第37話 看病と救援

4日程.....旅行は延期になった。

旅行チケットは期限ギリギリだがそれでもまずは今は休むべきだな。

穂高が、だ。


何故かと言うと穂高が夏風邪になってしまったのだ。

つまり旅行に行けない。

ので俺が看病する事になった。


「.....と言いつつも.....困ったな.....」


穂高を看病するとか言いながら。

おかゆも作れない馬鹿が此処に居る。

つまり俺なのだが.....。


甘ちゃんと蜜ちゃんも協力してくれるが上手く出来ない。

因みに甘ちゃんと蜜ちゃんも料理を手伝っていただけで実際に作った事は無いそうである。

因みに料理担当の穂高はハァハァ言いながら咳をしていた。

聞くのも無理がある。


このまま酷くなるのなら病院も検討しよう。

取り敢えずは買ってきた風邪薬で様子を見よう。

その様に思っている。


それで1日様子見て何も変わらなければ、だが。

考えながらおかゆを見る。

有り得ない話だが焦げていた。


「お兄ちゃん。どうしよう.....」


「そうだな.....困ったもんだ」


「じゃあ、れとると、は?」


「それも良いかもな。買ってきたし一応」


お姉ちゃん.....あんなになるまで仕事していたんだね。

と少しだけ泣きそうになる甘ちゃん。

俺はその姿を見ながら、だな、と答える。

あんなボロボロになるまで、な。


「だからこそお姉ちゃんには頼れないね」


「そうだな。うん」


「だね」


そしてスマホのおかゆのレシピを見る。

それからもう一度、挑戦した。

先ずは米を炊いて.....だ。

思いながら作り出す。

そして汗を拭おうとしたら。


「お兄ちゃん。はい」


三脚に乗っていた蜜ちゃんが横から汗を拭いてくれた。

俺は、サンキュー、と言いながら一生懸命に手を動かす。

そして.....お米を炊くために炊飯器に入れて.....。

良い感じじゃ無いか?



「穂高」


「.....」


「穂高。起きれるか」


「.....は、はい.....」


真っ赤になっている穂高。

顔もクラクラしている様な深刻な顔だ。

俺はその姿を見て痛々しく思いながらオボンに乗せたそれを出す。


おかゆである。

何とか鮭のお粥が出来た。

パジャマ姿でボロボロの穂高にレンゲで掬ったものを差し出す。


「大丈夫か?オイ」


「だじようぶ.....」


「呂律まで回って無いな.....」


大丈夫と言いたかったのだろうけど。

呂律が回って無い。

俺はその姿を見ながら、おかゆ食えるか?、と聞いた。

もとひろさんがつくったんですか?、と驚きながら見てくる。


「ああ。俺が作ったけど不出来なもんだよ。ごめんな」


「.....ありがとうございます.....」


そしてパクッと食べる穂高。

にへら、とした。

それから美味しいです、と答えた。

俺はホッとしながらも.....まだ不安で見据える。


「かんと.....みつは.....」


「お使いを頼んだ。薬と色々」


「そうですか.....」


じゃあ仕方が無いですね、と言いながら。

いきなり胸を見て胸元のボタンを外し.....えぇ!?何やってんだ!?

俺は急いで退避をしようとした。

のだが、その手を穂高が掴んでくる。

そして言葉を発した。


「あせ.....で.....べちょべちょなんです.....ふいてくらさい.....」


「あはは。冗談を。お前の裸を見ることになるじゃ無いか」


「.....このさいかまいません。おねがいします.....」


「.....いや、冗談抜き.....?」


あい、と頷く穂高。

そして下着が露になった。

俺は真っ赤に赤面しながらタオルで拭くが.....うわ。


柔らかいなこの肌.....と思ってしまった。

穂高はもうそんな事に構っている余裕は無さそうだが。

熱で頭がクラクラしているのだろう。


「もうしわけありません」


「.....いや、正直衝撃的なんだが」


「.....べたべたなのでぶらのほっくはずしてください.....」


「お前.....冗談抜きで言ってる?」


はい、フロントホックですので直ぐに外れると思います、と言う穂高。

俺は頭の中で煩悩を打ち消しながら。

いや、ちょ。

ホックを......外すってどうするんだ.....?

