第40話 混浴、konnyoku?

旅行に行く。

そんな行動をしたのは恐らく.....ガキンチョの時以来だ。

それも相当にガキンチョの時である。

母さんと.....俺と共に一緒に熱海まで行ったのだ。

その海の景色を今でも覚えている。


それは.....夢の様な時間だったのだ。

その事があったので俺は何だか母さんの事を好きになれたのだ。

更に、だ。

考えながら窓の外を見ているとガイドのおっちゃんが声を発した。

張り切りながら、だ。


「えー。皆様。草津バスターミナルに着きました」


「「「「「おー!」」」」」


「それでは皆様、名一杯にお楽しみ下さいませ」


確かに外を見ると。

自然豊かな山々が広がっている。

ワクワクしてくる様な、そんな感じだ。

まさに、草津温泉王に俺はなる!、的な感じである。


「先生。御幸。着いたよ」


「お.....おう」


「うん、haha.....」


いや、大丈夫かコイツら。

思いながら盛大に溜息を吐く。

それからガイドに誘導されて俺達は草津温泉のバスターミナルに降りた。

御幸と門松先生は一応、そこで回復した。



バスターミナルを抜けて宿に着いた。

その宿は川の側に有った温泉付きの宿である。

俺達がその宿に入ると.....女将さんが出て来て歓迎してくれた。


ようこそいらっしゃいました、と床に座って頭を下げて、だ。

何というか薄化粧をした着物のとても清楚な方だ。

30代ぐらいに見えるが.....。

俺は思いながら居ると。


「おい。大博」


「何だ。智明」


「綺麗な女将さんだな。べっぴんだぜ」


「お前には鞠さんが居るだろ。変態か」


俺は.....もしかしたら年上に目覚めるかもしれ、とそこまで言ってから鞠さんの強烈な蹴りのアタックが飛んできた。

ビックリしながら見てから。

その智明を置いて俺達は宿の中に入った。


「お部屋は3つだって」


「え?そうなのか?御幸」


「うん。そこだけは調節が効かなかったからね」


しかしながら3つでどうしろと思ったが。

部屋はそこそこに広く。

俺は顎に手を添えた。

簡単に言うと智明と俺だよな?

じゃあどう分別するか、だが.....。


「じゃあ俺が智明と.....」


「おい馬鹿。何を言っている」


「何だ居たのかお前。と言うか馬鹿ってなんだ」


「当然、俺は女子達の部屋に泊まるぜ!夢だったんだよな。俺.....」


紅潮しながら、あはは、あはは、と夢物語に浸る智明。

何を言ってんだコイツ。

この清々しいクズをどうしたら良いのか。


俺は盛大に溜息を吐きながら見ていると鞠さんが、じゃあ穂高さんと御幸さんと私、あと先生と仲さん、そして大博くんと智明で、どうかな?、と区別した。

智明が、んなんじゃそりゃぁ!!!!!、と頭に手を添えて絶叫する。


「智明。貴方は変態だから一緒には出来ない」


「ふっざけんな!修学旅行じゃねーんだから!頼むぜぇ!」


「智明?煩い」


「うん、あ、はい」


智明を眼力で威圧する鞠さん。

俺はその姿に萎縮する智明の肩に手を添えた。

諦めろ、と、だ。

そんな智明は、うぅ、と泣いた。

泣くなよキモいな。


「折角のパラダイスが.....」


「オイ。それはつまり俺と一緒は嫌って事か」


「そんな事は言ってないぞ」


「いやどっちだよ.....」


そして仲と先生。それから穂高と御幸と鞠さん。それから俺と智明。

そんな感じで泊まる事になった。

俺はみんなに挨拶してから部屋に荷物を置く。

そして陰でブツブツ言っている智明に声を掛ける。


「諦めろってお前」


「いいや。俺は諦めない。修学旅行じゃねーんだからな!鞠もそうだがみんなの姿.....浴衣姿を拝むまでは!!!!!」


「クズ過ぎる.....」


「何とでも言え。俺はエロ神に崇められた存在だ。だから.....!」


まさに愛されしクズだなコイツ。

マジに、だ。

と思っていると、そういや大博、とその様に声を出した智明。

俺は?を浮かべて、何だ、と聞いた。


「それはそうと穂高さんとは上手くいっているのか?」


「.....当たり前だろ。俺の彼女なんだから。幸せにしてるよ」


「そうか。お前も成長したな」


「.....突然なんだよアホか。お前は俺の親父か」


ハッハッハ、と腰に手を当てる智明。

親父か、と思う俺。

そんな言葉が出てくるとはな。

思いながら智明を見る。


「上手くいっているなら良かったよ。俺としてはな」


「お前の応援のお陰も有る。有難うな、智明」


「.....俺は何もしてないだろ」


「.....いいや、お前は良い友人として.....俺を助けてくれる。だからサンキューな」


照れるんだが?

と智明は困惑する。

ハハハ、と考えながら智明を見た。

さて、それは良いが。

風呂にでも入りに行くか。


「オイ。智明。風呂入りに行かないか」


「それは盗撮をしに行くって事か?付き合うぜ」


「おう。そう言うならやはりテメェは友人じゃないぜ。ハハハ」


「オイそんな事を言うなよ兄弟」


まともな顔で何を言ってんだよ。

何でそんな清々しいクズなんだよ。

思いながら風呂に行く準備する。

そして智明を無視して浴衣に着替えて宿の風呂に向かう。

そうしていると曲がり角で誰かに鉢合わせした。


「あ.....」


「よお。穂高か」


「えへへ。えっと、私、大博さんの元へ向かおうとしていました。えっと.....」


「.....えっと?」


はい、えっと.....ちょっと恥ずかしいな。

えっとですね、恋人と一緒に風呂に入れる場所が有るらしいんです。

と赤面でモジモジしながら俺に持ちかけてくる穂高。


ほう?そんな特別な風呂が.....おい!?まさかと思いますが!!?混浴では!?

と思いながら居ると。

穂高に手を引かれてそのまま何処かに連れて行かれる。

何をする気だ!


「い、今なら.....一緒に入れますよね。大博さんも温泉に向かっている様ですから」


「.....いや、冗談だろ!?お前!?」


「え、えへへ。私は本気ですよ。何時でも。さ、さあ行きましょう」


そして真っ赤に赤面している穂高に連れ去られながら。

俺は智明を放ったらかしにしながら恋人専用の湯に向かう。

その、混浴とやらに。

コイツ、ちょっと待て、冗談だろ!?

混浴なんぞ!


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