第36話 何故言わない?

仲の親父が何をしてくるか分からず.....とても不安があるがこのまま恐れていては意味が無いと思う。

恐れていては何も進まない。

だから羽を伸ばしてゆっくりしよう。


その全てを俺達なら超えられる筈だ。

今の不安も何もかもを、である。

夜中に目が覚めたのでその様に考えていた。

昨日早く寝たせいだろうな。


思いながら俺は天井を見る。

俺は眉を顰めて横を見つめる。

これ以上何も起こらない事を祈りながら。

そのまま再び寝た。



「.....」


夢の無い眠りから覚めて俺は起き上がる。

欠伸が出てからの.....うむ。

快適な朝だな。

思いながら横を見る。

そこに.....何故か穂高が居た。


「!?」


「スースー」


外出着というか.....可愛らしい服装で横になって寝ていた。

俺は驚きながらも起き上がって肌をなぞる。

そして穂高を見つめる。

可愛いよな、俺の彼女は。


「穂高。起きろ。朝だぞ」


「スースー」


「爆睡.....か」


苦笑して思いながら俺は穂高を抱えてそしてベッドに寝かせてから。

布団を被せてあげた。

それから穂高を見つめる。

本当に可愛いな、と思える姿だ。


「まあゆっくり休め」


言い聞かせながら俺は部屋を出た。

それからリビングに向かう。

そして机を見るとそこには料理が作られて置かれている。

俺は目を丸くしながら料理を確認した。

その料理は穂高の作り方で置かれている。


「全くアイツな.....」


早く来て作ったという事だろう。

母親が仕事に行っている変わりだろうな。

思いながら俺はラップが掛けられている料理を持ち上げながら見る。

朝早くからこんな事をしなくても良いのにな。

体力を削ぐ様な行動だ。


「.....」


だけど俺の彼女はこうして時間を作ってやってくれる。

本当に幸せだと思う。

考えながら少しだけ笑みを浮かべて着替えてから。

俺は穂高特製の朝食を堪能した。



「す、すいません!ぐっすり寝てしまって!」


穂高が起きたのは午前9時に俺が起きてからの2時間後だった。

俺はそんな穂高に首を振ってから見つめる。

ゆっくり寝れたか、と聞いた。

すると穂高は、はい.....。ま。まあ、と答える。


「良いじゃないか。たまにはぐっすり寝て」


「でも大博さんの部屋で.....その。恥ずかしいです」


「俺は別に構わないけどな。愛する彼女が疲れているんだから」


「優しいですね。大博さん。でも起こしてくれても良かったんですけど.....」


そんな事はしない、と苦笑いを浮かべた。

せっかく気持ちよく寝ているのに、だ。

そんな事をしたら迷惑だろう。

思いつつ読んでいたラノベを閉じて穂高に向く。


「で、何で今日は来たんだ?」


「は、はい。えっとですね.....来週、旅行に行きますよね」


「そうだな。それがどうしたんだ?」


「いや.....御幸先輩.....じゃなくて御幸さん達と旅行グッズ買いたいなって思いました」


モジモジしながら、えへへ、と言う穂高。

俺は目をパチクリする。

そして、成程、と顎に手を添えた。

それから穂高をにこやかに見る。


「そうだな。行くか。御幸とか智明誘って」


「ですね。それが一番だと思います」


「有難うな。穂高。それで来てくれたんだな」


「はい。私は大博さんの彼女ですから」


だからサポートするのも当たり前ですからね。

とVサインを見せた穂高。

俺はその姿を見ながら笑みを少しだけ浮かべた。

全く良い彼女だな。


「でも無理はしてないよな。お前」


「無理ですか?してないですよ。あはは」


「.....だったら良いけどな」


何時もながらに穂高は朝早くから動いているから気になるのだ。

思いながら俺は.....穂高を見る。

穂高は俺に笑みを見せながら手を広げた。

それからその手を握る。


「じゃあ行きましょうか」


「そうだな」


そして準備を始めて外に出る。

それから玄関に鍵を掛けて集合しようとした.....のだが。

穂高の身に異変が起こったのはその時だった。


どういう異変かって?

