空いたので来ました。土曜日まで待ちきれなかったのも有ります。お家でデート、パート2です」
「.....え?」
俺は突っ立っていると。
穂高が俺を抱き締めてきた。
そしてそのまま背伸びでキスをしてくる。
俺は真っ赤になって穂高を見る。
穂高はニコッとはにかんだ。
「好きな人とのキス。良いですよね」
「.....いきなりだな.....」
「私、大博さんが大好きですから」
「.....俺もな」
そして俺は少しだけ下を向いて。
また穂高とキスした。
穂高はこれは予想外だったようで。
真っ赤になっていく。
「穂高。大好きだ」
「もー。私がリードするつもりだったのに.....です」
「関係ない。俺は男だ。俺がリードする側だからな」
「.....だから好きなんです。私。大博さんが」
クスクスと互いに含み笑いをする。
そうして俺は鍵を取り出しながら穂高を見る。
勿論だけど中に入るか?、と聞いた。
はい、とニコニコして穂高は返事をする。
「じゃあしようか。お家デート」
「はい。第二弾で是非ともにやりたいです」
「.....だな」
俺達はゆっくりと付き合い始めた頃の様に手を繋ぐ。
そしてそのまま家の中に入る。
それから靴を脱いでから穂高を見る。
穂高は何か持ってきている様であった。
俺は?を浮かべてそれを見る。
「一体、何を持って来たんだ?」
「あ、お菓子の素材です」
「え?またお菓子を作るのか?」
「はい。大博さんが好物な物を作ります」
モジモジしながら。
穂高は笑顔ではにかむ様に俺を見てくる。
本当に可愛いもんだなコイツ。
相変わらずだけど.....幸せだ俺は。
思いながら穂高の荷物をさりげなく持った。
「あ、すいません」
「俺は男だからな。女を守るのが当たり前だし、持つのも当たり前だ」
「.....じゃあこのお礼は.....」
そしてまた唇にキスをされた。
俺は驚愕しながらそのまま穂高を見る。
穂高は満面の笑顔で俺を見てくる。
そして自らの唇に手を添えた。
柔和な顔になる。
「アハハ」
「お前な.....」
「でも嬉しいです。私。こうしてデートが出来るの。幸せです」
「.....当然、俺もだ」
私は地球一幸せです。
と穂高は笑顔になった。
んじゃ俺は宇宙一でお前が好きだ。
と答える。
「.....お爺さん、お婆さんになっても一緒に居ましょうね」
「当たり前だろ。お前以外に考えられない」
「.....嬉しいです」
「.....天国で親父さんもお袋さんも見てくれているだろうからな。.....それはそうと大丈夫か?親父さんの件」
段々.....慣れて来ました。
でもやっぱり寂しいです。
とっても寂しいです、と涙を浮かべる穂高を抱き締めた。
そして頭を撫でる。
額と額をコツンとぶつけた。
「でももし大博さんまで居なくなったら本当に私、自殺するでしょうね」
「.....そんな事を言うな。俺はお前の傍にずっと居るから。崩れそうになったら俺も一緒に巻き込んでくれ。何処までもずっと」
「.....」
「俺は穂高が大好きだから」
そして穂高の頬に手を添える。
頭を撫でてから俺は、大丈夫大丈夫、と語りかける。
それから穂高の涙を拭ってやった。
笑みを俺は浮かべる。
そして穏やかな顔を浮かべた。
「笑ってくれ。穂高。お前の笑った顔が一番好きだ」
「.....大博さん.....」
「笑うのは大切だからな」
「.....はい。アハハ。大博さん。有難うです」
そして俺達はもう一度キスを交わした。
それからニコッと互いに笑顔を浮かべる。
部屋に入ってから穂高はエプロンを取り出した。
それから俺を見てくる。
「.....じゃあ今から作りますね。何が良いですか?」
「俺はクッキーが食いたいかもな」
「分かりました。クッキー美味しいですもんね。.....クッキー焼きます♪」
その前に、と俺は声を掛けた。
それから俺は背後から穂高を抱き締める。
穂高は驚きながら俺を見た。
そして穂高の頭を撫でる。
「可愛いお前を抱き締めたかった」
「もー。.....大博さん.....恥ずかしいです.....」
「ハッハッハ。これはじゃあ俺の勝ちだな」
「もう.....だから好きです」
甘い感じや.....甘い匂いがする。
俺はとてもとても幸せだった。
こんな可愛くて性格の良い人と一緒で.....幸せだ。
色々有ったけど.....本当に幸せ以外の何物でもない。
かけがえの無い宝物だな穂高という女の子は。
「穂高。じゃあ今度すまないけど泊めてくれ」
「はい。全然構いません。むしろ楽しみです」
「しかし全くな。智明のアホのせいで」
「いやいや。逆に考えて下さい。智明さんが赤点を取ったから泊まってくれるんですから。大博さんが、です」
だから全然マイナスじゃ無いですよ。
と花咲く様な笑顔を浮かべる穂高。
そして調理を始めた。
俺は、だな、と返事をしながら。
手伝える事を探しながら.....何度目かも分からないが笑みを浮かべた。
そしてリビングに戻る。
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