第10話 【大賢者】
朝食会場に案内されるとそこにクラスメイトに指導教官になった3人ともう1人女性が居た。いや女の子とでも言うべきか。見た目は150cm前後の身長に水晶のように透き通ったマントと魔女が着ていそうな紫紺のドレスを着ていおりベルトには短杖が差し込まれている。…いやアレ銃か。
「あの子は?」
「あの方は【
レギンレイヴって確か戦乙女の1人で神々に残されし者とかそう言う意味だったはず。
【大賢者】って何処も似たようなものか。継承していく強さは実に良いモノだが。
「彼女がアレを?」
「ええ。一度とことん話し合いたいと」
「それは有難いな。俺自身まだ創りたいものが多いし」
永久機関とか。
「おい、新一とか言う若造」
「はい?」
指導教官同士で話し合っていたと思うと不意に彼女の視線を向けられる。そして俺は無意識の内にその場から後方に2mほど跳んだ。その場には真上から風の戦槌が打ち付けられている。その後に密かに入れているポケットから鉛玉を指弾で飛ばす。
「えっ!?」
「ほう。面白いのう」
エリスの驚いた声と【大賢者】の関心するような声がどちらも聞こえるも彼女はベルトから銃みたいな杖を取り出すとその銃身で鉛玉を叩き落とすとそのまま引き金を引かれる。その銃口からは紫電の矢が放たれる。
「疾ッ」
ベルトから自衛用にと支給された折りたたみ式のナイフを取り出して展開させて魔力を込めてソレを切る。そしてその剣先をそのまま彼女に向ける。
「今のは指弾かのう。その目線といい技術と言い感と言いとても堅気には感じんのう」
「…先生?」
エリスから絶対零度の視線が注がれている気がする。というか怖くて彼女の方に視線を向けれない。いつの間にか握られているその杖に膨大な魔力が込められていることもさながらに。
「これはエリス。ひょっとしてほの字かのう?」
「違っ」
そう彼女は口で否定しつつもこちらを伺い顔を赤くする。それにより集中が切れたのか彼女が握る杖の制御が切れて今にも爆発しそうである。それに気付いているのは俺と【大賢者】くらいだろうか。ただ彼女が動く気配がない。
肩を竦めて彼女を後ろから抱きしめるように杖を握る手に重ね周囲の魔力を取り込み制御する。彼女の持つ莫大な魔力に驚きつつも徐々に魔力を減らしていき離散させる。
「お主…」
「…なんですか?」
「そんな高等技術何処で?」
そう。俺が今この場でした他人の制御下にある魔力を莫大な魔力で包み制御したという超高等技術である。俺自身としては地球に居て魔力の概念を知らなかった頃ですらその雛形は完成させていたので別段この技術がそれほど難しいとは知らなかったがどうやらこの世界でも高等技術らしい。
「似たようなものなら地球で」
いわゆる気の概念だろうか。幼い頃からソレを何となく認識できていたからか不思議と魔力が馴染んでいたし簡易的な自己バフ程度は最初の召喚以前から出来ていたのだ。
「【賢者】の馴染み具合と言い魔力の知覚と言いとんでも無い奴だのう」
「そうですか?」
「あのことと言い油断ならんのう」
《武魔鋼将》のことだろうか、それともあの設計図のことだろうか。どちらにしろこれは試験だったのだろう。
「よし決めた。お主弟子になれ!」
「弟子に?」
「そうじゃ。【大賢者】の後継者はもう決めておるが別に私が個人的な稽古をつけるのは構わんだろお前ら」
それは指導担当3人に向けられている。俺の意見は無視か〜無視なんだろうな。
「別に我らは構わんが?」
「なら良いな!っといつまでそうしておるつもりじゃ?」
「「あっ!」」
つい違和感のなさにずっとこのままだったわ。そっと手の繋がりを切ると何故かそのまま後ろに倒れ込んでくるのでそっと支える。…魔力欠乏症かコレ。まあ仕方なしか。どうもさっきので自身の保有魔力をほぼ使い切っていたみたいだし。
「…取り敢えずたらふく食べて精でもつけろ」
…不安しかないわ!
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