2、いざ温泉と旅行へ

第39話 いざ旅行へ

信也さんは穂高を無理して働かせてしまった事に対して後悔を口にしていたが。

御幸がこれに対してかなり上手くサポートしてくれて俺は御幸のその姿を見ながら、有難うな御幸、と強く思った。


相変わらずだと思う、御幸の優しさは、だ。

何時も変わらずに人をサポートする。

その優しさは容易に真似出来るものでは無い。


そしてそんな優しさが穂高に寄り添ったお陰か。

その日に穂高の熱が引き。

翌日には奇跡的に完全に治ったようで、完全に穂高は布団の中だがそれなりに気力を取り戻していた。


俺は会話している元気な穂高のその姿を見ながら少しだけ笑みを浮かべる。

それから、穂高、と聞いた。

穂高はニコッとしながら俺を見てくる。


「どうしました?大博さん」


「完全回復か?」


「.....そうですね。でもなんならもう少し寝ていても良いですか?甘えたいです」


「お前.....御幸も居るのに.....」


あはは、と笑みを浮かべる御幸。

翌日の午前中で一応、甘ちゃんと蜜ちゃん俺と穂高と御幸しか居ない。

だがその中でも蜜ちゃんと甘ちゃんが先導して買い物に行った為。

俺と御幸と穂高しか居ない。


そんな穂高は、あはは、ですね。

御幸さんに申し訳無いですねと御幸さんを見てから首を振る。

そんな御幸は、ううん、と首を振った。

それから笑みを浮かべる。


「大丈夫だよ。穂高ちゃんなら全然許せるよ」


「.....しかしそれはそうと有難うな。お前も穂高の事、協力してくれて」


「構わないよ。だって.....君と穂高ちゃんだからね」


「.....本気で俺、お前に出会って良かったよ御幸」


え、私?あはは。有難う。

でもそれって告白みたいだから駄目だよ、はーくん。

君には穂高ちゃんが居るんだからね、と苦笑いをする御幸。

俺はその姿に柔和に、だな、と返事した。

これに対して穂高が反応する。


「えっと告白は、やっ、ですよ。大博さん」


「で、ですね」


俺はムスッとした穂高に釘を打たれながら苦笑する。

その様子を見てから御幸を見つつ。

幸せを噛みしめる様に少しだけ笑みを浮かべた。

本当に.....みんな有難うな、と思いながら.....柔和になる。


「それはそうと.....大博さん。えっと旅行.....どうしましょう」


「お前が元気になったら行けるとは思うけどな。取り敢えずは.....」


俺は御幸を見る。

そして聞いた。

旅行どうする?御幸、と言いながら、だ。

そうだね、と笑顔を見せる御幸。


「.....元気になったなら行こうか。明後日でも」


「.....そうだな。これ以上待ってしまっても意味無いと思うしチケットが無効化しても勿体無いと思う」


「明後日ですか。楽しみですね♪」


穂高は心からの笑顔の様に見える。

そうなると準備をしなくてはいけないな。

俺と.....御幸もそうだが。

そろそろ帰るか.....。


「穂高。俺達、甘ちゃんと蜜ちゃんが帰って来たら帰るからな」


「そうだね。.....長居したら迷惑かも知れないから.....」


そういう会話をしていると穂高が頭を深々と下げた。

それから、本当に有難う御座いました、と俺達に笑顔を見せる。

元気そうな様子に本当に良かったと思う俺達。

そして穂高に向いた。


「穂高。また無理しそうな事が有ったら俺達に相談しろよ」


「私達は貴方の傍に何時でも居るから」


「はい。本当に.....有難う御座います。感謝しか無いです」


穂高は涙ぐむ。

俺はその姿を見ながらティッシュを渡した。

それから涙を拭う穂高。


俺はその姿を見ながら背中を摩った。

頑張ったな、と言いながら、だ。

穂高は、有難う大博さん、と言ってから、えへへ、と甘える様な声を出す。

そして満面の笑顔を見せた。


「大博さん。旅行、楽しみです。で、例の件.....お願いしますね♪」


「例の件?」


「デートです♪」


「.....あ、ああ。成程な。分かった」


そして俺達は笑み合う。

そうしていると御幸が、幸せそうだね、と声を掛けてくる。

俺達は.....お前のお陰でな、と言葉を発した。

本気で御幸のお陰だと思うから。


「.....御幸。お前も幸せになってほしい。俺達が全力でサポートするからな」


「.....あ、えっとね.....私、好きな人、じゃなくて好きになっちゃった人なら居るかな」


「「え!?」」


声が思いっきり出た。

どういうこった!?