それは見て居れば分かると思う。

アイツが物珍しく寝ていたのも.....そのせいだった。



「しかし智明め。遅くなるとはな」


「あはは。ですね。御幸さんも少し遅れるそうで」


「御幸は別に構わないが.....穂高。すまないな。滝水も誘えば良かったな。旅行」


「ちーちゃんは行かないですよ。ああいう性格ですから」


少しだけ悲しげな顔をする穂高。

俺はその姿を見ながら、そうか、と返事をした。

確かにそうだよな。

滝水だから.....と思いながら待つ。


「.....そう言えば珍しいよな。お前寝るとか」


「珍しいですかね」


「当たり前だろ。だって.....お前が起こす側じゃ無いか」


「.....」


穂高は少しだけ不安そうな顔をする。

俺は?を浮かべながら不思議と思いつつ穂高を覗き込む。

しかし何だか顔赤くないか?

俺は穂高の額に手を添えようとした。

するとビクッとしてその手を払い除ける。


「だ、大丈夫ですよ!大博さん。そんな事は無いので」


「俺は何も言ってない。.....お前、顔赤いぞ」


「.....え?そ、そうですか?それは大博さんと一緒ですから.....」


「.....嘘だな。いい加減にしろ。お前、調子が悪いんだろ」


そんな事無いです!と大きな声を発した。

俺は驚愕したが.....直ぐに眉を顰めて穂高の手を握る。

それから電話した。

智明とかに、だ。


「大博さん!嫌です!大丈夫ですって!」


「駄目だ。お前の体に何か起こるぐらいなら中断する」


「.....」


そして俺は電話をする。

智明に、御幸に、すまないが行けなくなった、と。

穂高が体調悪そうだから、と。

そして電話を切ってから直ぐに穂高を見る。


「おい。額に手を添えさせろ」


「駄目です。嫌です.....」


「わがまま言うなお前!!!!!」


怒号にビクッとした穂高。。

何でそう隠そうとする。

俺は.....嫌な経験をしているからそういうのは嫌いだ!

だから.....勘弁してくれ。

そこら辺だけは申し訳無いが厳しくする。


「.....穂高。良いか。俺はお前が死ぬぐらいキツイなら俺もキツイ。そして死にたいなら俺も死にたい。そんな感じなんだ。だから分かってほしい」


「.....はい。御免なさい」


穂高は目を潤ませて頭を下げて謝罪した。

その様子を見つつ盛大に溜息を吐いて聞く。

穂高に向きながら、だ。

取り敢えずは.....体調を聞こう。


「.....体調に変化はあるか」


「.....熱が今朝測ったら37.7度有りました.....」


「は?は!?.....お前は馬鹿なのか?何で言わない!」


「.....だって私は大丈夫だって.....」


何を.....大丈夫なわけ無いだろ。

逆に動けるのが不思議じゃないか。

38度近いじゃないか!!!!!


コイツという奴は。

流石の俺もブチキレそうになった。

身体を大切にしない穂高に対して、だ。

コイツは放っておくとマズイな。


「じゃあ治るまでお前の家に泊まる。俺は」


「.....へ?」


「お前の家にはお兄さんが居ても他に頼れるのは居ないだろ。甘ちゃんと蜜ちゃんに頼る訳にもいかないだろ。どうするんだそれで」


「え!?で、でも!そんなのは、恥ずかしいです.....!」


アホンダラ。

言い訳は無しだ。

お前が体調良くなるまで旅行は中止だ。

と俺はキツく穂高に言う。


ぶーたれようが何だろうが。

このまま旅行する訳にはいかない。

穂高は俯いてそして顔を上げる。


「.....分かりました。御免なさい。.....看病して下さい」


「初めからそう言えアホ。全く.....」


そして旅行に関しては4日程延期された。

それから俺は穂高を家に連れて行き。

俺は看病する事した。


夏風邪の様だ。

家には甘ちゃんと蜜ちゃんしか居ないので、だ。

穂高のお兄さんは忙しいと思うので。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る