第11話 研究所《ラボ》
あの後、エリスとちょっとした一悶着がありつつも朝食を食べ終えるとそのままエリスに連れら皇宮を行く。途中ですれ違うメイドや貴族令嬢からは親しげや好意的な視線が多く貴族令息や貴族には排他的もしくは敵意を抱かれている。
まあエリスに思っ切り腕を取られその放漫な肢体に押し付けられているからだろう。
「エリス?」
「違う…」
さっきから声を掛けてもあーとかう〜とかずっとそんな調子である。
「流石に恥ずかしいんだけど」
「むぅ」
駄目だこれ。なんとかしないといけないのだろうが脳内にマッピングをしつつ歩いているのでそこまでの余裕はないのだが…。
そうこうしている内にいつの間にか裏道に入り道無き道をスラスラ歩く。
この辺も【先導者】によるものなのだろうか?そう考えると他のお弟子さんたちはどうやって此処に来るのだろう。
そして10分近く歩いていると不意に周囲が開けると陽の光が体を暖める。そして目の前には3階建てと思わしき洋館に右手には巨大な温室、左手には怪しげな煙を吐く尖塔が幾つもある。
「此処は…」
何処なのだろうか。皇宮全体の広さを見たわけでは無いが少なくともゴルフコースが10コース以上は入りそうである。その洋館からエイのような飛行物体に乗った【大賢者】が出てきた。わりと早い動きである。
「来たかお主ら。此処は
「へえ。っでエリスがずっとこんな調子なんですけど?」
「…お主少しは女心を理解した方が…。まあほっとけ。いつか戻る」
「既に痛いの領域なんすけどね」
俺常にあの2つは有効にしているからそれなりの耐久値はあるはずなんだけどな。なんかもうミシミシの領域ですよ。
「それほど大きな存在なんじゃろ。さてと着いて来い」
そのエイもどきに乗ったまま洋館内や尖塔に温室を案内される。洋館内には幾つもの部屋がありその間は少なくとも10mは離れておりこの洋館に住う【大賢者】やその弟子たちの個別の研究室兼個室らしい。そして地下には遊戯室やダンスホールに集会場や食堂そして温泉が沸いていると。更に奥には様々な素材を産出する迷宮が存在するとの事。そして尖塔は言わば工場である。様々な素材の錬成などをしたり魔道具の大量生産をしており国が必要と判断したら一から作り上げるらしい。そして温室には様々な薬草などが栽培されている。その他にも魔物などが放牧されていたりととんでも空間であった。
ちなみにもしもの場合は皇族が篭る避難場所でもあると。軽く数百年は過ごせそうだからな。そして最後に階段を貫くように鎮座する巨大なクリスタルの前に案内される。
「これは…【ジョブクリスタル】か」
「そうじゃ。数世代前の勇者が己の命と引き換えに制作した全ての職に就けるというモノじゃ」
確かに。莫大な力を感じる。そして俺の内側に宿る莫大なソレと共鳴してもいる。
「さてとまずは【騎士】じゃな」
「了解」
右手を翳すとジョブクリスタルが光を薄らと放つ。それと同時に幾つもの職の情報が出てくる。その中に存在している【騎士】を選択すると無事に就職できた。
「【騎士】は筋力・耐久・HPの伸びが良く次点で敏捷・MPが伸びる。更に言えば乗馬スキルも手に入るからお主のアレには丁度良かろう」
「アレって乗馬の範囲ですかね?」
形状は馬だけどさ。それ以外に馬の要素がカケラも存在しないぞ?しかもあの2人が運用前提だからわりと積める機能は搭載しているし。
「どちらかと操縦の方が近い気もせんでも無いが兎に角、乗馬じゃ」
「だってただの兵器なんだからな」
レーザー砲やGPSリンクなど基本的には地球での使用が前提となっているからアシスト系統やパワードスーツ型にしているが既にこちらの世界仕様である。レーザー砲・矢弾逸らし・魔力障壁・各種矢弾系統魔法とその他もろもろに飛行能力が付いている。
ただその分想定しているよりもコスト面では掛かり過ぎだろうが。
「じゃあまずは騎乗戦闘じゃな」
「えっ!?」
此処本当に
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