考えながら御幸を見る。

御幸は少しだけ赤面しながら.....穂高に向く。

それから穂高の手を握る。


「信也さんは独身なの?」


「そうですね。独身です」


「私、信也さんが好きかもなの」


「!?!?!」


信也さんが好き!?

俺達は見開く。

それから穂高が慌てる。

で、ですが、と、だ。


「お兄ちゃんはその.....えっと.....何時も働いてますから.....」


「そういうのを支えるのも.....運命と思わない?」


「.....お前がそう言うなら応援するよ。俺は」


「そうですね。大博さん」


驚きながらも穂高は俺に笑顔を見せた。

まさかの告白だったが。

しかし.....お似合いだとは思う。

何故かって?

だって良い子じゃないか御幸は。


「御幸。頑張れ」


「今は陰からだけどね。恥ずかしいし.....あはは」


「まあそうだろうな.....ははは」


「私も協力します。あの鈍感お兄ちゃんが気が付くか分かりませんけど.....」


あはは、と苦笑する穂高。

俺は、大丈夫だろ、と言い聞かせる。

そして御幸も、頑張る、と意気込んだ。

それから俺達は笑い合う。


そうしていたら.....甘ちゃんと蜜ちゃんが帰って来た。

俺はその姿を見ながら.....迎える。

そして.....笑み合った。



さて、旅行と言えば。

簡単に言ってしまうと旅行だ。

何を簡単にしたのかさっぱりだがとにかく旅行だ。


みんな各々、用事が有った様だが。

集まってくれた。

穂高が一番心配だったが作り置きしてきたという。

一応は安心か。


因みに何処に旅行に行くかというと。

草津である。

バスで向かう事になっている。


「とても楽しみです」


「完全回復して良かったな。お前さん」


「はい♪」


しかし.....。

と思いながら目の前の席を見る。

そこに.....酔っている人が2名居た。

御幸と一緒に来てくれた門松先生で有る。


「しゃーんなろーよ.....」


「貴方はNAR◯TOですか。寝て下さい」


「寝るなんて.....私の意義に反するわ.....」


因みに門松先生だが。

始めに出会った頃とはかなり印象が違う。

はっちゃけている気がするのだ。

ぶっちゃけ言って.....その。

先生と思えない様な男らしさがある。


「あはは.....目が回る.....」


「お前も寝ろ。御幸。天井ばかり見るな」


「見て見て。はーくん.....空が廻っているよ.....」


「寝ろと言ってんだよ」


御幸は、あい、と言いながら目を閉じた。

その様子を見ながら智明が心配する。

大丈夫か?と、だ。

俺は、分からん、と回答した。

智明の横では鞠さんが心配そうに御幸達を見ている。


そしてその横では仲が心配そうに見ていた。

俺と穂高はその前に座っている。

うーん.....困ったもんだな。

思いながら目の前を見ていると。


「まあ私も酔いましたしね。昔。アッハッハ」


「ガイドさんも酔ったんですか?」


「酔いますよそりゃ。車ばっかりですから!アッハッハ」


ツアー歴32年という。

何ともいきの良いおっちゃんのガイドが御幸と先生の状態を鑑み、喋る事をしない。

俺はその配慮に有難く思いながらおっちゃんを見る。

でもお二人さん大丈夫ですかね?と聞いてくる。


「大丈夫だと思いますけどね。多分」


「まあ何かあったら言って下さい。休憩も挟みますから」


「すいません」


いえいえ。アッハッハ、と上機嫌のおっちゃん。

正確には長島さんを見ながら。

俺は御幸と先生を見つつ。


溜息を吐いた。

さてどうすっかな、と思いながら、だ。

もう直ぐ一応休憩は入るが。


「何つうか.....門松先生はバス苦手だったんなら断れば良かったのにな」


「それもそうだが.....それだと大人をどうすんだよ智明」


「そりゃ勿論お前が用意すんだよ」


「アホかお前?どうやってだよ」


老若男女に好かれるお前なら老若男女を容易に用意出来るだろ。

とアホは言う。

このアホめ。容易だ!?ふざけた事を。

と思っていると鞠さんに横から智明はぶん殴られた。


「智明。ふざけた事を吐かさない」


「す、すまなかった。鞠。怖いんだが」


コイツマジ馬鹿野郎だな。

思いながらも笑みが止まらなかった。

平常運行で助かるな。

と思っていると智明が、イテテ、と言いながら。

あ、と指差した。


「.....休憩みたいだぞ。パーキングエリアに入った」


「あ、マジか。じゃあ起こすか」


それから二人を起こしてから。

休憩に入った。

取り敢えずは.....羽を伸ばすか。

と思いながらパーキングエリアの店に入った。

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