第20話 みんなが主役の大会
色々有りながら。
時間が経過して.....月曜日になった。
今日は球技大会の予行練習となる。
仲達もそれなりに協力するという事になっている。
保健室登校ながら頑張っているよな。
考えながら.....俺は少しだけ笑みを浮かべる。
すると栗谷に呼ばれた。
「打ち合せしよう。はーくん」
「.....実に面倒臭い。どうしたら良いんだ」
「いや、やるしかないでしょ。はーくん」
私は、はーくんと一緒で楽しい、とボソッと何か聞こえた。
俺は盛大に溜息を吐きながら。
やるしかないか.....と集合場所に行く。
それから会議室のドアをノックしてから入ると。
「.....?」
「?」
「.....」
なんか強面の奴らばっかり集合していた。
俺は苦笑しながら顔を引き攣らせる。
勘弁してくれよマジで。
と思っていると。
「大博さん」
「.....ん?穂高!?!.....何でお前ここに?」
「私は1年B組の球技大会の委員です♪」
「いやそれ.....隠していたなお前.....」
そんな感じで話していると。
なぜか知らないが栗谷が愕然とした様子で見ていた。
何だ一体。
思いつつ栗谷を見る。
な、何で下の名前で呼び合っているの.....、的な感じで愕然と、ああ、成程。
「私が要望しました。下の名前で呼んで下さいって」
「.....」
「もしもし?栗谷さん。目がキツイですよ?」
「.....はーくん。私の名前も下の名前で呼んで」
え?と俺は声を上げる。
栗谷が無言で俺に迫って来た。
そして肩に手を添えてニコッと笑みを浮かべる。
が、目が笑ってない。
何だコイツは!?
「く、栗谷。お前.....恥ずかしいんだが.....」
「じゃあ何で七水ちゃんは呼んであげるの。おかしいよね」
「.....分かったよ。.....御幸」
はーい。
そんなニコニコの返事を見ながら俺は盛大に溜息を吐く。
って言うかさっきから背後がザワザワしている。
俺は?を浮かべて背後を見る。
「なんだアイツ.....」
「女を手玉に取って」
「ぶっ殺す」
なんか嫌な予感がする。
俺、この大会中に殺されるんじゃないのか。
考えながら前にも後ろにもキツイ奴らで。
溜息と冷や汗が止まらない。
ガラッ
「はいはい。そこまで。じゃあ今からミーティングするよー」
3年生の工藤七久先輩だっけか。
体育委員長が入って来た。
ポニテで凛とした顔をしている先輩。
俺はその言葉に返事をしながらパイプ椅子に腰掛ける。
そして前を見た。
「今年の球技大会、成功させる為にはけが人を出さない事。それが大切だからね。スローガンは、助け合いで大会成功。良いね」
「「「「「はい」」」」」
「うん。良い返事」
その言葉を発しながら俺達を見た、工藤先輩。
すると何故か俺で目線を止めてから。
少しだけ笑みを浮かべた。
え?
「それじゃみんな。スローガンが分かった所で。みんなで意見を出し合ってから大会を成功させる案などを採決します」
「「「「「はい」」」」」
委員会って何時もこんな感じなのか?
眠たい.....と思っていると背後から小突かれた。
寝ちゃ駄目、とだ。
欠伸していたのがバレたか。
「しかし眠い」
「駄目だって。もー」
そんなコソコソ会話しているとプリントが配られた。
そこにはスローガンと成功のどうのこうのと書かれている。
俺はそれをひらひらな感じで見ながら。
外を見る。
「みんなに行き渡ったかな。それじゃプリントを見て下さい」
「「「「「はい」」」」」
俺もプリントを見る。
そこには様々な事が書かれており。
意欲をそそるような感じの内容であり。
俺は顎に手を添えて見ていると工藤先輩が黒板に書き記し始めた。
「えっとね、みんなで成功させたいから。だから案を貰ってからそこから当日の様々な事への案を導きます」
「.....」
「みんな。何か案とか有る?」
一気に手が上がった。
優秀なスポーツマン達から、だ。
俺はその中で手を上げずに周りを見渡す。
考えを巡らせる。
「はい」
「えっと、七水さんだっけ?じゃあどうぞ」
「えっと私は.....」
流石は穂高だな。
色々な真剣な案を言っている。
俺はその姿を見ながら少しだけ笑みを浮かべる。
すると栗谷.....じゃ無かった。
御幸が俺にヒソヒソ言ってくる。
「私達も何か案を言った方がいいんじゃないかな」
「じゃあどういう案を出すんだよ。俺は嫌だぞ」
「もう。そんな屁理屈は通用しないよ」
「.....」
嫌なものは嫌だな。
思っていると、じゃあそこの君、えっと.....波瀬君、と指名された。
嘘だろこの人。
御幸は、良かったね、と言っている。
アホか全く良くない。
案なんぞ無い。
「何か案は無い?」
「.....」
これは参ったな.....。
よりにもよってこれは無い。
考えながら工藤先輩を見つめる。
ボッチにどう意見を出せと。
「.....じゃあ人と人とが協力し合う事が大切だと思う。例えば保健室登校の人達にも手を差し伸べて楽しんでもらう様な.....そんな大会にしたい」
「.....はーくん.....」
俺は仲の事を考えた。
その為にそういう答えに辿り着いたのだ。
みんなが主役ならこれは当たり前だよな、と思う。
工藤先輩は少しだけ目を丸くしていたが.....少し経ってから、そうだね、と話す。
「そうだね。確かにね。みんなが主役。それは保健室登校の人も.....学校に来れない人もそうだよね」
「確かに」
「みんなに手を差し伸べる大会か」
「だな」
納得するなよ。
適当に返事したんだぞオイ。
目の前を見ると穂高まで目を輝かせていた。
俺は額に手を添える。
「じゃあ今回の目標は全員。つまり学校のみんなが主役の大会だね」
「おす」
「ですね」
「はい」
いや、ちょっと。
ヤバいこれ。
なんか俺の案が.....採用されつつある。
どうしたもんか。
顔を引き攣らせながら思った。
で、結局の所。
俺の案も含めた幾つかの案が採用されて。
当日に向けて準備が始まろうと、全てが動こうとし始めていた。
マジか.....。
☆
「波瀬君」
「.....?.....何ですか?工藤先輩」
会議終了後。
何故か工藤先輩に俺は声を掛けられた。
俺はみんなと共に?を浮かべる。
そして工藤先輩を見る。
ニコッとしている工藤先輩。
「波瀬君はやっぱり面白い人だね」
「.....え?」
キョトンとなった。
じゃあまたね、と言いながら去って行く工藤先輩。
何だそれ.....?
俺はその言葉には首を傾げるしか.....出来なかった。
御幸と穂高が俺を見てくる。
「何かしたんですか?先輩に」
「.....何も。記憶にないぞ」
「えー.....何だか嘘っぽいよ」
「本当に何もしてないって」
工藤先輩め.....。
意味深な言葉を残して行かないで頂きたいのだが。
後処理が非常に大変ですので。
今現在とか、だ。
俺は何度目かも分からない溜息を吐いて会議室を後にした。
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