第33話ダオス

ギルドのホールに駆けつけると、1人の少年を中心に爆発が起こったかの様に冒険者数名が倒れていた。どうやらギルド恒例の嫌がらせをして返り討ちにあったようだ。だが、返り討ちにしたには、龍人族を示す2本の角があったのである。


「龍人族・・・。絶滅したはず・・・。」そう思っていると、ドリトルが声を掛ける。


「静かにしないか。おい、おまえたち。むやみにちょっかい掛けるんじゃない。」


そういうと、少年の元に向かう。


「すまないな、少年。何が有ったかは想像できる。ギルドマスターのドリトルだ。何かワシに用件があるそうだが、聞かせてもらえないか?」


「あんたがギルドマスターか・・・。」


そういうと、周りを威圧していたオーラを消して、話しかける。


「俺は、ダオスだ。あんたに聞きたい事があるんだが、10年ぐらい前に、この近くで龍人族の奴隷と奴隷商がいたようなんだが、しらないか?<ティア>と呼ばれていたようなんだが・・・」


以外な人物の名前が出てきて驚く私たちをよそに、ドリトルは話を続ける。


この、ダオスと名乗った少年は、龍人族の角に黒髪で金色に輝く鋭い目付き、黒いフードに2本の剣を備えていたが、そのオーラは龍人族の物ではなく、禍々しい、魔族の物に近かった。


そして、リリが私に近ずいて話かける。


「アティ様、<ティア>と言うのは、もしや・・・。」


「ええ、ティアお姉ちゃんのことだろうね。」そう言って頷いた。




「ああ、たしかに、ティアと言う龍人族は奴隷商と一緒にいたが、君との関係を聞いてもいいかな?」


「俺は、ティアの弟であり、殺すべき、敵だ。では、教えてくれ。ティアは何処にいる。」


「残念だが、もういないよ。10年前に死んでいるんだ・・・。」そう言うと、悲しそうに天井を見上げるドリトルだった。


「死んだ・・・だと、じゃ奴隷商はどうした。それか、その近くで急激に力が増したって奴、もしくは、仲のよかった奴はいなかったか?」そう言ってドリトルに詰め寄った。


「すまんな、ワシも良くしらんのじゃ。だが、奴隷商も一緒に亡くなっておる。すまんな、力になれず・・・。」そう言って、私の事は隠してくれた。すると、ダオスは小さく「そうか・・・」と呟いた。だが、話ぶりからして、目的はティアお姉ちゃんの力のようだった。


(なぜ、今になってティアお姉ちゃんの力を求めるの?それに、弟?敵?って・・・。)


そんなことを考えているとダオスが側に近ずいてきて、剣を抜き、私に向けた。


「そうかい・・・じゃ、鬼のお前から龍人の気配がするのはどうしてなんだ・・・ええっ」


どうやら、ダオスには解るようだ。龍人の・・・ティアお姉ちゃんの気配が・・・。

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