どうやったら外れるかも分からないんだが。


「そんなにらんぼうにしたらこわれちゃう.....」


「す、すまん!マジに外し方が分からない!」


「よこ.....さゆうにひっぱってください.....」


「は、はい。な、成程な」


そしてホックとやらを外した。

その瞬間、純白の肌が露になる。

マズいなこれ。

煩悩が煩悩を呼んでいる。

甘ちゃん、蜜ちゃんでも良いけど早く帰って来てくれ。


「とてもつめたくてきもちいいです.....」


「そ、そうですか.....」


「.....はずかしいですか?もとひろさん」


「恥ずかしいどころの騒ぎじゃ無いぐらい恥ずいんだが」


あはは.....おとこですからね.....と苦笑いする穂高。

蒸気が上がる肌を見ながら俺は必死に煩悩を打ち消し。

そして俺は拭き終えて。

穂高に聞いた。


「もう良いか。これ以上やったら本気でマズイ色々と」


「まだ.....です。わたしのかえのしたぎもってきてください.....」


「え?.....本気で言ってる?それ」


「ほんきです.....」


これはマズいな。

本気で、だ。

そんなもんどうやって持って来ると。

甘ちゃんも蜜ちゃんも居るんだぞと思いながら横を見る。

そこに.....唖然として赤くなっている甘ちゃんと蜜ちゃんが居た。


「.....お兄ちゃんのスケベ.....」


「お.....お兄ちゃんの不埒者.....」


「誤解だけどな。そのまま逃げるなよ?頼むから110番とかすんなよ?」


そして甘ちゃんと蜜ちゃんにそのまま説教された。

それからその後の事はみんな甘ちゃんと蜜ちゃんが処理してくれた。

何とか収まった.....危なかったな.....。

俺の理性が吹っ飛ぶかと思ったぞ。

本気で危ない。



「もー。お兄ちゃん。お姉ちゃんの裸を見るのは100年早いよ」


「そうそう」


「す、すまん」


だって穂高がいきなり脱ぐからよ。

そのせいだよ。

と思いながら腕を組んでいる二人を見る。

夕食を作っている。

すると。


ピンポーン


「.....?」


「しんぶんはいたつかな?」


それから甘ちゃんに料理を任せて。

そして玄関に行くと。

鞠さん、滝水、智明、仲、御幸が居た。

心配げな顔をしている。

それから智明が、容体は大丈夫か?、と聞いてくる。


「お前ら。来たのか」


「おう。あたりめぇだろ。俺達の仲間が、お前の恋人が苦しんでいるんだからよ」


「そうですよ」


智明はニカッと笑顔を見せた。

俺は全く、と思いながら居ると。

みんな何かを差し出してきた。


ビニールに入った大量の食糧、風邪薬、葛根湯、そして色々。

有り難いけど智明。

葛根湯は風の引きはじめしか効果がねぇよ。

お前だけハズレじゃないか。

苦笑しながら思っているとみんなが顔を見合わせて何かを取り出した。


「これ、旅行グッズが必要かなって。それから治る様にお守り」


「.....買ってきたのか?」


「あれからちょっと行って来てね。みんなで、な。それで買って来たのさ」


「.....マジかよ。有難うな」


仲から受け取る。

それからサンキューと話す。

そして俺は、穂高だけど.....一応、今寝てるから。

と話す。

するとみんな顔を見合わせる。


「でね、相談したんだ。私達」


「.....?」


「.....穂高ちゃんをはーくんだけで看病するのは大変だと思って私も居る事にしたのんだ。お母さんに許可は取ったから」


「え?それは本当か?」


うん、と頷く御幸。

俺はその言葉に心から安心した。

というのも.....さっきの様な事を任せられる。

思いながら俺は僅かながらに赤面した。


「.....ん?おい。大博?お前.....何かあったか?」


「.....な、何もない.....ぞ?」


「.....」


眉を顰める智明、御幸、仲。

えっとな、嘘を吐くのが下手なんだよな俺。

な、何も無いからな。

甘ちゃんと蜜ちゃんが、それですが、と言い掛けているのを必死に止めながら。

必死に苦笑いを浮かべた。


これでバレたらマジに絶望的なので。

本気のマジにバレないようにしなくては.....。

そう思いながら否定をした。

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